木を隠すなら森作戦は誰に対してもやさしい
駆け出しライターの頃、週アス編集部に泊まり込んでベンチマークをすることがしばしばありました。あまりほかの先輩ライターとやりとりすることはなかったのですが、ある方(Aさん)だけはなんとなくウマがあって親しくさせてもらい、たまにアドバイスをいただいたりしました。
印象に残っているのは、「ベンチマークフォルダーってほかの人はまったく興味がないから、エッチな動画を隠すなら持ってこいだよ」というアドバイスです。なぜ印象に残っているかというと、Aさんが実践しているのを偶然知ってしまったからです。
ある日編集部でベンチマーク中、離席しているAさんのパソコン画面がたまたま目に入り、開いているフォルダーの中に「網タイツ」というカテゴリーを見てしまいました。「OCCT」や「3DMark」などに並んでの網タイツだったので、八百屋でDDR4メモリーが売られているくらいの違和感がありました。同時に、エロのなかでもサブカテゴリーっぽい感じが妙に本気な雰囲気を醸し出していたのを覚えています。
Aさんには隙がありました。しかし、ベンチマークフォルダーに恥ずかしいデータを隠すというのは、ひとつの有効な作戦だと思います。木を隠すなら森というわけです。
木を隠すなら森は、家族にもやさしい作戦だと思います。
端末ロックを強化して死後のログインを一切受け付けない作戦をとると、恥ずかしいデータとともに、家族とのちょっとしたメールのやりとりや写真、あるいは定額サービスのIDなども一緒にブロックしてしまう恐れがあります。
それが木を隠す~作戦なら入り口はオープン。家族は大通りを歩いて思う存分ほしい情報にアクセスできます。ただし、その際、恥ずかしいデータは徹底的にステルスしなければなりません。クイックアクセスを有効にしたりするのは、森のなかに電飾付きの「NEW!」看板を打ち立てるようなものです。森は森。よくわからないその他大勢のデータであり続けなくてはならないのです。実践できれば、自分も含めて誰も傷つけることなく平和に誘導できるでしょう。
スマホでさりげなく隠すのはなかなか難しい
ただ、この作戦はパソコン向きなのかもしれません。
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