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【味覚リセット】食べすぎ脳を抑えるDアミノ酸の効果

特集
未来を変える科学技術を追え!大学発の地味推しテック

アミノ酸は種類がいっぱい

 美容にも健康にも、集中力にもリラックスにも、とにかく体に良いイメージ満載のアミノ酸。ただし、自然界には約500種類があり、そのうち人の体内では20種類も使われているという。その中でも最近注目されているのが「Dアミノ酸」だ。

L体とD体──鏡写しのアミノ酸

 アミノ酸には左右が鏡写しになった「L体」と「D体」がある。アルギニンやグルタミンなど、健康食品やサプリに含まれているのは概ね「Lアミノ酸」だ。ざっくり言うと、私たちの体をつくるのはL体、記憶や神経伝達に関わるのがD体である。なお、大手食品・アミノ酸メーカーである味の素は、D、Lアミノ酸の分析技術でも知られ、こうした“鏡像構造”研究にも早くから関わっている。

“甘さを作る”から“感じ方を変える”へ

 D体には味の「感じ方」を変える不思議な力がある。D-アラニンやD-トリプトファンは甘味やうま味をまろやかにし、苦味や酸味をやわらげる働きも報告されている。つまり、砂糖や塩を増やさなくても“おいしい”と感じさせる分子なのだ。

 ちなみに、人工甘味料のアスパルテームは、物質としての“甘さを作る”Lアミノ酸由来。それに対し、Dアミノ酸は“甘さの感じ方”そのものを変える。この“感じ方のチューニング”こそが、最近注目されている理由だ。

Dアミノ酸ラボが拓く「感じる食の健康化」

 この機能に注目して研究を進めているのが、名古屋大学発のスタートアップ、Dアミノ酸ラボ株式会社。同社は、Dアミノ酸を高生産する乳酸菌や発酵由来素材を開発し、食品をはじめ多様な分野でのDアミノ酸活用を広げる取り組みを進めている。

  自社製品として、 焼酎粕を発酵させてDアミノ酸を豊富に含ませたパウダー素材「en-ne~エンネ~」や「Dをつくる乳酸菌LBF1171」を展開。どちらも実際に通販で購入でき、家庭の料理にサッと混ぜて使える“腸活パウダー”として展開しているようだ。

 また、企業や研究機関向けに、Dアミノ酸を活用した新素材の開発支援や情報提供なども行っている。

焼酎粕を発酵させたDアミノ酸入りパウダー「 en-ne~エンネ~」。料理の“自然なうま味”を底上げしてくれる

「Dをつくる乳酸菌LBF1171」。豆乳ヨーグルトやピクルスなど、自家製発酵食品づくりに使える

「昔のほうがおいしかった」と感じたら

  Dアミノ酸は、舌と脳をアップデートする分子だ。濃い味を覚えると、繊細な味がわからなくなる。減塩やダイエットには、我慢して薄味の食事を続けるしかなかったが、Dアミノ酸なら、食事の満足度を変えずに健康を保つことができる。「昔と味が違う」と感じたら、それは舌のアップデート時期かもしれない。

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