●最終段階 全軍突撃!
爆破や砲撃で蒙気の漂う演習場に黒い影がよぎる。そう、いよいよ今年から陸自ヘリ部隊に配備された戦闘ヘリAH-64Dアパッチの登場だ。アパッチは超低空で戦車部隊の上空を航過する。高い戦闘能力はもちろん、強力な索敵システムによって戦場全体を強力に監視する能力を持っている。そして意外と飛翔音も静かで、10tの重量を感じさせない。
AH-64D 「アパッチ」
最終段階として90式戦車が突入してくる。50tの重量を1500馬力で軽々と機動させている。クローラーが土塊を派手に撒き散らす。信地旋回(片側のクローラーを停止し、もう片方を駆動して行なう旋回)、停止、そして射撃。砲口に一瞬炎の華が咲き、大気を歪めながら砲弾が標的に吸い込まれていく。砲口から発せられた衝撃波と熱波、轟音が我々取材班や観客を打つ。これが120mm戦車砲の威力なのか。どれも74式戦車の射撃時より遙かに大きく強烈だ。
そして煙幕弾の斉射だ。まさに終幕ということだ。これで演習はすべて終了となる。演習場に進入した全車両が停止し、先ほどまでの砲声がすべて消え去り静まりかえった演習場に終了のラッパが響き渡る。
遠藤隊長を始め、我々取材班は魂を抜かれたように立ちつくす。火薬と鋼鉄の合奏による力の祭典はこれで終わりなのだ。
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