ロングホイールベースのシートは
2:3:2という珍しい構成
スライドドアが大きく、乗降性が優れるのもいいところ。3列目へは2列目シートを前に倒して乗降できます。車内は広いのですが、アルファードやVクラスのような高級感とは対極のカジュアルな雰囲気。1000万円でカジュアルが許せるかどうかが、このID.Buzzのポイントになりそうです。3列目は2座で、シートごとにUSB Type-C充電ポートを用意。足元もかなり広めの印象です。
2列目がベンチシート(3名)はちょっと珍しい仕様。キャプテンシートではありませんので、オットマンなどの快適装備はありません。そしてテーブルがあるのですが、ドリンクホルダー部分は穴があいているのみ……。天井はサンルーフがついており、開放感たっぷりです。
運転席もミニマリストで、メーターパネルには速度などが表示する程度。センターコンソールに置かれたタッチパネルは、いわゆるディスプレイオーディオで、スマホとつなげてナビとなる仕様です。なので、車載ナビはありません。ペダルがアルミでちょっとスポーティーだったりします。
運転席と助手席の間に置かれたセンターコンソールは取り外し可能で、2列目へのウォークスルーができるようになるのも美質。ファミリーミニバンとしての機能も優秀といえそうです。
バッテリー容量は大きいが航続距離は短め
柔らかい乗り心地で静粛性も高い
バッテリー容量は91kWh(ショートホイールベースは84kWh)。一充電走行距離は554km。バッテリー容量が大きいわりには航続距離が短いのですが、ボディーの大きさや重さなどが起因するのでしょう。当然人が乗ったら、もっと短くなることが予想できます。モーターの最高出力は286馬力で、後輪のみ駆動します。電費は5km/kWhとちょっと低め。
走り始めて気づくのは、かなり柔らかな乗り心地。ドイツ車というと、ちょっと硬めのイメージを持っている人はかなり驚かれるのでは。街乗りではメルセデスよりも、アルファードよりも乗り心地がイイ! 一方、高速道路になると、ちょっとポヨンポヨンする感も。
パワーがあるためか、かなり軽やかな印象。これならワインディングの登りも楽しめそう。ただ、飛ばし過ぎると制動距離の長さにもヒヤリとするかも。スポーツモードを始め複数のモードを用意していますが、ゆったりのんびり走るのが、このクルマの良さを引き出す走りでしょう。
EVなので当然車内は静か。3列目と1列目の会話だって楽しめます。こういうのって、ミニバンではとても大事なんですよね。
「1000万円あったらアルファードPHEV、またはメルセデスVクラスが買える」と書きましたし、確かに内装をみると、あちらに心が惹かれる部分もあるのも確か。いっぽうでポップな本機も魅力的に思えます。それは今までにないミニバンだから。これにしかない魅力に心が奪われそうです。

この連載の記事
-
第588回
自動車
都市型SUVの新定番! マツダ「CX-30」がもたらす新感覚ドライブ -
第587回
自動車
死角ナシの万能SUV! マイチェン版トヨタ「カローラ クロス」に乗ってわかった“しっとり快適”の正体 -
第586回
自動車
今しか選べない“熱き”ガソリンSUV!マセラティ「グレカーレ」の真髄を体感する -
第585回
自動車
カッコいいワゴンは健在! アウディの新型「A5 Avant」は流麗なデザインと広々ラゲッジでアウディらしさを継承する -
第584回
自動車
「VEZEL e:HEV RS」は後出しズルい! と言いたくなるほどイイクルマだった -
第583回
自動車
採点方式が激変の2025年「日本カー・オブ・ザ・イヤー」最終決戦! 10ベストカー試乗会レポ -
第582回
自動車
BMW「X2 M35i」はカジュアルさとBMWらしさが高次元にバランスした日本にピッタリなSUV -
第581回
自動車
フォルクスワーゲン「ゴルフ GTI」はオトナになったボーイズたちに勧めたいぜいたくな1台 -
第580回
自動車
プジョーの新SUV「3008」はデザインでの購入者が大半! リゾートホテルのような内装とクーペフォルムが牽引する -
第579回
自動車
新型「プレリュード」は今のHondaを凝縮したハイブリッドスポーツの前奏曲だ! -
第578回
自動車
クラウン・エステートで車中泊体験! 「おもてなし」シートで過ごすぜいたくなドライブ体験 - この連載の一覧へ





































