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第23回 and SORACOM

仕組みとしてはシンプルだが、業務への効果は絶大

「現場に行くのが当たり前」を変えたアズビルのリモート調整 効果はプライスレス

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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 ビル空調の自動制御を提供するアズビルは、SORACOMを用いたリモートアクセスシステムを構築。現場に行くのが当たり前だった調整やメンテナンスの作業を遠隔から行なえる「リモート調整」を実現した。今回は課題を抱えていた調整技術部、導入を推進した技術本部・開発本部の4人に導入までの経緯を語ってもらった。

「ビルの頭脳と神経」を提供するアズビル

 アズビルは、ビルの制御を行う計測器・制御機器のメーカーとして知られている。空調やセキュリティの自動制御システムを提供しており、ビルの省エネ、快適性、安全性、効率的な運用などを実現する。国内では多くのビルでアズビルの空調制御機器が利用されている。

 アズビルが提供するのは「オートメーション」で、まさに「ビルの頭脳と神経」だという。今回取材したビルシステムカンパニー 調整技術部の弘中優成氏は、「家庭ではエアコンはリモコンでオン・オフしますが、一般のビルで管理人が空調機器を人手で管理するのはまず無理です。でも、アズビルの自動制御システムが導入されていれば、中央監視の画面から各フロアの状況を見て、コントロールできます」と語る。

アズビル ビルシステムカンパニー 関西支社 調整技術部 調整技術 1Gr 課長代理 弘中優成氏

 調整技術部の長年の課題は、竣工前ビルの現地での調整作業だった。アズビルの自動制御システムは、空調機や熱源など用途にあったDDC(ダイレクトデジタルコントローラ)というデバイスを取り付け、収集されたデータを基に中央監視システムで可視化・制御するという仕組みになっている。

竣工前のビルの調整は現場での作業が必要だった

 自動制御システムを実現するため、竣工前のビルではすべてのデバイスに対してアドレスやパラメーターを設定し、現地で動作確認や試運転を行なっている。「ボタンを押したら、別の空調機器が消えた、動作が違ったみたいなことがあってはならないので、まずは系統と動作の確認を行なうのですが、これを現地の担当者と中央監視システムの担当者が連絡をとりあって、調整する必要があります」と橋本氏。これが調整技術部の業務だ。

アズビル ビルシステムカンパニー 関西支社 技術本部 技術管理2部 管理グループ マネージャー 橋本健氏

 しかし、空調機器の中央監視システムは現地にあるため、調整のためにはわざわざ現地に足を運ばなければならない。「竣工前のビルは厳しい環境にあります。夏は暑く、冬は寒い。ほこりっぽいですし、危険作業も伴います」とのこと。事務所から現場までの移動時間もかかるし、日によっては入室できないこともある。

 20年近く調整技術部に所属していた橋本氏からしても、リモートから中央監視システムを操作する「リモート調整」は宿願だったという。「現場では地べたに座って、夏場は暑い中パソコンを開いていました。空調の効いた事務所で現地の中央監視システムを見ることができないかと、以前から試行錯誤していました。リモート調整が実現したら、かなり業務の効率化になるなと思っていました」と橋本氏は語る。

アズビルのエンジニアリング

きっかけは「コロナ禍」 リモート調整のためにまずは手を動かす

 「リモート調整ができたら」という現場の思いは長年のものだった。これが実現できなかったのは、ひとえにセキュリティの壁である。ビルの自動制御システムのネットワークは完全な閉域網であり、インターネットには接続されていない。「インターネットにつなぐのは危ない」という懸念から、リモート調整は実現に至らなかった。

 この壁を壊すきっかけになったのは、コロナ禍だった。現場を支援するシステムの開発を手がける開発本部に所属する岡山義孝氏は、「開発やスタッフ系はリモートワークができたのですが、現場はまったくリモートできませんでした。でも、一部の業務だけでもリモートでできるのではないかと考え、橋本さんに相談を持ちかけました」と振り返る。調整技術部から現場との調整役である技術本部に移った橋本氏も、「コロナ禍でもスカスカの電車で現場に行っていました。なんとかしたいと思っていました」と語る。

アズビル ビルシステムカンパニー 開発本部 開発企画部 兼 デジタル推進本部デジタルそうぞう部 グループマネージャー 岡山義孝氏

 岡山氏はまず自ら手を動かすことから始めた。同社の「車座」という活動では、業務の10%を業務に直接関係しない自主的な活動に充てて良い。岡山氏は、この車座の活動でAWSのEC2上にVPNサーバーを構築し、Raspberry Piでゲートウェイを製作し、まずは技術と知識を蓄えた。「すでに現場では大規模なシステムができていたので、なんとか後付けでIoTのような仕組みを導入したいと考えていました」と語る。

 VPNを経由したリモート接続環境は構築できたが、岡山氏は複数の現場で同じレベルの運用は難しいと感じたという。果たして自社でサービスを管理・運用すべきなのか、他社が提供するリモートアクセスサービスを利用すべきなのかも迷っていたという。そんなときに岡山氏が出会ったのが、SORACOMだった。

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