米国・EUでは「表示」も制限 特殊なH3ライセンス
そして、ローカルモデル向けの「H3ライセンス」は動画AIを巡る複雑な状況を受けているためか、非常に奇妙なものになっています。
日本での利用には特に問題はないのですが、EU・英国・韓国・米国での利用だけでなく、生成物の「表示」まで明示的に不許諾です。そうした地域では利用する前にMiniMaxに申請し、ライセンスを得る必要があります。さらに、この項目を厳密に読むと、全世界の人が見る可能性があるYouTubeやX等のSNSへの投稿も制限されると読み取れます。また、補償条項には金額上限がなく、H3ライセンスが終了後も存続します。これは利用ユーザーにMiniMaxに対する無上限の契約上の補償義務があるということです。
これは、EU・英国・韓国への制限は、それらの国が定めるAI法により、オープンモデルを出す企業にまで、さまざまな表示義務など、利用者の行為に関する責任まで及ぶリスクがあることを嫌ったものと思われます。類似例としては、テンセントのAI向けのコミュニティライセンスでは同じようなEUと韓国への制限を課しています。アメリカでは、昨年9月にディズニーなどの映画会社から著作権侵害により米国で訴えられており係争中です。アメリカではオープンモデルを展開していないと主張するための措置と考えられます。
また、利用者への責任は、仮にトラブルが起きたときには、その責任を利用者側に戻せるようにする目的だと思われます。
一方で、MiniMaxの有料のAPIを使って、H3を利用した場合には、世界で商用利用できるという規約になっており、本格的に商用利用したい人や組織には、そちらを促すような仕組みになっていると言えます。利用者は、ローカルモデルでH3の可能性を探り、本格的な商用利用ではAPIを使ってもらい、そこで利益を出すというモデルを想定しているようです。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第167回
AI
“Fable級が無料”は本当か AI市場を震撼させた「Kimi K3」を試した結果 -
第166回
AI
社内WebサービスをAIで開発 完成後に直面した運用の壁 -
第165回
AI
AIがBlenderを勝手に操作 3D制作のハードルが一気に下がった -
第164回
AI
AIはすでに、私たちの心を内部で再現しているのかもしれない -
第163回
AI
無料の画像生成AI「Krea 2」が話題 実写もアニメもこなす新勢力 -
第162回
AI
ローカルAIで“しゃべる推理ゲーム”を作ったら、思ったよりちゃんとゲームになってきた -
第161回
AI
わずか3日で停止された新AI「Claude Fable 5」は何がすごかったのか -
第160回
AI
寝不足になるほど面白い ローカルAIと音声合成をつないだら、キャラが普通にしゃべり始めた -
第159回
AI
AIを使える人と使えない人で、とんでもない差が出ると実感した理由 -
第158回
AI
SDXLの次はこれ? アニメ特化のローカル画像生成AI、驚きの実力 - この連載の一覧へ





