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ASCII Power Review 第263回

6030万画素のコンデジです!!

「アポ・ズミクロン」の描写力に圧倒された!!フルサイズコンパクトカメラ「ライカQ3 43」実機レビュー

2024年10月17日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ライカからフルサイズコンパクトカメラ「Q」シリーズの最新モデル「ライカQ3 43」が登場した。2023年に発売された「ライカQ3」のバリエーションモデルで、6030万画素の撮像素子などカメラ本体のスペックや機能に変わりはないが、レンズには新設計の「ライカ アポ・ズミクロン F2/43mm ASPH.」が搭載されている。

 レンズ一体型機では「ライカQ3」の28mmのような広角レンズが主流だが、カメラマニアのなかには標準レンズのモデルも欲しいと思っていた人もきっと多いはず!(というか自分がそう・・・)。しかも一般的にフルサイズの標準レンズと言われる50mmではなく、少し広めの43mmという焦点距離もカメラマニアの心をくすぐる(フルサイズ36×24mmの対角線は約43mmなので、これが真の標準レンズだという説もあり)。

 さらに「アポ・ズミクロン」という名称は価格が130万円超の「ライカ アポ・ズミクロンM F2/50mm ASPH.」など、ライカ最高峰レンズに与えられる冠なので画質も間違いないはず!ということで、試用させてもらった。

 なお価格は「ライカQ3」の99万円から110万円(ともにライカラインストアの税込価格)にアップしているが、ここまでくると大差ないように感じてしまうのがライカのコワいところ。

すでに発売されているが、ライカストアや量販店など軒並み品切れ中・・・欲しい人は気長に待とう。

外観や操作性は元祖「ライカQ3」と変わらず
つくりの良さはさすがライカクオリティーだ

正面

 まずは外観からチェックしていこう。ボディーデザインに大きな変更はないが、「ライカQ3」との差別化のためかボディ外装が黒からグレーに変更されている。サイズは130×80.3× 97.6mmでバッテリー込み約793g。「ライカQ3」から奥行が5mm、重量50gほど微増しているが、十分コンパクトなサイズだ。

レンズ周り

 レンズには43mmと焦点距離が印字。距離目盛や被写界深度の表示があるアナログライクなピントリングもマニアにはたまらない。

マクロ

マクロ

 最短撮影距離は通常時で60cm、マクロで26.5cm(開放F値はF2.8になる)。マクロに切り替えると距離表示も変わるギミックも引き継がれている。

フード

 焦点距離が長くなったのにフードは逆に短めに。ネジ込み式角型フードなのに、正位置でピタっと止まるのが気持ちいい。

上面

背面

 上面背面のボタン類の配置もまったく同じ。絞りやシャッタースピードは当然アナログダイヤルで操作。露出補正やシャッタースピードの1/3EVや1秒以上の長時間は上面右のダイヤルでおこなう。

Fnボタン

Fnボタン

Fnボタン

 上面ダイヤル中央と背面上部の2つ、十字キー中央のボタンには各種設定を割り当てることができる。

ホットシュー

 ホットシュー横には製品名が刻印されている

シャッターボタン

 シャッターボタンにはネジ穴が切ってあるが、残念ならが昔ながらのケーブルレリーズは使えず、レリーズボタンなどのアクセサリーは付けることができる。

EVF

 EVFは576万ドット、倍率0.76倍。高精細で視認性は良好。覗き窓横のプッシュ式視度補正ダイヤルもカッコイイ。

背面液晶

 背面液晶は上下に可動するチルト式。タッチパネルだが一部のメニュー画面ではタッチ操作ができない仕様もそのまま。

端子

 端子類は左側面のHDMIとUSBのみ。USBは充電にくわえ9V/3A(27W)以上の出力があれば給電も可能。

メディア

 メディアスロットはUHS-Ⅱ対応SDのシングルで底面に配置されている。

バッテリー

 レバー&プッシュ式のバッテリーも変わらない。撮影可能売僧は公称350枚。実際の撮影でもRAW+JPEGで238カット476枚撮影の時点で残量目盛ひとつ残っていた。

撮像素子は変わらずだが
「アポ・ズミクロン」の解像力は圧倒的

 肝心の画質だが、実際に撮った写真をみると、その解像力に驚かされる。6030万画素と高画素なこともあるが、やはりレンズ性能によるところが大きい。さすが「アポ・ズミクロン」の威力だ。

 この精細な描写のおかげで、何気ない景色も奥行のある立体感が感じられるから不思議だ。(以下作例はクリックすると実寸に拡大されます)。

絞りF8・シャッタースピード1/160秒・ISO50・感度ホワイトバランスオート。

 

絞りF5.6・シャッタースピード1/400秒・ISO100・感度ホワイトバランスオート。

絞りF4・シャッタースピード1/160秒・ISO50・感度ホワイトバランスオート。

絞りF2.8・シャッタースピード1/2000秒・ISO50・感度ホワイトバランスオート。

絞り画質比較の元アングル

絞り画質比較の拡大

 絞り値によるレンズの描写の違いもチェックしてみた(ライカで定点テストは野暮な気もするが…)。開放F2から中心部の解像力は高く周辺部も像の乱れはない。

 少し絞る(F4~8あたり)とさら向上し、最小F16でも回折現象の影響はわずか。周辺光量低下はF2で少し残しているが、F4程度まで絞ると画面均一に補正される。以下は絞り開放での作例だ。

絞りF2・シャッタースピード1/800秒・ISO100・感度ホワイトバランスオート。

絞りF2・シャッタースピード1/250秒・ISO100・感度ホワイトバランスオート。

絞りF2・シャッタースピード1/2500秒・ISO100・感度ホワイトバランスオート。

絞りF2・シャッタースピード1/500秒・ISO100・感度ホワイトバランスオート。

 開放F2という明るさは今時ではそれほど大口径というわけではないが、ピント部の解像感との対比やボケの滑らかさで被写体を引き立ててくれる。以下がマクロでの作例だ。

絞りF2.8・シャッタースピード1/2000秒・ISO50・感度ホワイトバランスオート。

絞りF2.8・シャッタースピード1/2000秒・ISO50・感度ホワイトバランスオート。

絞りF2.8・シャッタースピード1/2000秒・ISO50・感度ホワイトバランスオート。

 ボケの味わいはマクロモードでも楽しめる。ピント部の前後から滑らかにボケていく様子が気持ちいい。デジタルズームも試してみた

「ライカQ3」と同様に画像をクロップするデジタルズームも搭載。画角は「Q3」の35/50/75/90mm相当から60/75/90/120/150mm相当になった(画角ごとの解像度は表を参照)。

43mm

60mm

75mm

90mm

120mm

150mm

 任意の「Fn」ボタンにデジタルズームを割り当てておけば即座に画角を切り替られ、画角がM型ライカのようにブライトフレームで表示されるのは変わらない。ただ120mmとか150mmではさすがにフレームが小さくなる。

 高感度も「Q3」と同等の画質。初期のノイズ処理が弱に設定され、ISO6400あたりからノイズを感じるもが、そのぶん解像感も保持されISO25000程度までは実用的だ。

感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO3200・ISO6400・ISO12500・ISO25000・ISO50000・ISO100000。

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