連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第183回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 5月3日~5月9日
DX成熟度、まだ「レベル0~2未満」企業が過半数/万博で外国人に高評価の施設/SNSの注目株は「Bluesky」、ほか
2025年05月12日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2025年5月3日~5月9日)は、日本企業のDX成熟度調査、堅調な伸びを見せるマニュアル作成支援市場、多様さが増すSNSの認知度や利用経験、イメージなどの調査、大阪・関西万博に対する日本人と外国人の評価の違いについてのデータを紹介します。
[DX] 日本企業のDX成熟度、5段階で「レベル4以上」はわずか1%(IPA:情報処理推進機構、5月7日)
・国内企業の「DX成熟度」自己診断、「レベル0~2未満」が過半数を占める
・現在値の平均値は「1.67」、目標値の平均値は「3.34」と大きなギャップ
・経営視点指標/IT視点指標の双方で同様のギャップ、両輪の取り組みが必要
国内企業1349社による「DX推進指標」の自己診断結果を分析したレポート(2024年版)より。DX推進の成熟度(5段階)は、過半数(860社)がレベル0~2未満の段階。全指標(経営視点指標+IT視点指標)の現在値(現状)は平均値1.67、目標値(理想)は平均値3.34で、その差は1.67。経営視点指標、IT視点指標に分けて集計しても、現状と理想のギャップは同様だった。
⇒ 多くの企業の自己診断が「レベル2(一部での戦略的実施)未満」と、日本企業のDXはまだまだの状態。上述のとおり「経営視点」「IT視点」の両方が大きく目標に達しておらず、「DXのための経営の仕組み」と「その基盤としての IT システムの構築」を両輪に、目標策定とアクションを実行する必要があるとまとめています。
[マニュアル作成] コロナ禍後も堅調な伸び、マニュアル作成支援市場は約18%成長(アイ・ティ・アール、5月8日)
・国内のマニュアル作成支援市場、2023年度は前年度比17.8%増の成長
・2024年度も同18.4%増を予測
・2028年度の国内市場規模は100億円超と予測
国内のマニュアル作成支援市場規模推移および予測。ITRによると、コロナ禍を経て業務の標準化やナレッジ共有の重要性が認識され、「業務システムのユーザー教育や社内サポートにかかる負荷軽減・コスト低減」「人材の流動化や多様化を背景とした業務の標準化・効率化」を導入目的として、現在でも高い注目を集めているという。2023年度の売上規模は48億9000万円で、前年度比17.8%増だった。すべてのベンダーが売上を伸ばし、トップベンダーは2桁成長。2024年度も成長は続くと見ている。
⇒ 今後はさらに、AI活用、動画作成技術の高度化を通じてマニュアル作成の効率と品質が向上する見込み。ITRでは「さらなる市場拡大が期待される」とコメントしています。
[SNS][消費者] YouTubeの利用経験がLINEを上回る(ネオマーケティング、5月2日)
・利用したことのあるSNS、「YouTube」(88.6%)が「LINE」(87.9%)を上回る
・男女差が大きいのは「Instagram」「TikTok」、ともに女性の利用が多い
・「Bluesky」の利用目的は、情報収集よりも「友人・家族との連絡や交流」
全国の20歳以上の1000人を対象、SNSに関する調査を実施した。認知度上位の6サービス(YouTube、LINE、X、Instagram、Facebook、TikTok)は、全世代で認知度60%と幅広く知られている。利用経験のあるSNSとしては「YouTube」がトップに。「TikTok」は、認知度の高さ(74.6%)と実際の利用経験(33.4%)にギャップがある。「Facebook」を除いて、認知度上位9サービスは若年層(20代、30代)ほど利用率が高かった。
⇒ 利用経験者の多い主要SNS以外での注目株は「Bluesky」。同SNSを知る人の41.3%が「利用したい」と回答しており、期待度の高さがうかがえます。
[消費者] 大阪・関西万博への評価は外国人来場者のほうが厳しめ?(インタセクト・コミュニケーションズ、5月9日)
・「Google Maps」に書き込まれた大阪万博のレビュー、約25%が外国語
・外国語レビューは日本語より「5点満点」の比率が高い一方で低評価も多い
・外国語レビューの評価が日本語を上回ったのは「大屋根リング」
「Google Maps」に書き込まれた、大阪・関西万博関連施設(万博会場、東ゲート、大屋根リング、夢洲駅)へのレビューを抽出/分析した。対象期間は3月1日~4月27日、対象言語は日本語、英語、繁体字中国語、スペイン語、ドイツ語などで、1002件のレビューを分析している。レビュー数が最多の万博会場は、日本語レビューの平均評点「4.18」に対して、外国語レビューは「4.02」。「言語表記の不足」などの課題が指摘されているという。分析対象の4施設のうち、大屋根リングが唯一、日本語レビュー(4.21)よりも外国語レビュー(4.28)の平均評点が高かった。
⇒ 大屋根リングは、視覚的インパクトなどが来場者の満足度を高める要因になっているとの分析です。

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