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スマホの“ノイズ”から災害予測? 天気が読めない時代の「リアルタイム防災」

特集
未来を変える科学技術を追え!大学発の地味推しテック

天気予報、なんでこんなに外れるの?

 最近、天気予報がまったくあてにならない。晴れ予報だったのにゲリラ豪雨だったり、警報級の雨なのに小雨で終わったり。異常気象が常態化した今、過去の統計や気象モデルに頼る「予測型」アプローチだけでは不十分とも言える。

天気予報はすでに超ハイテクだった

 もちろん気象予測も進化している。人工衛星や気象レーダー、海洋ブイや観測所から集めた膨大なデータをスーパーコンピュータで解析し、数値モデルをもとに未来の天気をシミュレーションしている。天気予報はすでにAIと物理モデルを融合した最先端の科学だ。

 それでも外れるのは、現実の天候がそれ以上に複雑だから。都市のヒートアイランド現象や突発的な積乱雲の発生など、ローカルな環境変化が短時間で起きる。数時間後の雨よりも、「いま、どこで何が起きているか」を即座に知ることが重要になっているのだ。

“いま起きてること”をとらえる新しい防災

 この“観測のアップデート”に取り組んでいるのが、東大発スタートアップの株式会社リアルグローブだ。同社は、遠隔情報共有システム「Hec-Eye(ヘックアイ)」を開発。ドローンやスマホ映像+位置情報をリアルタイム共有することで、災害時の迅速な現場把握を支援している。

 映像データを活用すれば、被災状況の発生直後から「どこで何が起きているか」を把握できる。数日後のことは予測できなくても、数分前に知ることができれば、避難判断の遅れを防いだり、交通・物流・インフラの被害を最小化したりできる。

 現在は、自治体などに提供し、災害や救命救急の現場で被害状況の把握や救助活動の効率化に活用されている。

 いずれは、スマホやIoT機器、車載器など、街中のあらゆるデバイスから得られる振動や通信の変化といった情報もつながり合い、人の体感よりも早く異常を察知できるようになるかもしれない。社会にあふれる膨大なデータ──いわばデジタルの“ノイズ”が、いつか命を守るシグナルへと変わる日も遠くなさそうだ。

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