バチっと効く抗生物質はどれだ?検査室にもAIとロボが入り始めた
風邪で抗生物質をむやみに出さない日本
「日本では抗生物質がドラッグストアで買えない」と聞いたことがないだろうか。風邪で病院に行っても抗生物質はほとんど出ない。理由は明白、風邪の大部分を占めるウイルス感染に効かないからだ。
抗生物質を不必要に使用すると、耐性を持った菌が生き残り、増えてしまう。その結果、重い細菌感染症にかかった際、有効な薬がなくなってしまう。だから日本では、むやみに抗生物質を出さないのだ。
抗生物質が効くパターンもある
一方で、細菌感染が疑われる場合には、抗生物質がよく効く。ただし抗生物質にも種類があり、万能ではない。そこで医療現場では「本当に細菌感染なのか」「どの系統の菌なのか」を、最初の段階で見極めなくてはならない。
顕微鏡による「人の判断」はわりと限界
その初動判断を支えているのが、細菌を染め分けてタイプを見極める「グラム染色」だ。ただしこの工程は、人が顕微鏡で菌を見て判断しているため、ばらつきや人手不足による判断の遅れが課題になっている。そこをAIとロボットで自動化しようとしているのが、大阪大学発スタートアップの株式会社GramEyeだ。
検査室にもAIとロボ。染色から判定、報告まで自動化する「Mycrium」
GramEyeが開発したのは、微生物用自動染色分析装置「Mycrium(マイクリウム)」。Mycriumは、グラム染色に必要な一連の工程――検体の処理、染色、洗浄、顕微鏡画像の取得までを装置内で自動化し、取得した画像をAIが解析することで、菌のタイプを判定する。
装置には、15枚のスライドガラス(30検体)を同時に装てん可能で、1検体あたり約10分、複数の検体も同時処理できる。
これまでグラム染色は、染色の手順や顕微鏡の見え方、判定基準に個人差が出やすく、熟練した人材に依存する工程だった。Mycriumは、工程そのものを機械化し、判定をAIで標準化することで、検査室の初動判断を安定させることを目指している。
医療の裏側も省力化と標準化はどんどん進んでいる
Mycriumはすでに販売されており、大学病院へ導入され実証が進みつつある。少子高齢化が進む中、医療人材の確保には不安が尽きない。それでも、電子カルテの普及から手術支援ロボット、検査工程の自動化に至るまで、医療現場の裏側では着実に省力化と標準化が進んでいるのだ。















































