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小島寛明の「規制とテクノロジー」第31回

「漫画村」関係者逮捕 海賊版対策は新たな段階へ

2019年07月15日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 海賊版のマンガサイト「漫画村」を巡る事件が急展開した。

 フィリピンの入管当局が公表したプレスリリースによれば、フィリピンの首都マニラ近郊の国際空港で2019年7月7日、漫画村の元運営者とされる星野路実容疑者(27)が、同国の入国管理局に身柄を拘束された。

 さらに、複数の報道によれば、福岡県警などの合同捜査本部が7月10日、漫画村に海賊版のマンガをアップロードした疑いで、男女2人を著作権法違反の疑いで逮捕した。

 2018年4月以降の漫画村を巡る政府や関係機関の動きを振り返ると、今回の摘発は、海賊版サイトへの対策を進めるうえで、大きな意味があると考えられる。

 この1年、サイトブロッキングや、ダウンロードの違法化などの対策が浮上したが、いずれも反対論が根強く、具体的な対策を打ち出せずにいたからだ。

●逮捕容疑は「ワンピース」違法アップロード

 7月11日付の朝日新聞によれば、日本の警察当局は、東京都内に住む20代の男女2人を逮捕した。

 逮捕容疑は、2017年5月、集英社が出版するマンガ「ワンピース」866話の画像ファイルを漫画村のサーバーに保存し、だれでもマンガをダウンロードして読めるようにした疑いがあるとされる。

 漫画村は、マンガの最新刊や雑誌の最新号も含め、7万冊以上を扱っていたと言われる。

 11日付の毎日新聞は、星野容疑者を含め10人以上のグループが漫画村の運営に関与していた可能性があると報じている。

●つまづいた著作権法改正

 漫画村を巡っては、政府が2018年4月、接続を遮断するサイトブロッキングを、インターネットのプロバイダー(接続業者)に事実上要請。

 いったんはNTTグループがブロッキングの実施を決めたが、「表現の自由」や「通信の秘密」に抵触するおそれがあるとして、激しい議論が巻き起こった。根強い反対論や、漫画村が閉鎖されたこともあって、このときはブロッキングは実施されずに終わった。

 2018年秋以降は、文化庁が海賊版のマンガなどをダウンロードする行為についても違法とする著作権法の改正について議論を始めた。

 10日に逮捕された男女の容疑は、違法アップロードだ。つまり警察は、だれでも海賊版のワンピースを読める状態にした行為が著作権法に違反すると判断した。

 これに対して、2018年秋以降に議論されたダウンロード違法化は、こうした海賊版をダウンロードして読む行為についても違法とする内容の改正案だった。

 この改正案に対しても、著作権を侵害されうる立場にあるマンガ家たちからも反対の声があがり、法改正は見送られた。

 サイトブロッキング、ダウンロード違法化と、政府側が打ち出した海賊版対策が次々につまづく中で、関係者たちの間では「海賊版の対策には、捜査当局による摘発が大事だ」との声も上がっていた。

●運営者特定の困難も指摘された

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