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Mr.ウォーカー玉置泰紀が厳選! おすすめスポット/アイテムベスト5 第21回

【決定版・沖縄旅で見逃せない場所ベスト5】首里城公開を秋に待つ沖縄。歴史と自然、独自の信仰、食、音楽が交差するメタ観光の楽園!

2026年06月30日 17時00分更新

文● 玉置泰紀(エリアLOVEウォーカー総編集長)

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さまざまなレイヤーが織りなす沖縄旅で見逃せないベスト5

第5位:現代のハブ建築で、最新のローカルビートと琉球史を交差させる

「沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)」

公式URL:https://okimu.jp/guide/

 那覇の新都心(おもろまち)にそびえ立つ、博物館と美術館が一体となった沖縄最大の文化施設。ここの見どころは、なんといってもその圧倒的な建築美だ。石本建築事務所・二基建築設計室の共同企業体が設計を手掛けた外観は、琉球王朝時代の「グスク(城)」の石垣がモチーフ。ただ形を似せたのではない。琉球石灰岩の骨材を混ぜ込んだプレキャストコンクリートを用いた壁面が、7〜8月の南国の強烈な日差しを和らげるルーバー(日除け)の役割を果たしつつ、風の通り道まで計算し尽くされた「環境対応型グスク」なのだ。

 もちろん、その美しい「器」の中に詰まった展示内容も実に面白い。博物館エリアでは「海と島に生きる」を総合テーマに掲げ、亜熱帯の自然や琉球王国の歴史にとどまらず、模型や人形、貴重な資料を交えてリアルに再現された「御嶽(ウタキ)」の信仰空間など、沖縄ならではのディープな民俗世界までを視覚的かつ立体的に体感できる。一方の美術館エリアでは、沖縄という特異な風土や過酷な歴史的背景から生まれた、地元ゆかりの作家たちによる力強い近現代アートの作品群にどっぷりと浸ることが可能だ。

【胸熱トリビア】 首里城や勝連グスクのなめらかな曲線を、機能的な現代建築に落とし込んだ構造美は、建築ファンならずともゾクゾクするはず。この計算し尽くされた空間で、沖縄の歩んできた歴史やディープな風土(マクロ)と、アーティストたちが放つ熱量(ミクロ)を同時にインプットして街へ出れば、景色がまったく違って見えるはず。旅の解像度を爆上げするために、最初に訪れるべき「メタ観光の起点」としてこれ以上の場所はない。 まさに筆者がそうだった。

【アクセス】沖縄都市モノレール(ゆいレール)「おもろまち駅」から徒歩約10分。

【行きやすさ・歩きやすさ】★★★★★

 館内は完全バリアフリーで非常に快適。天候に左右されずにじっくり沖縄の深淵を学べる。

グスクをモチーフにした大壁面をバックに筆者。背景にそびえ立つ、なめらかな傾斜を持った白いコンクリート壁と、規則的に並ぶ四角い開口部(ルーバー)。環境対応型の現代のグスク建築そのもの

施設内(屋外展示場)に再現されている沖縄の伝統的な木造民家(筆者撮影)

第4位:昭和レトロの迷宮で、食と酒の歴史をディグる

「栄町市場」

公式Instagram:https://www.instagram.com/sakaemachi_ichiba/

 ゆいレール安里駅からすぐの場所にある、歴史ある市場。ここは沖縄戦で焼け野原となった「沖縄県立第一高等女学校」の跡地に、戦後の復興期に誕生したという重い歴史のレイヤーを持つ。現在は約120〜150もの店舗が肩を寄せ合うように密集し、縦横無尽に狭い路地が走っている。昼は地元のおばぁたちが新鮮な食材や惣菜を売るノスタルジックな公設市場の顔を持つが、日が暮れると一転、迷宮のような路地に赤提灯が灯り、千ベロ文化が根付く個性豊かな飲食店がひしめく大歓楽街へと変貌する。

【胸熱トリビア】 特に7〜8月の最終土曜日に開催される名物「栄町市場屋台祭り」の熱気は凄まじい。路地裏に組まれた特設ステージでは、おばぁたちの三線の唄声から地元の若者たちのビートまでが混ざり合い、これぞチャンプルー文化の極致といった盛り上がりを見せる。ここで味わうべきは、このカオスな迷宮に刻まれた「食と酒が持つ歴史」だ。

 まずは路地に簡易座席を設けた屋台スタイルで絶品の餃子や小籠包を味わえる「べんり屋 玉玲瓏」や、60年以上秘伝のヤギ汁を守り続ける「山羊料理 美咲」、やかんでダシを注ぐ沖縄そばが名物のレトロ酒場「栄町ボトルネック」などをハシゴし、沖縄ならではのディープな食文化を胃袋に叩き込む。

 そして極め付けは泡盛の「古酒(クース)」。沖縄本土復帰の年(1972年)に創業し、首里に自社の古酒蔵を持つ老舗「うりずん」へ足を運びたい。太平洋戦争の沖縄戦で本島の蔵の多くが焼失した中、久米島など離島の一部には戦前の原酒が奇跡的に残った。古い酒に新しい酒を注ぎ足して熟成させる伝統技法「仕次ぎ(しつぎ)」で守られたその古酒は、まさに歴史そのものを飲む行為。

 真夏の夜の湿気の中でバニラのような甘い香りに包まれる時、元・女学校跡地から不死鳥のように復興したディープな夜の街並みが、脳内を心地よくバグらせてくれるはずだ。

【アクセス】沖縄都市モノレール(ゆいレール)「安里駅」から徒歩約2分。

【行きやすさ・歩きやすさ】★★★★★

 駅から至近で非常に巡りやすい。細い路地が入り組んでいるので、迷い込みながら楽しむのが正解。

栄町市場。パブリックドメイン

第3位:阿麻和利の野望が息づく、海を望む天空の要塞

「勝連グスク」

 勝連半島の根元にある丘陵上に、14世紀頃に築城されたとされる沖縄最古級のグスク(城)の一つ。15世紀、圧倒的なカリスマ性で激動の琉球戦国時代を駆け抜け、首里の王権に最後まで立ち向かった稀代の英雄・阿麻和利(あまわり)の居城として知られ、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として2000年に世界遺産にも登録された。

【胸熱トリビア】 一の曲輪(最高所)に立った瞬間に目の前に広がる、太平洋のダイナミックな360度パノラマ絶景は圧巻の一言。宿敵・護佐丸(ごさまる)の築いた中城(なかぐすく)城跡と対比される、女性的でたおやかな曲線美を描く石垣も素晴らしい。

 そして何より面白いのが阿麻和利という人物の評価だ。伝統的な組踊『二童敵討』などでは逆賊として描かれてきた彼だが、近年、地元では「地方の雄」として再評価が進んでいる。うるま市では、中高生が演じるミュージカル『肝高の阿麻和利』が上演され続け、今や全国的な熱狂を生んでいる。時代の推移によって歴史像が変わる、まさにメタな視点で歩きたい城だ。

【アクセス】那覇バスターミナルからバスで約1時間30分、「勝連城跡前」下車すぐ。

【行きやすさ・歩きやすさ】★★★☆☆

 頂上まではかなりの急勾配の階段や石畳を登るため、スニーカー必須。公式URL:https://www.katsuren-jo.jp/

勝連城跡・世界遺産

勝連城跡

第2位:体育館の下はすぐ海! 波音が響く廃校と「ウンガミ」の熱狂

「大宜味村立旧塩屋小学校 ほか(やんばるエリア)」

一般社団法人​大宜味ユーティリティーセンターURL:https://www.ogimi-okinawa.jp/

 沖縄本島北部、世界自然遺産の森が広がる「やんばる」地域。この地で8回(約8年間)にわたり開催され、大宜味村を中心に名護市、本部町、国頭村、東村、今帰仁村などを巻き込み、のべ35万人もの来場者を動員した「やんばるアートフェスティバル」。

 私が現地取材で何度も足を運んだこの壮大なプロジェクトは、2025年の開催をもって惜しまれつつ一つの区切りを迎え、その歴史に幕を下ろした。

 しかし、その主会場であり100年以上の歴史を持つ旧塩屋小学校は、今も大宜味村の拠点として確かに息づいている。

 現在は合宿施設やキャンプ場、BBQスペースとして運営されており、事前に予約をすれば一般客でもこのノスタルジックな空間を利用することが可能だ。

 さらに、夏から秋の入り口にかけて、この場所を訪れるべき最大の理由がある。旧盆明けの初亥の日(例年8月下旬〜9月上旬)に塩屋湾一帯で開催される国の重要無形民俗文化財「ウンガミ(海神祭)」だ。

【胸熱トリビア】 なにしろこの廃校、ロケーションが尋常ではない。塩屋湾の波打ち際に建ち、「体育館の下がすぐ海」という全国でも類を見ない奇跡的な地形に位置しているのだ。敷地の際まで近づくと、すぐ下からチャプチャプという穏やかな波の音が常に聞こえてくる。

 そして「ウンガミ」の時期になると、この静寂なロケーションは一変する。400年以上の伝統を誇る神事が行われ、湾内では「ウガンバーリー(御願ハーリー)」と呼ばれる伝統漁船サバニの熱気あふれる競漕が繰り広げられる。

 女性たちが半身海に浸かりながら太鼓を打ち鳴らし、漕ぎ手の男性たちを迎える姿はまさに圧巻だ。のべ35万人を魅了したアートフェスティバルがこの地に残したクリエイティブな記憶の層の上に、古い祈りの唄や太鼓の音が重なり合う。この鮮烈なコントラストと熱量の交差は、この時期、この地でしか絶対に味わえないメタ観光の極みである。

【アクセス】那覇空港から車(沖縄自動車道経由)で約1時間45分。

【行きやすさ・歩きやすさ】★★☆☆☆

 那覇からは距離があるためレンタカーが必須。校舎周辺を歩くためスニーカーがベスト。キャンプ等の施設利用や毎年の「ウンガミ」のスケジュール(※年によって開催時期が変動するため注意)は、事前に大宜味村の公式情報等で確認を。

2021年の取材で訪れた旧塩屋小学校

旧塩屋小学校の外には海が広がる(2021年。筆者撮影)

旧塩屋小学校(2021年。筆者撮影)

旧塩屋小学校(2021年。筆者撮影)

第1位:琉球のシンボル、「見せる復興」の現在地と歴史的瞬間

「首里城公園」

公式URL:https://oki-park.jp/shurijo/highlights/

 那覇の街を見下ろす高台に鎮座する、琉球王国の政治・外交・文化の中心地。2019年の火災から力強く立ち上がり、現在(2026年時点)は秋の内部公開へ向けた最終調整が進んでいる。復元への道のりは、作業工程そのものを公開する「見せる復興」として進められてきたが、2025年6月に素屋根見学エリアの公開が終了し、同年10月には約6年ぶりに正殿がその美しい姿を完全に現した。

 つまり、今の時期に訪れる私たちは「足場越しではなく、美しく蘇った正殿の外観を直接目撃する最初の世代」となるわけだ。現在も有料区域内の展示室などで記録映像やパネルを通し、職人たちの熱量や復元の歩みを振り返ることができる。

【胸熱トリビア】お城ファンにとって、首里城は類を見ない名城。本州の直線的な城壁とは異なり、琉球石灰岩の天然の断崖を活かしたなめらかな曲線美の城壁が美しい。中国の冊封体制の影響を受けつつも、日本の和様建築とも異なる、琉球独自の美意識が結実した建築様式なのだ。

 今回、正殿の柱には過去の復元時と同様に台湾産ヒノキ(台湾桧)が一部使用されているが、これは海外から資材を取り寄せた海洋交易国家・琉球の歴史的ルートと見事に重なる。

 さらに屋根に目を向けると、正面と背面に配された阿吽一対の「鬼瓦」は、寄付金を原資とした復興基金で制作されており、県民や国民の祈りが文字通り城の一部となって組み込まれている。

 そして何より胸を打つのが、現在内部で進められている職人たちの手作業だ。正殿2階の玉座「御差床(うさすか)」の復元では、漆塗りの職人たちが龍の表情を決める「目の大きさ」を、検討委員会と現場で何度も何度も調整を重ねたという。

 何百年も受け継がれてきた伝統技法を用いながら、令和の職人たちが1ミリの妥協もなく魂を吹き込んでいく。生まれ変わった正殿の輝きをマクロに眺めつつ、県民の想いが宿る鬼瓦や台湾産ヒノキというミドルな視点、そして漆職人が見つめた龍の目というミクロなディテールを重ね合わせて楽しみたい。

 夏の夜間ライトアップで暗闇に浮かび上がる真紅の城郭を前に、火災から立ち上がる「時間のレイヤー」を全身で体感できる最高峰のスポットだ。

【アクセス】沖縄都市モノレール(ゆいレール)「首里駅」から徒歩約15分。

【行きやすさ・歩きやすさ】★★★★★

 公園内は整備されているが、坂道や石畳が多いため歩きやすい靴がおすすめ(※最新の公開エリア状況は公式サイト等で確認を)。

首里城公園 守礼門(沖縄県那覇市)

編集後記

 2026年秋、首里城の正殿が美しく蘇る。しかし、私たちが本当に目撃すべきは完成した建物だけではない。火災で失われたものを、職人たち、そして県民がどんな想いで積み上げてきたかという「時間の堆積」だ。

 やんばるの森で自然への畏怖を現代アートとして昇華させるクリエイターたちの熱量を思い出す。そして、悪役から地元の雄へと再評価された阿麻和利が駆け抜けた勝連グスクの地形。栄町市場でグラスの氷が溶ける音とともに味わう、奇跡的に戦禍を免れた古酒のコク。それらすべてが、今の首里城へと繋がっている。

 ただの「リゾート沖縄」で終わらせない、歴史・建築・データ・食・音楽が何層にも重なった「メタ観光の沖縄」。この秋は、ぜひその深淵にディープにダイブしてみてほしい。

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