OMデジタルソリューションズがマイクロフォーサーズの「OM SYSTEM PEN」を発表した。
「PEN」といえば銀塩ではハーフカメラの人気シリーズとして、デジタルになってからは同社のM4/3(マイクロフォーサーズ)初号機に引き継がれた名称(いずれもOLYMPUS時代)。とはいえこのところは存在感が少々薄めで2021年の「OLYMPUS PEN E-P7」以来の新製品となる。
価格からするとエントリーモデルに位置するカメラだが、EVFを搭載したことに注目。今までのM4/3「PEN」シリーズは外部EVFに対応した機種はあっても、搭載していたのは2016年の「OLYMPUS PEN-F」のみ。実に10年振りにEVFモデルを復活させてくれたのは嬉しいかぎりだ。
発売は10月下旬予定とまだ先だが、短期間ながら実機を借りることができたので、実際に触れ撮ってみた印象をお伝えしていこう。
EVF搭載ながらサイズは微増
メニューが刷新され快適に
まずはボディー周りだが、従来の「PEN」シリーズを踏襲するスクエアなデザイン。前面の「PEN」のロゴが目立っているのが特徴的だ。
現行機の「E-P7」よりはわずかにサイズアップしているが、それでも十分コンパクト。前面のグリップや背面のサムレストも小振りだが、ボディーが軽量なので構えやすい。
ボディーサイズは125.8×74.5×43.3mm、重量はメディアバッテリー込みで393g。なお「E-P7」は118.3×68.5×38.1mmで337g。EVF非搭載だが、ストロボを内蔵(逆に「PENはストロボ非搭載)しているのでサイズ差はごくわずか。
上面のダイヤルはローレット加工で高級感があり、しっかりとしたクリックで操作していて心地いい。ただ電源レバーは小振りかつ固めなので少し慣れが必要だ。
背面のボタン類はストロークが浅く配置もやや窮屈なのが気にはなるが、ボディーサイズを考えると許容できる。
メニュー画面の操作が進化したのは嬉しい。今までのタッチ対応機種は上部の左右タブのみタッチ操作可能という謎の仕様だったが、本機では上下の項目でもタッチでの操作が可能になった。
特に使いやすかったのは設定したのち前画面に戻る際は「MENU」ボタンを押す必要があるが、これがタッチ操作でおこなえるようになり断然スムーズになったこと。些細なことだが優れた改良点だ。
EVFの236万ドットで倍率は最大1.23倍とスペック的には控えめだが、ファインダー好きにはとっては搭載しているだけで嬉しい。
なお上位モデルにある露出反映をオフにして肉眼に近い表示にする「S-OVF」モードは省かれていて、マニュアル露出でのストロボ使用は難しいかと思ったが、「ナイトビュー」モードをオンにすれば少し表示はカクつくが露出反映をオフすることが判明。ストロボ愛好家も安心だ。
メディアはSDのシングルでUHS-Iのみに対応だが、バッテリーとは別の専用のスロットなので、メディア交換はしやすい。
バッテリーは容量を増加した新型の「BLS-7」で公称撮影可能枚数は410枚。実際撮影してみると満充電からRAW+JPEGで306カット612枚に深度合成2カットと手持ちハイレゾ6カット撮影した時点でバッテリー警告が点滅した。ボディーやバッテリーのサイズを考えれば十分なスタミナだ。
側面端子はマイクとHDMI、USB-Cのみとシンプル。USB-Cの転送速度は2.0でPDにも非対応だが、ある程度バッテリー残量があれば5V1.5Aでの給電が可能だ。
被写体検出は優秀
ISO12800でも十分実用的
撮像素子は2037万画素で像面位相差AFに対応した。ただ測距範囲は画面全域ではなく、被写体検出も人物と犬・猫のみに限定される。この辺りは上位モデルとの差といったところだろう。
とはいえ街中のスナップでは低コントラストや暗所でもピントは迷うことなくAF速度的にも不満を感じることはなかった。
像面位相差AFということで、AF追随も試してみたが、電車のような規則的な動きなら問題なし。ただ連写はメカシャッターで秒5コマ・電子シャッターで秒8コマでしかAF追随はできない。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF9・シャッタースピード1/125秒・ISO200。
ダメもとで鳥を犬猫で検出するか試してみたら、迷いながらも検出することがあった。将来的にはアップデートで対応したりするかも。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/250秒・ISO200。
画質的には従来モデルと同等で、キットレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」との組み合わせで撮った写真を見ると、シャープ感が高く適度なコントラストと色乗りの良い発色でメリハリのある写り。
建物レンガの質感がシャープに再現されている。焦点距離14mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/640秒・ISO200。(記載がなければ以下設定は共通。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」・ホワイトバランスオート・ピクチャーモード「Natural」・シェーディング補正オフ・JPEG最高画質)
初期設定では周辺光量(シェーディング)補正がオフになっていて、キットレンズ「14-42mm」も絞り開放だと少し光量低下はあるが、1/3EV程度絞っただけで改善する。焦点距離25mm・絞りF4,5・シャッタースピード1/60秒・ISO200。
実際に撮っていてシャッターの感触が上品というほどではないが、機械らしい動作音で個人的には好みだった。シャッタースピードの上限はメカシャッターで1/4000秒だがストロボは1/250秒での同調が可能。電子シャッターではストロボ使用は不可だが1/32000秒まで設定できる。
ISO感度はISO200~6400、拡張でISO64とISO25600となっている。撮像素子サイズが小さいM4/3は高感度画質では不利だが、ノイズ処理のバランスが良く拡張のISO12800でも十分実用的だ。
「PEN」シリーズでは初めて防滴と防塵に配慮したボディーになった。等級はIPX1と「OM」シリーズ(「OM-D E-M10 Mark IV」と除く)のIP53ほどではないが、雨の日や水辺での撮影では安心だ。
防塵防滴はレンズも対応している必要があるが、キットレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III」は同じくIPX1だが、ダブルズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」は防振防滴には非対応になる。
手振れ補正は秀逸
「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」が楽しい
手ブレ補正も中央5.5段、周辺4.5段と上位モデルよりは劣るが、これが侮れなくて特に遠景ではシャッタースピード2秒でも高確率でブレを防止し、スペック以上の効果を実感できた。
「OM SYSTEM」がアピールする「コンピュテーショナル フォトグラフィ」の専用「CP」ボタンも搭載。ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回すと機能が切り替わり、その後ボタンを押すことでオンオフになり、さらに長押しをすると機能の設定画面が表示される。
ただこのボタンで切り替えられるは「ハイレゾ」・「ライブND」・「深度合成」・「HDR」・「多重露光」のみ。欲を言えばせっかく「デジタルシフト」や「ライブコンポジット」など面白い機能が搭載されているので、これらも「CP」ボタンで切り替えられるように改良してほしいところ。
主な「コンピュテーショナル フォトグラフィ」の作例。まずは「ハイレゾショット」。連写画像を合成して、最高50MB相当(8160×6120ドット)の高解像度画像を生成。撮影方法は三脚固定と手持ちが選択できる。この作例は手持ちで撮影。使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF9・シャッタースピード1/200秒・ISO6400。こちらはノーマル。
「ライブND」は減光効果により日中でもスローシャッターで撮影ができる。減光量は1~4EVの4段階が選べる。撮影モードはシャッタースピード優先かマニュアル露出で使用可能。こちらがライブND ND16(EV4減光)使用レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R」・焦点距離150mm・絞りF22・シャッタースピード1.6秒・ISO64。
「深度合成」ではピント位置を変えて撮影した画像を合成し、ピントの合う範囲を広くできる。少し画角が狭くなり、レンズが対応している必要もあるので公式サイトでチェック。焦点距離42mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO200。こちらはオフ。
「HDR」は露出を変えた画像を合成し、高階調の画像を生成する。一般的な「HDR1」とより印象的な「HDR2」が選べる。 焦点距離14mm・絞りF8・シャッタースピード1/100秒・ISO200(HDR2はマイナス補正をし、シャッタースピード1/200秒)。こちらはHDR1で撮影。
「多重露光」は2枚の画像を合成、1枚目の画像をオーバーレイ表示することもできる。テキトーに撮ると心霊写真みたいになるので気を付けたい。焦点距離14mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO200。
画像仕上げは通常のピクチャーモードとカラーとモノクロのプロファイル、さらにアートフィルターと多岐にわたる。これだけ種類が多いと迷いがちだが、そんなときにオススメなのが「ART BKT」だ。
一度のシャッターで設定しておいた画像仕上げを同時に記録することができるので、まずは気になる項目を選択し、そこから自分好みの画像仕上げを探していくといいだろう。
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