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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第268回

ポケモン激似? 「パルワールド」は本格的な係争になるか

2024年01月30日 07時00分更新

文● 小島寛明

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 オープンワールドのゲーム「パルワールド」が、二つの意味で注目を集めている。

 一つ目は、その人気の高さだ。

 2024年1月19日に、PCのゲームの配信プラットフォームSteamで発売されたばかりだが、1週間足らずで、売り上げが800万本を超えた。

 さらに、Steamで同じ時間にゲームをプレーしている人の人数を示す同時接続数が過去最高を記録したという。

 二つ目は、著作権を巡る議論だ。

 パルワールドに登場するモンスター「パル」は率直に言って、ポケモンを思わせるデザインだ。

 SNS上では「ポケモンに激似」「パクリ」といった声が飛び、株式会社ポケモンが声明を出すに至った。

 著作権を巡って、本格的な係争に発展するのだろうか。

マイクラ+ポケモン?

 パルワールドとは、どんなゲームなのだろうか。

 Steam上のゲームの紹介文には、「マルチ対応のオープンワールドサバイバルクラフトゲーム」とある。

 「サバイバルクラフトゲーム」は、まさにMinecraftだ。マイクラは、建物をつくって、ゾンビが徘徊する世界をサバイブする。

 ポケモンに似た要素が、パルの存在だ。

 パルワールドではパルを集めて、戦闘をしたり、農業を手伝ってもらったり、工場で働いてもらったりする。

 ゲーム画像を見る限り、筆者個人の第一印象としてパルのデザインはポケモンを想起させる。

 パルを捕まえるときには、「パルスフィア」という球体をパルに投げつけるのだが、こうした動作もポケモンのモンスターボールを思わせる。

 パルワールドを制作したのは、日本のゲーム会社ポケットペア社だ。

 ポケットペア社は、2015年4月創業。パルワールドのほかには、「クラフトピア」というオープンワールドゲームなどを制作している。

「ポケモンのいかなる利用も許諾していない」

 ネット上で「パクリ疑惑」が高まる中で、株式会社ポケモンは1月25日に次のようなニュースリリースを発表している。

 「お客様から、2024年1月に発売された他社ゲームに関して、ポケモンに類似しているというご意見と、弊社が許諾したものかどうかを確認するお問い合わせを多数いただいております。弊社は同ゲームに対して、ポケモンのいかなる利用も許諾しておりません」

 株式会社ポケモンは、ゲーム名の名指しは避けたものの、調査をしたうえで、「適切な対応を取っていく」構えだ。

 株式会社ポケモンの言う「適切な対応」とは、ポケモンとパルワールドを類似性を調べたうえで、著作権を侵害していると判断した場合、パルのデザインの変更を求めたり、裁判所に訴訟を起こしたりする可能性があるということだろう。

 ポケモン社が捨て置いて構わないと考えているのであれば、パルワールドの発売開始から1週間に満たないタイミングで、公式の声明は出さないだろう。

 株式会社ポケモンは、ポケットモンスター関連の様々な事業を行っている会社だ。事業の中核に位置づけられているのが、ライセンス事業だ。

 たとえば、おもちゃ会社がポケモンのぬいぐるみを製造・販売する場合、株式会社ポケモンから許諾を受けることになるのだろう。

 だからこそ、類似ゲームについて「いかなる利用も許諾しておりません」という声明になるのだろう。

 2023年6月26日の任天堂の開示資料によれば、任天堂は株式会社ポケモンの32%の株を保有している。

 任天堂からみると、株式会社ポケモンは子会社ではないが、関連会社にあたるということになる。

著作権管理に厳しい任天堂

 任天堂は、国際的にも著作権管理に厳しい企業と認知されている。

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