人間も動物のように冬眠ができる
最近、時空間的な話を書くことが多かったのですが、書いている時にふと思いました。「寝てる間になんとかして、遠い星にたどり着く方法はないかしら?」
普通の睡眠でも、意識がないせいか、寝て再び目が覚めるまではあまり時間の経過を感じません。気が付いたら昼まで寝ていた! ということもあります。半日寝ていたとしても、活動している半日とは時間の感覚が全く異なります。
私は一度全身麻酔下で手術を受けたことがあるのですが、その時も似たような感覚でした。麻酔を導入されるや否や、意識は無くなり、気が付いたら既に手術は終了。時間にして1時間少々のものでしたが、自分自身麻酔をされた後の記憶もなく夢も見ておらず、この間自分はどこにいたのだろうと、思い出してもまだ空白感が残っています。
もし長い間眠ることができたら、人体をそのまま保存する方法があったら、きっと数光年、数百光年離れた星へ、人類が調査や旅行に行く際の課題がひとつクリアになりそうな気がします(そこまでいく宇宙船も必要ですが)。そこで思いつくのが、『人工冬眠』それか『人体冷凍保存』。とにかくこの身さえ、今のままの状態を保てれば、気の遠くなるような星間移動も楽になるはず! ちょっとこの2通りの方法を検証してみたいと思います。
まずは人工冬眠です。読んで字のごとく、人工的に冬眠することです。
冬眠することで、生命活動に必要なエネルギー消費量を極力抑えることで、食料はもとより酸素の必要量や、健康体を維持するための活動量を減らすことができます。もし長期間、宇宙星間移動をすると考えると、冬眠することによって、生命活動に必要な物資や空間の量を減らすことができるんですね! しかし、エネルギー消費量を減らす冬眠のシステムってどうなってるのでしょうか?
そもそも“冬眠”と聞くと、クマやリスが冬の間穴の中で眠っている姿を想像しますが、実はこの冬眠中の動物の体には、起きている時と比べて驚くほどの変化があります。単に冬の間寝ているだけと思っていたら、そうではなかったのです。
ひとつは体温が下がります。クマでは通常時(活動している時)に比べ、だいたい5℃くらいさがりますが、リス(シベリアシマリス)はなんと、30℃以上下がって、体温自体が5℃くらいになります。そんなに下がってもまず生きていることがすごいですが、体温と同じくらい変化する要素がもうひとつあります。
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