無味無臭がいい。熊本で売ってる「調身料」ドンマインの正体とは
体にいいものは、だいたいおいしくない説
醤油、ラー油、マヨネーズ。調味料は、料理をおいしくしてくれる心強い存在だ。でも、ドバドバ使うのは、ちょっと気が引ける。かといって、塩分や脂肪分を抑えた調味料に切り替えると、なんとなく物足りない。
「おいしさ」と「健康」は、これまでずっと相反するものとして進化してきた。その2つを無理やり合流させようとしているのが、熊本大学発スタートアップ・株式会社サイディンだ。
「調身料」の中身は、わりと地味で安全な技術だった
同社が開発する商品は「ドンマイン」。味を調える「調味料」ならぬ、身体を整える「調身料」をうたう機能性食品だ。使われているのは、環状オリゴ糖の一種「シクロデキストリン(CyD)」。でんぷん由来の糖が輪っか状につながったバケツ型の分子で、内部に別の分子を「包み込む」性質をもつ。
この性質を利用すると、例えば、食事中の余分な脂質などを取り込み、そのまま体外へ排出してくれる。 要するに、こってりした料理をうっかり食べ過ぎてしまっても大丈夫、「ドンマイ(Don't mind)」というわけだ。
……と聞くと、「そんな都合のいい話、体に悪いんじゃないの?」と身構えてしまうが、ここで使われているCyDは、目新しい謎素材ではない。すでに食品添加物や医薬品分野で広く利用されてきた成分なので、安全性や性質については十分に研究されている。
ドンマインは「存在感ゼロ」で仕事をする
「でも、似たようなサプリがすでにあるのでは?」と気づいたかもしれない。実際、脂質や食事バランスを意識したサプリメントは、すでに数多く市販されている。それでも、ドンマインが少し違うのは、サプリメントのような存在感がないことだ。
まず、無味無臭。味も香りも変えないため、料理に混ぜても違和感がない。さらに熱に強く、揚げ物や炒め物、煮物など、加熱調理でも性質が変わりにくい。調理方法を選ばず、いつもの料理にそのまま使える。ラーメンにも唐揚げにも、調理時に入れてもいいし、食べるときに振りかけてもいい。
そして何より、サプリメントのように「飲んだ」「摂った」と意識する必要がない。食事に混ぜてしまえば、気づかないうちに余分な油分を包み込み、体外へ出やすくしてくれる。
健康を意識すると、味気なくなったり、満足感が下がって結局お腹が減ったりする。
その結果、かえって食べ過ぎてしまう──そんな人にとっては、“何も変えずに、裏でちょっとだけ帳尻を合わせてくれる”頼もしい味方なのだ。
調“身”料が生まれた、ちょっと世知辛い理由
ただし、この技術が最初から食品向けに研究されていたわけではない。サイディンの出発点は、抗がん剤を狙った場所に届けるためのドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリアの研究だった。
研究として一定の成果が出ていたとしても、医療用途では開発期間が長くなりがちで、売上が立つまでのハードルも高い。そこで同社が選んだのが、「まず売れる形」としての食品添加物という道だった。すでに実績のある素材を使い、日常に近い市場から社会実装を始めるという、きわめて現実的な判断である。
その結果生まれたのが、味を変えずに体を整えるという、少し変わった調身料「ドンマイン」だ。現在、ドンマインは熊本県内のスーパーや薬局で販売されているほか、オンラインでも購入できる。















































