今回は筆者のキャラクター「機田ゆん」の声を使って合成音声で歌わせられるようになったのでレポートする。「UTAU」という歌声合成ソフトウェアを使用した。
▲完成した「機田ゆん」のUTAU音源で歌わせたもの
自分でレコーディングした声で歌わせられる「UTAU」に魅力を感じた
今年「イガク」という曲がリリースされた。原口沙輔さんの作った曲で、合成音声で歌われている曲である。所謂ボカロと言われるジャンルである。しかし、「VOCALOID」ではないらしいということにはたと気付いた。
重音テトという音源が歌っているのだが、これはどうやらUTAUというソフトウェアを使って作られた合成音声で、VOCALOIDとは全くの別物らしい。
UTAUとは、2008年に配布が開始されたフリーウェアで、Wikipediaによると「音声をまとめたファイルを使用し、を保ちながらピッチを変更でき、に対応した音声結合ツール」である。高度な技術で歌わせられる歌声合成ソフトは数あれど、自分でレコーディングした声で歌わせられるというところに魅力を感じ、筆者のキャラクターである「機田ゆん」のUTAUを作成することにした。
機田ゆんの普段の歌声は以下のような感じである。ウィスパーボイスで幼く、気だるいのが特徴的だ。
▲機田ゆんのオリジナル曲
▲歌ってみたもある
この声を合成音声にしていく。
参考にしたのはこのnoteだ。ソフトのダウンロードなどはこちらを参考にされたい。
317個の音をレコーディングしていく
まずはどの音をレコーディングするかを決めなくてはならない。何の音をレコーディングするかは人によって流派があるらしい。たくさん録ると良いUTAU音源にはなるが、レコーディングが大変になる。
今回は、こちらのUTAUの作者さんのブログの5モーラを採用することにした。5モーラというのは5音の連続音という意味のようだ。
5音の連続音が317個ある…。とんでもない量だぞ…。
これらの連続音を、レコーディングしていく。筆者はここで、このUTAUコミュニティの厚さに驚いてしまった。
UTAUというソフトウェアは、突っ込んだ音源を歌わせる機能を持つ。レコーディングやレコーディングした音源の整理は別でやらなくてはならない。しかし、UTAU製作者の方とは別の方が、UTAUのためのレコーディング支援ソフトを製作しているのである。これがコミュニティのすごさか、と感じた。
配布されているレコーディングソフトを使ってレコーディングを行っていく。流れる音に合わせて、リストの5モーラの音をレコーディングしていく。
レコーディングにおいて意外と大変なのは、レコーディングそのものだけではなく保存作業やレコーディングリストの管理だ。このレコーディングソフトでは、やじるし(↑↓)を押してリストの次の項目にいくだけで自動保存される。楽ちんすぎる。
▲レコーディング中の音は入っていないがこんな感じ
これを317個レコーディングした。
難しくはないのに、量が多すぎる。
レコーディングした声を母音と子音に分ける
次に、レコーディングした音声を母音と子音に分けていく。これも、レコーディングソフトを開発した方がソフトを開発して配布してくださっている。
今回は連続音を採用しているので、
「1音目の母音」→「2音目の子音」→「2音目の母音」
という風にレコーディングした音を分解していく。
動画を見てもらうのが一番わかりやすいだろう。
ひとつめの「ふふはほは」はずれていたので直しているが、ふたつめの「ぶぶばぼば」は自動調整で、直さなくてもかなりうまくいっているのがわかる。
「左」「オ」「先」「子」「右」というのはそれぞれ、
「左」…音声のはじまりの位置。1音目の母音のあたりに置いてみた
「オ」…オーバーラップ。1音目の母音が終わるあたりに置いてみた
「先」…先行発声。2音目の子音の子音の始まるところに置く
「子」…子音部。2音目の子音が終わるところに置いてみた
「右」…音声の終わりの位置。2音目の母音の最後の方に置いてみた
かなり自己流である。多分もっと良いやり方はあるので検索してみていただきたい。
これで設定をした音源をUTAUに入れ込むと、UTAUで歌わせることができる。
完成した合成音声で実際に歌わせてみた
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