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ASCII Power Review 第207回

4月21日ついに発売されました!

シグマ新単焦点レンズ「17mm F4」「50mm F2」「23mm F1.4」実機レビュー = 絶対欲しくなるIシリーズの新兄弟だ!

2023年04月26日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 シグマが新レンズを発表した。フルサイズに対応する「17mm F4 DG DN」と「50mm F2 DG DN」、APS-Cで開放F1.4の大口径「23mm F1.4 DC DN」の3本で、ともに4月21日に発売された。

 17mmと50mmは、人気の単焦点シリーズの新製品で、23mmは大口径コンパクトということで、早速試撮してみた。

写真右から「17mm F4 DG DN」(8万8000円)、「50mm F2 DG DN」(9万9000円)、「23mm F1.4 DC DN」(6万4900円)。単焦点だけに、いずれもサイズはコンパクト。

Iシリーズ7兄弟に新しく加わるのは超広角
「17mm F4 DG DN」

 「17mm F4 DG DN」と「50mm F2 DG DN」の2本は、コンパクトサイズながら高級感がある金属素材の外装に、絞りリングを搭載したマニア好みの操作感で人気の「Iシリーズ」に属する。

重厚な質感が伝わる外装が「Iシリーズ」の魅力。付属のフードも金属性だ。

「Iシリーズ」の各レンズには絞りリングと「AF/MF切換スイッチ」を備えている。

通常のレンズキャップに加え、マグネットで着脱できる独自のキャップも付属する(45mmF2.8は使用不可なので付属しない)。

 「Iシリーズ」は、絞り値を控えめなぶん小型な「コンパクトタイプ」と、開放絞りをF2で統一した 「開放F2タイプ」(呼称は勝手に命名)に大別できる。つまり「17mm F4 DG DN」は「コンパクトタイプ」に、「50mm F2 DG DN」は「開放F2タイプ」に属することになる。

並べてみると、「コンパクトタイプ」の「17mm F4 DG DN」の小ささが際立つ。

細かい点だが「コンパクトタイプ」と「開放F2タイプ」では「AF/MF切換スイッチ」の形状が異なる。

 レンズマウントは「ライカL」と「ソニーE」があり、従来の製品と合わせ計9本がラインナップされている。

現行の「Iシリーズ」の主なスペック。キメ細かい焦点距離のラインナップがある。「コンパクトタイプ」のフィルター径が55mmで統一されている点も注目(スペックはLマウントモデル)。

 それぞれのレンズを見ていこう。「Iシリーズ」では最も広角になるのが「17mm F4 DG DN」だが、驚くのはそのサイズだ。

 スペックを見ると同じ「Iシリーズ」の「24mm F3.5 DG DN」とまったく同じで手のひらに収まるほどコンパクト。開放F値はF4と控えめ(とはいえ超広角レンズとしては十分のF値)だが、この小ささは素晴らしい。

「17mm F4 DG DN」のサイズは最大径64×全長48.8mm、重量225g。

「17mm F4 DG DN」に付属フードを付けて「fp L」に装着した状態。

 遠景の定点撮影で絞り値による画質の変化をチェックしてみると、開放F4では周辺光量低下がある補正になっていて、F5.6程度まで絞ると解消される。

 中心部の解像感は開放F4から高く、回折の影響が見られるF16程度まで保持されている。周辺部は開放F4でも像の乱れはほとんど感じない。

今回掲載する作例はすべてシグマ「fp L」で撮影。レンズ光学補正は初期設定(歪曲と倍率色収差はユーザーが設定はできず回折補正はOFF、周辺光量とカラーシェーディングはAUTO)、JPEGのFINEでホワイトバランスとトーンコントロールはオート、カラーモードはスタンダードで撮影している。

「17mm F4 DG DN」の開放F4と1段絞ったF5.6(下写真)の周辺光量の比較。

「17mm F4 DG DN」の絞り値による中心部の解像感の比較。

「17mm F4 DG DN」の絞り値による周辺部の解像感の比較

 撮り歩いてみると遠近感が効いた画角に、しっかり補正さ歪みのない画像で都市の景観を撮影するのに相性がよい、また開放絞りの光量落ちや、最短12センチの近接撮影を活かして味のある表現もでき、超広角スナップならでは写真が楽しめた。

広い画角を活かして都市の風景を撮影してみた。絞りF8・シャッタースピード1/320秒・ISO100。

建物を正面から見上げてしてみたが、歪みはまったく感じない。絞りF8・シャッタースピード1/320秒・ISO100。

逆光で撮影。ゴーストはあるがフレアは目立たない。絞りF16・シャッタースピード1/60秒・ISO100。

雑多な街中を絞り開放で撮影。周辺光量落ちが良い感じ。絞りF4・シャッタースピード1/1250秒・ISO100。

超広角の遠近感のあるスナップも面白い。絞りF4・シャッタースピード1/400秒・ISO100。

ほぼ最短距離で撮影。さすがに描写は甘くなるが、背景が広く写るのも超広角ならでは。絞りF4・シャッタースピード1/4000秒・ISO400。

超広角でもグッと近寄ると背景はかなりボケる。絞りF4・シャッタースピード1/2000秒・ISO400。

超広角ということもあり、手ブレ補正がなくても遠景なら1/8秒程度ならブレは目立たない。絞りF4・シャッタースピード1/8秒・ISO100。

サイズも高級感も満足のF2の標準レンズ
「50mm F2 DG DN」

 個人的に注目なのが「50mm F2 DG DN」だ。単焦点レンズといえば35mmや、最近ではスマホカメラの影響もあってか24mmといった焦点距離が人気だが、古くからのカメラマニアにとっては標準レンズと呼ばれる50mmが好きな人も多いはずだ!

 また現行のフルサイズミラーレス用の50mmは、開放F1.2~1.4クラスの大口径でとてつもなく高価かつ巨大だったり、F1.8~2クラスでお手頃価格だけど少し高級感が乏しかったりする。その点「50mm F2 DG DN」は小型で高級感があり価格も相応とバランスがよい。

「50mm F2 DG DN」のサイズは最大径70×全長68mm、重量350g。

「50mm F2 DG DN」に付属フードを付けて「fp L」に装着した状態。

 気になるのは画質だが、遠景の定点撮影でみると、周辺光量低下は1段絞ったF2.8でもわずかに残しF4程度でほぼ解消される。

 中心部の解像感は開放F2では少し甘さはあるがF2.8程度から向上し、F5.6~8あたりでピークになる。回折の影響は厳密に見ればF16程度から感じるが中心部は十分許容範囲。周辺部も中心部と同様の傾向だが像の乱れはない。

「50mm F2 DG DN」の開放F2からF4までの周辺光量の比較。

F2.8

F4

「50mm F2 DG DN」の絞り値による中心部の解像感の比較。

「50mm F2 DG DN」の絞り値による周辺部の解像感の比較。

 標準レンズ好きにとっては自然な画角と遠近感に、開放F2のボケ感が撮っていて気持ちいい。開け気味の絞りではシャープ感が控えめだが、人物など柔らかい描写が好まれる被写体には向いていそうだ。絞ってもそれほど硬くない自然な解像にも好感が持てる。

被写体を引き立ててくれる背景ボケが気持ちいい。絞りF2・シャッタースピード1/800秒・ISO200。

何気ない景色もボケを活かせば面白く見える。絞りF2・シャッタースピード1/6000秒・ISO100。

開放だとボケ過ぎたので、この場合はF4くらいがベストだと思った。絞りF4・シャッタースピード1/1000秒・ISO200。

肉眼に近い画角は、景色の一部を切り取るスナップに向いている。絞りF2・シャッタースピード1/800秒・ISO100。

F5.6まで絞って撮影。シャープネスは控えめだが、細部までしっかり解像している。絞りF5.6・シャッタースピード1/125秒・ISO100。

太陽が直接写り込む逆光を絞り開放で撮影したが、ハレーションは気にならない。絞りF2・シャッタースピード1/1600秒・ISO100。

50mmということもあり、手ブレせずに撮影したいときは1/60秒くらいが安心。絞りF2・シャッタースピード1/60秒・ISO800。

線路の高架下で撮影。背景の光源ボケが印象的に写った。絞りF2・シャッタースピード1/50秒・ISO100。

大口径なのにコンパクト
「23mm F1.4 DC DN」

 「23mm F1.4 DC DN」は、既に発売されている「APS-C開放F1.4シリーズ」に新たに追加されたレンズだ。このシリーズのレンズマウントは「ライカL」と「ソニーE」以外も多々ラインナップされている。

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