動画エンコードには要注意?
ここからはクリエイティブ系アプリでの検証となる。
「Blender Benchmark」
Blender Benchmarkではバージョン「v4.4.0」を指定した。レンダリングデバイスは当然ながらGPUである。
このテストではGeForce系が安定して強いが、RX 9070とRX 9060 XTの差が大きいことが再確認できた。RX 7700 XT等の旧世代の格上GPUに勝てないのはシンプルにCU数が少ないためである。
「UL Procyon」 (Premiere Pro)
続いてはUL Procyonに収録されている「Video Editing Benchmark」を使用し動画エンコードのパフォーマンスを検証しよう。ここでは「Premiere Pro」をUL Procyonが操作し、4種類の動画(再生時間は1分前後)をH.264やH.265のMP4にエンコードする速度を見るというものである。エンコードデバイスはGPUを明示的に指定している。
このテストではGPUのシェーダー部分も活用されるため、CU数の少ないRX 9060 XT 16GBは不利である。RX 7600 XTよりも個別のエンコード時間が確実に短縮されているが、格上であるRX 7700 XTを追い抜かすまでには至っていない。RX 9070シリーズのレビューでは、CU数の多いRX 7900 XT等に勝てないまでもかなり肉迫できていた(参考記事)が、今回は完全に下回ってしまった。
「Handbrake」
先のPremiere Proの検証とは逆に、GPUのエンコーダーしかほぼ使われないHandbrakeでも検証しておこう。再生時間約3分の4K@60fps動画(H.264)に対し、プリセットの「H.265 VCN 2160p 4K」もしくは「H.265 NVEnc 2160p 4K」で再エンコードする時間を比較した。各種パラメーターの設定はプリセットのままを利用している。
Premiere Proに引き続き、RX 9060 XTのエンコード速度が遅いが、RX 9070も同程度に遅い。もしかしてRyzenの内蔵GPU(Radeon Graphics)側のエンコーダー(VCN)が動いているのではないかと疑ったが、タスクマネージャーの報告を見る限り、ビデオカード側のVCNが動いているようだ。これはHandbrakeの最新Nightly Buildを使っても変化なかったため、単純にエンコード処理の実装とGPUの組み合わせの問題といえる。

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