物価上昇の足音が聞こえてきた。
米国では2021年6月、消費者物価指数が前年6月と比べて5.4%上昇した。
米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7月14日、下院議会の公聴会で証言し、物価動向について「落ち着くまでに数ヵ月かかる」(7月14日、米ニューヨーク・タイムズ)と述べている。
Our World in Dataによれば、米国では7月14日までに、47.88%が必要な回数のワクチン接種を受けた。
ワクチン接種の進展に伴い、経済が本格的な再開に向かう中で、物価上昇が続いているという。
こうした価格動向が今後、日本にも影響するのは避けられないだろう。スマホの値上げも避けられないとの予測もみられる。
人々が動き出し、値上げが始まった
米国の物価上昇率は、エコノミストたちの予測を上回る水準になったと受け止められている。
7月13日の米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、航空券、衣料品、レストラン、レクリエーションなど幅広い分野のものとサービスが値上がりしている。
人々が動き出していることを実感させる価格の動きにも見える。
1年前の6月を振り返ると、飛行機は世界中で国内線も国際線もほとんど飛んでいなかった。
家の中にこもっていたため衣料品はあまり必要なかったし、そもそも感染が恐ろしくてレストランでの食事も、エンタメ施設に遊びに行くのも控えていた。
しかし、米国では、ワクチン接種がある程度進展し、人々が自由に行動するようになった。
いままでがまんしていたけれど、新しい服を買って、飛行機に乗って家族や友人に会い、レストランやエンタメ施設に出かける。こうした人々の動きが、ある程度価格に反映されたとも思われる。
スマホの価格上昇も近い?
米国の価格動向の中でも気になるのは、中古乗用車や中古トラック価格の上昇だ。
人々が動き出せば車も必要になるが、半導体の供給不足で、自動車やトラックの生産が追いつかない。この結果、中古車の需要が増え、価格が跳ね上がっているという。
6月24日の米ウォール・ストリート・ジャーナルは、米国ではノートPCやプリンターの価格も上昇していると伝えている。
半導体関連の部品の価格も高騰していて、一部の部品は40%値上がりしたという。半導体の供給不足と価格上昇にともない、スマホの値上げも予想されている。
ノートPCやプリンターと比べて、スマホは売れ筋商品だ。それだけに、スマホの店頭価格が値上げされるまで、ある程度時間差が生じるとも考えられているが、半導体や輸送費などコストの上昇はそろそろ限界に来ているという見方もある。
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