【JSTnews10月号掲載】NEWS&TOPICS 研究成果革新的GX技術創出事業(GteX)/研究領域「 バイオものづくり」 研究課題「 GXを駆動する微生物・植物『相互作用育種』の基盤構築」
農業被害をもたらす線虫を植物が認識する仕組みを解明
2025年10月14日 12時00分更新
植物の根に寄生する体長約1ミリメートル前後の線虫は、世界中で甚大な農業被害を引き起こしており、線虫対策は作物の安定生産において喫緊の課題となっています。植物は、さまざまな病原体が侵入すると、病原体に共通して存在する特徴的な分子を目印として認識し、免疫反応を起動します。植物の細胞表面にはこうした目印を検出する受容体が備わっていますが、これまで、線虫がどのようにして植物の免疫反応を引き起こすのかは、よくわかっていませんでした。
理化学研究所環境資源科学研究センターの白須賢グループディレクターらの研究チームは、実験室で大量培養が可能な種類の線虫が、植物への寄生能力がないにもかかわらず、シロイヌナズナに強い免疫反応を引き起こすことを発見。この線虫の抽出液から活性物質を精製することにより「分泌型トレハラーゼ」と呼ばれる酵素の一部で、わずか24個のアミノ酸から成るペプチドが、免疫反応の原因になることを明らかにしました。さらに、この免疫反応を起動するために植物が用いている受容体のリン酸化酵素も同定しました。また、このペプチドが植物に寄生する多様な線虫、害虫、病原性糸状菌に共通して存在していることもわかりました。
今回、植物が分子レベルで線虫を認識する仕組みを解明したことで、植物免疫の理解が大きく前進しました。こうした病原体に対する防御物質を見いだすことで、新しいタイプの抵抗性作物を開発できる可能性があります。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第120回
TECH
海洋からウイルスをサルベージし培養、産業の発展へ貢献 -
第119回
TECH
構造色で光を自在に操るハイブリッドナノシートを開発 -
第118回
TECH
生命がわずかな熱を細胞内で維持する新しい原理を発見 -
第117回
TECH
服にコイルを編み込んで全身無線通信・給電ネットワーク、AR 操作を見据えた指輪型マウスも開発 -
第116回
TECH
3つの球体で自由自在&精密に移動できる、全方向移動プラットフォームで挑む製造現場の変革 -
第115回
TECH
対話型能力診断AIエージェントを開発! 社会実装で人とAIの共進化社会の実現を目指す -
第114回
TECH
パンや酒、チョコづくりにも関わる微生物「酵母」の進化を追求 -
第113回
TECH
希少糖が高血糖を改善、2型糖尿病の予防・治療につながる仕組みを解明 -
第112回
TECH
傷ついた植物が器官を再生させる仕組みを解明、バイオテクノロジーの発展へ期待 -
第111回
TECH
ナノ構造が生み出す微小な力を3次元的に精密計測するマイクロドローンを開発 -
第110回
TECH
高効率に発光&発電が可能な太陽電池発電を開発、発電できる有機ELディスプレイへの応用も - この連載の一覧へ








