量子といえばネコ よく聞く例え話
量子のお話を読んだり調べたりしていると、その中で必ずと言っていいほど登場するネコがいます。それが『シュレーディンガーの猫』。恐らく、物理学の世界では、一番有名なネコかもしれません。言っておきますが、シュレーディンガーさんが飼っていたネコのことではないですよ?
シュレーディンガーさんが、量子論の解釈をめぐって色々な物理学者とケンケンガクガクやりあった時に使った思考実験、つまり頭の中で想像した実験です。なのでこのネコは実在しません。そして、この思考実験の結果(=あらゆる物理学者が納得するような答え)はいまだに出ていないようですが、答えの中には、SFの世界が実在する的なモノもあるようです。
そして、そもそも「シュレーディンガーさんって誰?」って感じですが、こちらも量子のお話には欠かせない人物です。19世紀末生まれのオーストリア出身の理論物理学者で、量子力学の発展に寄与した人です。
今回は、量子の話をする上で欠かせない、『シュレーディンガーの猫』とは一体なんなのか、ネコは結果的に何を招いたのか、というお話です。
核心のお話の前に、”量子“と”そのふるまい“について少し復習したいと思います。
第1回の量子コンピューターのお話の際に、量子とは「粒」と「波」の2つの性質を持つこと、”重ね合わせ“という異なった複数の状態を同時にとることができます。
量子の代表選手である電子も、この性質を持っています。電子は、観測する前はその存在が波のように広がっています。そのため、波長(波のタイミング)を持っているのですが、この波の伝わり方を計算する方程式をあみだしたのがシュレーディンガーさんです。なので『シュレーディンガー方程式』という名前がついています。この方程式、電子に限らず、いろんな物質で使えるみたいです。
この方程式の中に、実際に波を表す部分が入っているのですが、この部分が火種になってしまいました。虚数という”想像上の数字“がこの部分に入っているため、波自体も”想像“になってしまいます。そう、物理学者が毛嫌いする「想像」!
そのため、物理学者は想像を実体のあるものにするため、いろんな研究をし、計算をし、結果を出そうとします。そして、ボルンさんという物理学者がこう解釈しました。「うん、この部分は電子がみつかる確率だね!?」
電子の波は、「電子が発見される確率のこと」という解釈です。
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