そろそろ日本も月に行っとこう
はやぶさ(初号機&2号機)の活躍や、ブラックホールシャドウの撮影など、偉業が続く宇宙イベント。さらに他の惑星やその衛星などを探査機たちがもりもり調査しているのを見ると、「そろそろ人類、もう1回くらい月に行ってもいいんじゃね?」という気になります。
今年7月は、そんな人類が月に初めて降り立って50年の記念すべき年です。アメリカでは記念硬貨とか出しちゃってます。リアタイでその様子を見たことがない方々も、テレビや宇宙関係のイベントなどで、その“小さな一歩でも人類にとっては大きな一歩”を見たことあるのではないでしょうか? そしてそんな人類を月まで運んだアポロ11号、また今後も人類は月に行くのでしょうか? 大統領は火星行っちゃう? とかおっしゃってますが、実は月に行く計画がこの日本にもあるんです! アポロ11号月面着陸50周年記念として、月の有人探査を振り返ってみましょう。
むかしむかし(とはいっても60年くらい前)、アメリカとソ連(今のロシア)は冷戦状態にありました。両国とも、優位性を絶対に相手には譲りたくない状態。いろんな分野において競争がはじまり、宇宙開発分野でもバチバチやることになってしまいました。で、最終的に“先に月に立った方が勝ち!”みたいな状態になっちゃったんですね。有人宇宙飛行の先を越されるなど、後れを取ってしまったアメリカ。当時の大統領ケネディさん、10年以内にアメリカは月探検するぞ! と大衆に公約するのです。当時の大衆は度肝抜かれますよね。ソ連より先に行きたいのはわかるけれど、確かに実現したら偉業以外の何物でもないけれど、お金もかかりすぎる(当時の為替で約9兆円)し必要な技術力もハンパない! と、当時のNASAのスタッフには懐疑的な人間もいたようです。
が、ソ連に勝つためにはやるしかない! と、お偉いさんたちは奮起です。こうして、『アポロ計画』として、人間を月に立たせて、無事地球に帰ってくる! という月の有人探査計画が進むのです。
この計画を達成するためには、当たり前ですが“人間”と、地球から月に向かう“ロケット”、そして月に着陸し、地球に戻ってくるための“宇宙船”が必要です。しかも、安全面はもちろん、コスト面、技術面のバランスが取れていないといけません。NASAのエンジニアたちは色々方法を考えました。計画初期では単体の宇宙船を打ち上げる方法が検討されていたようです。宇宙空間で組み立てるとか、複数の宇宙船を月でコントロールする、という実績がないため、不安が大きかったのです。
けれど、重量面や安全性を考慮して、最終的には“宇宙船を何機か同時に打ち上げる方法”がとられることになりました。アポロ11号と聞くと、あたかも宇宙船1機のようなイメージがありますが、複数の宇宙船で構成されていたのですね!
月まで行く、降り立つ、そして地球に戻ってくる飛行方式には『月周回ランデブー方式』という方法がとられることになりました。簡単にいうと、司令船と着陸船の2つの宇宙船を月に向かって一緒に飛ばし、月の周回軌道に入ったら着陸船を切り離して月に着陸させ、司令船は上空に待機させます。そして、着陸船は活動が終わったら再び上昇して、司令船と再度合体し、地球へ戻ります。
そして月へ向かう宇宙飛行士は、船長のアームストロングさんとオルドリンさん、コリンズさんの3名です。先の2名は着陸船担当で、コリンズさんは司令船担当です。
さあ、3名の宇宙飛行士と2機の宇宙船、打ち上げ時の不測の事態に備えた脱出システムを1つの大きな宇宙船(これがアポロ11号)に搭載して、大きなロケット(サターンV)で打ち上げます。
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