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科学・生物で気になることをお届け! 「数式なんて知らんし!!」 第73回

フニャフニャした半透明の頭を持つ「デメニギス」 キモカワイイ深海魚のお話

2020年07月01日 12時00分更新

文● イラスト●せれろんやまだ(@Celeron_ymd

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そんなやわらか頭部で大丈夫か

 発売以降、知らなくてもよくツイッターなどで見かける、任天堂さんの“あつまれ どうぶつの森”。最近ゲームに疎いので、ちょこっと調べたところ、無人島でゆる〜くみんなと遊んだり、DIYや釣りが楽しめるコミュニケーションゲームなんですねこれって。

 そんなゆる〜い時間が欲しい最近ですが、この“あつ森”で釣れる魚の中に、『デメニギス』が入っていました。「ちょっと待て……デメニギスだと……?」

 デメニギス、ゲームをやっている人でもスルーしそうな聞いたこともない魚ですが、一言で紹介すると、“半透明の深海魚”です。字面だけだと何とも不思議ですが、その通り、“体が半透明の深海魚”です。そんな東京都推奨のゴミ袋みたいな体を持った魚がこの世にはいるのです。そして、全身が半透明なわけではなく、頭部だけが半透明なのです。人間でいうと……おっと、想像するとちょっと生々しいですねこれ。けど、実際のデメニギスを見ると……おや? なんだかちょっとカワイイ。いや、これはかわいらしいかもです。

 デメニギスの体長は約15cmほど。意外とコンパクトな体をしています。水深200mより深いところに生息している魚を“深海魚”と一般的に言いますが、デメニギスはだいたい400から800mのところにいます。ちなみに人間は、ギネス記録でも300mちょいしか潜れません。そう考えると、ふにゃっこい体を持った魚が水圧に耐えられているのがすごいと思います。そして、聞いたことのない名前だから、きっと遠い海外に……と思いきや、実は日本の近くにもいて、岩手県より北の太平洋亜寒帯海域に生息しています。岩手県が出た時点でめちゃくちゃ親近感が湧きます。

 そしてその最大の特徴、半透明の頭部。目と脳がスッケスケです。今回のメインビジュアルに、つたないイラストでデメニギスを描いていますが、外観は頭部だけが半透明で、あとはいたって普通の魚です。が、注目するべきはその“眼”です。正面に2つ、口の上についている……実はこれ、眼じゃありません。“鼻の孔(あな)”です。えっ? じゃあ眼はどこよ? それは半透明の中にある緑色の球体、これがデメニギスの眼です。前ではなく上を向いているんですね。これじゃあ前見えないじゃん! となりますが、実はこの眼、筒状になっていて、その軸を回転させることにより前方も見えるのです。それこそ、深海魚の中でもトップクラスの視野を持っているのです。そしてこの眼の内側に脳があります。

せれろんやまだ

 大手PC関連デバイス販売代理店で敏腕を誇った“姐御”。科学好きが高じてついに連載開始。夢は家事を放棄すること。

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