最新PCゲームチェッカー 第87回

クリアまでプレイした上で評価!

求めよ、さらば与えられん――『終天教団』伏線が1つに収束するカタルシスは唯一無二の面白さ!【PCゲームレビュー】

文●Zenon/ASCII

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●“ミニゲームの集合”ではない大ボリューム

 最初に本作のシステムを聞いた時は「ほうほう、ミニゲームの集合かな」と思った。しかし、実際にプレイするとその印象は覆され「すげぇ作り込んでる…」に変わった。それぞれ攻略に平均5~6時間くらいはかかっただろうか。ここでは、各ルートのインプレッションをざっくり解説していこう。

■「推理アドベンチャー」編

 まず「推理アドベンチャー」の法務省 犬神軋ルート。これがある意味、小高氏の代表作「ダンガンロンパ」っぽいジャンルと言えるだろう。ある殺人事件が起こるので、捜査パートで現場を調べて証拠を入手。のちに学級裁判みたいなキャラ同士の掛け合いパートへ移り、議論に対抗する証拠をぶつけて論破していく。いちファンとして懐かしさすら覚える流れだ。

聞き込みは推理の基本。違和感のある「緑色の文字」に対してアクションを起こすと、さらに深掘りした情報が手に入る「スナッピング」システムを採用

会議パートでは容疑者の主張に対し、証拠をそのまま提示したり、「証拠パズル」を組み立てて対抗していく。議論を盛り上げるカットインが入るのが印象的

証拠パズル画面。プレイヤーの推理を筋道たててサポートしてくれる。失敗すると右上の「信頼度」が減少し、なくなるとゲームオーバーへ

■「極限脱出アドベンチャー」編

 2つ目は「極限脱出アドベンチャー」の保健省 丑寅幽玄ルート。お話としては密室に閉じ込められたなかで行われる「デスゲーム」物となる。一人称視点で3Dダンジョンを進んでいく形式だが、エンカウントバトルはなく要所要所で解くことになる「パズル」がメインの遊びだ。

VTuberの配信っぽい画面になり、「コロシアイをしてもらいまーす」と宣言される。ダメですよ、コロシアイを宣言するなら机に突っ伏した所から目覚めないと!

デスゲーム参加者とは選択肢で駆け引きを行う場面も。プレイヤー視点では配信者がヒントを教えてくれる

同じ色の球同士を線でつなぐパズルゲーム。線が交差できないので、スペースをフルに活用する必要がある。そのほかペントミノ、スライドパズルなども用意

■「マルチ視点ザッピングノベル」編

 3つ目は「マルチ視点ザッピングノベル」の科学省 伊音テコルート。複数のキャラの視点を切り替えながらお話を読み進め、プレイヤーの選択によって展開が分岐するのが特徴だ。場合によっては1つ前の選択に戻って「やり直し」する必要も

挿絵が多いので誰がしゃべっているかは直感的にわかる

主人公がBAD ENDに……

ほかの視点に切り替えて別の選択を選ぶと、主人公の生存ルートが生まれる。さまざまな可能性を探ろう

■「恋愛アドベンチャー(?)」編

 4つ目は「恋愛アドベンチャー(?)」の文部省 黒四館仄ルート。タイプの異なる3人の女の子と交流し、正しい選択肢を選んで好感度を上げ、恋人になることを目指す。二股?三股?あぁ大丈夫、バレなきゃいいのです(フラグ)。

3人の女の子はそれぞれ強烈なキャラクター。一見物静かな文学少女に見えるこの子もトンデモナイことを口走る。主人公ドン引きですやん

告白パートでは女の子の機嫌を損ねないような選択肢を、リアルタイムな時間内に選ぶ必要がある。ときにはじっと待つことも重要

突如襲い掛かってくる愛情表現つよつよな子も。お、おたすけぇぇぇ!!

■「ステルスアクションホラー」編

 5つ目は「ステルスアクションホラー」の警備省 伏蝶まんじルート。薄暗く不気味なマップを、俯瞰視点で探索するシステムを採用している。追いつかれたら「死」の怪物に見つからないよう、時には慎重に時には大胆に行動する必要がある。

殺人鬼ネフィリム。「ぬふふふ」と不気味な笑い声をあげつつ、削岩機を抱えて主人公を追い回す

俯瞰視点なので壁の向こう側にいるネフィリムの存在も見える。右上の赤い光がネフィリムの視界で、そこに入ると恐怖の鬼ごっこが始まるというわけだ

ネフィリムの隙をついてパズルを解いたり、鍵を探したり、足が遅くなる重りなどを運ぶギミックが用意されている

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