名前に反して可愛いイラスト
インターネットで時折流れてくる『デーモン・コア』という、ちょっとおぞましい単語。かわいげなイラストだったり、はたまた、それをモチーフにした造形だったり。科学者らしき白衣を着た人が半球どうしの間になにやらドライバーを挟み込んでいる様子から、その名を知った人も多いと思います。
この様子だけだと、ぱっと見「あっ、なんか有名な実験なのかな?」と思いそうなところですが、“デーモン・コア”と呼ばれてしまっているとおり、被害者を出してしまった実験なのです。デーモン・コア自体の用途も恐ろしいのですが、これを使った実験自体も、恐ろしく、かつ危険なものだったのです……。
デーモン・コア自体は、“球形をしたプルトニウムの塊”です。もうこの時点で怖いです。元々は、アメリカの三度の核実験(クロスロード作戦)で使われる予定だったのですが、予定前に行われた、このコアを使った測定実験による事故のため、2名の犠牲者を出してしまったのです。それゆえ、核実験は別のコアが使われたのですが、核実験自体でも想定外の事象が起こってしまったため、このデーモン・コアを使用する予定だった三度目の核実験は行われず、デーモン・コアは溶かされ、別のコアのために再利用されました。核という用途自体も恐ろしいものですね……。しかし、被害者を出してしまうほどの“恐ろしい測定実験”とは何だったのでしょうか? デーモン・コアがそう呼ばれる核心にせまっていきたいと思います。
核心にせまる前に、その実験の恐ろしさの本質である“核の臨界状態”と“放射線”について説明しましょう。
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