OM SYSTEMからマイクロフォーサーズ機「OM-1 MarkⅡ」が2月23日に発売となる。
2022年に登場の前モデル「OM-1」からスペック面での大きな変更はないが、バッファメモリの増量や「ライブGND」などの機能が追加されている。
OM SYSTEMから試用機とともに、同時に発表された超望遠ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」と広角ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II」も合わせて借用できたので、進化ポイントを中心に試用してみよう。
2月23日発売で量販店価格はボディーのみ30万5800円。レンズキットは「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」が33万8800円、「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」が37万7300円となる。
同時に発表された「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」(左奥、3月1日発売予定で44万円)と広角ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II」(手前、2月23日発売予定で6万9080円)
ボディサイズは変わらず
背面ボタンからメニュー画面呼び出し可能に
外観はペンタ部のロゴがようやく「OLYMPUS」から「OM SYSTEM」に変更されたが、デザインやスペック上のサイズ重量はまったく同じだ。
けっして小柄とは言えないサイズ感だが、細身で深みのあり特に中指が掛かる部分の形状のグリップが握りやすく、ホールド感は優秀だ。
操作系の配置も変わらない。ボタン類はストロークが深く押しやすく、上面の「動画」ボタンと背面の「ISO」ボタンなどは自由にカスタマイズできる。ただ背面の「マルチセレクター」は今ふうなフラットな形状に改良して欲しかったところ。
ファインダー右にモードダイヤル。左肩には連写やストロボ、AFや測距を切り換えるボタンと電源スイッチを配置。シャッターボタン後の「露出補正」と「動画撮影」のボタンはカスタマイズで他の機能も割り当てられる。
ちょっとした変化としては背面右下部の「ゴミ箱ボタン」からメニュー画面を呼び出せるようになった。確かに現在の位置(背面左上)でメニューを表示させるには両手を使うことになるが、「ゴミ箱ボタン」の位置なら片手でも行える。撮影時は特に使うことのない「ゴミ箱ボタン」を活用した地味ながらナイスなアイディアだ。
またメニュー画面も上部の左右タブのみタッチ操作ができるようになった。どうせならすべてタッチ操作にしてくれよと思ったりもするが、それでもダイヤルよりは素早く操作ができるようになったので良しとしよう。
EVFは576万ドットの高精細で撮影倍率も最大1.65倍で視認性は優秀。メディアはUHS-2対応のSDデュアルスロット。バッテリーは前モデルから採用された「BLX-1」で、ボディー充電用のACアダプターを付属するが、専用充電器「BCX-1」(実売1万4300円)は別売だ。このあたりも前モデルと同様だ。
新機能「ライブGND」を搭載
手ブレ補正はボディー単体で8.5段に
OM SYSTEMはカメラ内で合成し画像を生成する「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」が充実いているが、新機能としてアピールされているのが「ライブGND」だ。
ハーフNDフィルターと同様の効果が得られるもので、グラデーションの角度や位置も変えられ、光学フィルターよりも自由度が高い。明暗差が大きい風景写真の撮影などで活躍してくれる。
ライブGNDの作例。同じ風景でも印象の違う写真にできる。使用レンズはともに「12-40mm F2.8II」、GNDなしは絞りF8でシャッタースピードは1/500秒。GNDありは絞りF8でシャッタースピードは1/200秒。GND段数GND8、フィルタータイプSoft。
また同じく「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」の三脚使用で8000万画素、手持ちでは5000万画素相当の高解像度で撮影できる「ハイレゾショット」では、RAWの14bitに対応した。スローシャッター効果の「ライブND」もND64(6EV)からND128(7EV)と減光量の幅が広くなっている。
ハイレゾショットの三脚(14bitRAW)で撮影した画像からJPEGに出力。正直12bitとの違いはわかりにくいが、せっかくなら高画質で記録したいと思うのが人情というもの。使用レンズ「12-40mm F2.8II」・絞りF8・シャッタースピード1/400秒・ISO200・ホワイトバランスオート・三脚ハイレゾ。
ライブNDの作例。前モデルより1EV多く減光できるのは、明るい屋外で撮影するときには有難い。使用レンズ「12-40mm F2.8II」・絞りF13・シャッタースピード2秒・ISO100(拡張感度)・ホワイトバランスオート。
AFも前モデルでは人物の「顔/瞳」と「被写体検出」が別項目になっていて少し設定がわずらわしかったが、本モデルでは統合され任意のボタンに「被写体検出」を割り当てておけば、ON/OFFや検出対象の変更が即座に行える。
また画面内に複数の被写体を検出した場合、ボタンとダイヤル操作で対象を切り換えらえる「被写体選択」や、C-AF(AF追随)での撮影時に検出被写体の追尾を測距点の範囲内に留めるか画面全域で追尾するかを選択できる機能も新しく搭載されている。
電子シャッターでの最高連写速度もAF/AE追従で秒50コマ、AF/AE固定なら秒120コマと変わりないが、バッファが増量され200コマ以上連続して撮影することができるようになった。
連写はメカシャッターで秒10コマ、ブラックアウトはするが特に制限のない電子シャッターだと秒20コマ。AF/AE固定秒120コマ(SH1)はシャッタースピード下限が1/15秒に制限される。AF/AE追従で秒50コマ(SH2)はシャッタースピード下限が1/640秒で使用可能レンズも限られる。対応していないレンズでは秒25コマになるがシャッタースピードード下限は1/160秒までさがる。
水飛沫をあげるカモメをAF/AE追従のSH2で撮影。ただ使用レンズの制限で連写速度は秒25コマだった。使用レンズ「150-600mm F5.0-6.3」・絞りF6.3・シャッタースピード1/4000秒・ISO1000・ホワイトバランスオート。
「プロキャプチャー」の作例。肉眼では捉えられない瞬間が撮れるのが楽しい。使用レンズ「150-600mm F5.0-6.3」・絞りF6.3・シャッタースピード1/2500秒・ISO1600・ホワイトバランスオート。
撮像素子は裏面照射積層型2037万画素、高感度も最高ISO25600(拡張でISO102400)と変わりなく、画質的にも同等に感じた。
感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO3200・ISO6400・ISO12800・ISO25600・ISO51200・ISO102400。使用レンズ「12-40mm F2.8Ⅱ」・絞りF5.6・ホワイトバランスオート・ノイズ処理標準。
ただ手ブレ補正はボディー単体で7段から8.5段と更に進化。キットレンズの「12-40mm F2.8 II」で試してみたが、遠景なら広角側で4秒程度、望遠側でも2秒程度までは高確率でブレを防止してくれた。
新レンズは150-600mmと
リニューアルとなった9-18mm
同時に発表されたレンズ達も紹介していこう。「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」は最大径109.4mmで全長264.4mm、重量2065gとそれなりのサイズだが、35mm換算300-1200mmという破格の超望遠ズームと考えれば小柄ともいえる。
ユニークなのはズームトルクの切換機能で、滑らかな「S」のポジションにするとレンズ前玉を前後に動かし直進式のようなスムーズなズーム操作ができる。AF/AE追従秒50コマには非対応で価格も高価だが、手軽に超望遠を楽しみたい人はチェックしてみよう。

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