日本の大企業もステーブルコインの普及に本格的に取り組むのだろうか。
日本の大企業74社が参加する「デジタル通貨フォーラム」が2021年11月24日、デジタル通貨「DCJPY」(仮称)構想のホワイトペーパーを公表した。
24日のNHKの報道によれば、このグループは、2022年3月までにデジタル通貨の実証実験を始め、22年度中の実用開始を目指すという。
企業グループの公表資料は「デジタル通貨」や「民間発行デジタル通貨」という言葉を使っている。
しかし、グループの構想は、ホワイトペーパーを読む限り日本円と連動する法定通貨担保型のステーブルコインに限りなく近い。
銀行による発行を想定
このデジタル通貨フォーラムには、いわゆる3メガバンクを始めとした金融機関、生保、損保会社、イオン、ANA、SBI、電通や大手商社、コンビニなど、ほとんどの人が知っている大企業が名を連ねている。
では、企業グループが発行を目指すデジタル通貨とはどんな内容なのだろうか。
DCJPYの特徴は、日本円と完全に連動し、銀行が発行することを前提とする点だ。
実際には、構想はもう少し複雑だが、ユーザーとしては、おおむね次のような使い方が想定されている。
- 銀行に口座を作って、日本円を預ける
- 銀行口座の預金からDCJPYを発行してもらう
- DCJPYを送金や、買い物に使う
DCJPYの発行や送金といった取引は、ブロックチェーン上に記録される。この点からも、「民間発行デジタル通貨」はステーブルコインの一種と考えてよさそうだ。
DCJPYの発行は、ユーザー目線のイメージとしては、交通系電子マネーやQRコード決済の「チャージ」に近いものがある。
スマホの決済アプリは、銀行口座やクレジットカードから残高をチャージするが、チャージの段階で預金も減る。
構想では、余ったDCJPYを日本円と交換することも想定されている。
ここまでは、ユーザーの立場としては、従来の決済アプリを使うのとあまり変わらないかもしれない。
スマートコントラクトの実装目指す
デジタル通貨フォーラムの構想では、スマートコントラクトの実装も想定されている。
たとえば、通信販売には「代引き」(代金引換)という仕組みがある。
インターネット通販で商品を注文し、商品が届いた際に、代金と引き換えに商品を受け取る。
この際、ユーザーは財布から現金を出したり、クレジットカードやスマホで支払いをする。
この取引にスマートコントラクトを実装すると、イメージとしてはこんな流れになる。
ユーザーは、購入の際にDCJPYによる代引きを選択する。
おそらく、この時点でユーザーと事業者は、「商品が届いたら支払いをする」という契約を交わす。
運送会社のドライバーが商品をユーザーの自宅に届けた時点で、引き渡しを記録する。
その時点で、ユーザーの口座からは自動的にDCJPYが引き落とされる。
上記はホワイトペーパーの内容から筆者が想像したものだが、スマートコントラクトが実装された場合、おおむねこうした取引の流れになるのだろう。
フォーラムには、ヤマトホールディングスも参加している。
既存の銀行に有利?
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