仮想通貨(暗号資産)取引所FTXの経営破綻の影響が広がっている。
同社は、2022年11月11日にアメリカの連邦破産法に基づく会社更生手続きを申請し、事実上経営破たんした。
負債総額は最大で7兆円、債権者は100万人を超える可能性があるとみられており、さまざまな影響が表面化し始めた。
仮想通貨関連の事業を行なっている企業の幹部らからは、連鎖倒産が続く可能性が公然と口にされている。
日本で暗号資産交換業者を運営するFTXジャパンは、16日に金融庁に対して業務改善計画を提出したが、同社のシステムが不安定になっており、ユーザーが同社のサイトにアクセスできない状態が続いている。
日本のFTXは「資産超過」
まず気になるのは、日本国内での影響だ。
FTXジャパンは、2022年2月にFTX Tradingが日本のQuoineの親会社であるLiquid Groupを買収し、国内市場に本格進出した。
FTXが11日に米国で破産を申請した際に提出した関連会社134社のリストを確認すると、企業名にJapanが含まれる企業は次の3社だ。
●FTX Japan Holdings
●FTX Japan
●FTX Japan Services
この他に、インドやシンガポール、タイにあるQUOINEの海外法人も2月の買収にともないFTXの傘下に入っている。
日本で暗号資産交換業者を運営するのはFTXジャパン。その親会社にあたるのはFTXジャパン・ホールディングスで、この2社については、FTXの創業者サミュエル・バンクマン・フリード氏が代表取締役として登記されている。
日本の暗号資産関連の制度上、顧客の資産は会社の資産と顧客の資産を分け管理することが義務付けられている。
理屈の上では、仮想通貨価格の変動で資産の価値は上下するものの、預けた資産は返ってくることが制度の前提になっている。
鈴木俊一財務大臣は15日の会見で、次のように述べて市場の沈静化を図っている。
「当社(FTXジャパン)は資産超過でありまして、利用者の財産も当社において管理・保全されていることが公表されているところでありまして、日本における利用者の保護は十分に図られているものと考えております」
一方、日本の暗号資産交換業者大手ビットフライヤーの創業者・加納裕三氏は16日、ブルームバーグテレビジョンに対して「リーマンショックのようだ」と、業界全体への大きな影響を語っている。
ただ、このインタビューを要約したブルームバーグの記事によれば、加納氏は、顧客の資産管理に関する規制の厳しい日本に資金が流入する可能性があると述べており、日本の業界にとってはビジネスチャンスだと強調しているようだ。
連鎖倒産の流れ
財務大臣の発言や金融庁の動きを見る限り、いまのところFTXの破綻の日本への影響は「限定的」と受け止められている。
ただ、海外では連鎖倒産と考えられる流れが確実に生じている。
ウォール・ストリート・ジャーナルは16日、暗号資産の貸し付けを手がけるアメリカの「ブロックファイ」が、破産申請の準備を進めていると報じた。
ブロックファイは、ビットコインなどを貸し出すクリプト・レンディングの分野で注目を集めた企業だ。
同社はFTXの関連会社である投資会社アラメダ・リサーチに多額の融資があるほか、資産の一部をFTXの取引所に保有している。
同社は11月14日に自社のブログで、顧客の資産の出金を停止する方針を明らかにしている。
16日のブルームバーグによれば、同様に仮想通貨の融資を手がけるジェネシスもFTXの破綻を受け、「異例の規模の解約請求」を理由に解約などの手続きを停止した。
絵文字で経費申請承認
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