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業務を変えるkintoneユーザー事例 第309回

現場×産学連携で取り戻した“子どもと向き合う時間”

幼稚園教諭の「走り回る」仕事をkintoneとIoTでゼロに 業務改善のヒントは“ブロック遊び”にあった

2026年05月27日 11時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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今小路学園 くるみ幼稚園 教諭 谷井友亮さん

 幼稚園の“現場”は、日々、目が回るほどの忙しい。預かり保育やバスの運行、給食、保護者対応、行事の準備など、様々な業務を同時並行でこなす必要がある。そのなかでも、岐阜市のある幼稚園で最も負担となっていたのが、先生が“走り回る”ことで成り立っていた「お迎え対応」だった。

 サイボウズは、kintoneユーザーの事例イベントである「kintone hive 2026 nagoya」を開催。2番手で登壇したくるみ幼稚園の谷井友亮さんが語ったのは、人が走り回ることでつないでいた業務を、kintoneとIoTで“子どもと向き合う時間”に変えた、現場×産学連携の取り組みだ。

20m先の預かり保育部屋にダッシュ、“1日最大120回”あるお迎え業務

 岐阜県岐阜市のくるみ幼稚園は、1963年設立の園児数300名、職員数50名の私立幼稚園である。

 同幼稚園の谷井先生は、幼稚園業務は「人の動きが中心の職場」と語る。子どもたちはマニュアル通りには動かず、同時に個別性の高い保護者のニーズにも応える必要がある。先生たちは園内で連携しながら、心身をフル稼働させて、日々業務に向き合っている。

日々忙しい幼稚園の先生たち

 だからこそ、現場のマンパワーに依存したアナログな業務が多い。特に、くるみ幼稚園で大きな負担になっていたのが、預かり保育の「お迎え対応」だった。

 例えば、怪我をしたコウジくんの担任の先生が、預かり保育の先生に、「コウジくんの両親が来たら呼んで欲しい」と伝言したとする。そして、コウジくんの両親が来園すると、まず応対するのは職員室の先生だ。受話器を取って、入口のオートロックを解除し、預かり保育部屋へ迎えが来たことを園内電話で伝える。

 しかし、子どもが喧嘩をしていて、預かり保育の先生は電話に出られない。やむを得ず、職員室の先生は、20m離れた部屋までダッシュして、直接伝えにいく。

職員室の先生は、やむを得ず預かり保育部屋にダッシュ

 そして、先生が職員室に戻ると、すぐに別の保護者が来園する。さらに、お迎え時に必要な保護者の「タイムカードと記帳作業」でミスが発生すると、10分以上かけて対応しなければならない。こうした突破的な対応に追われていると、通常業務はまったく進まない。

 一方で、預かり保育の先生も、なんとかコウジくんを両親に引き渡すが、担任の先生を呼ぶのを忘れてしまう。結局、担任の先生は今日の出来事をあとで電話することになる。

「このようなお迎え対応が、多い日には『1日120回』もあります。さらに、預かり保育には料金計算の業務もあり、タイムカードと紙の台帳を照らし合わせる作業は月8時間もかかります。これでは、先生たちは子どもと向き合う時間を取れません」(谷井先生)

ICカード導入も自動化は叶わず 打開策となった子どもの“ブロック遊び”

 こうしたお迎え対応が変わり始めたのが、大阪産業大学との共同研究からだ。産学連携で幼稚園DXに取り組むことになり、そこで預かり保育の担当だった谷井先生はkintoneに出会うことになる。

 両者による最初の改善は、「ICカード」の導入だ。まずはkintoneで、ICカードと園児の名前、所属するクラスを紐づける「園児台帳アプリ」を作成。保護者が入口でICカードをタッチすると、同アプリの情報と照合され、自動で解錠される仕組みを構築した。

 さらに、タッチの記録は、「登降園管理アプリ」に記録される。同アプリを預かり保育部屋のディスプレイに表示することで、認証→解除→記録→通知という一連のお迎え対応を自動化。データが蓄積されることで、料金計算もボタンひとつで完了する。

お迎え対応を自動化

 しかし、実際に運用を始めると、次々と問題が浮上する。まず、保護者がICカードを忘れたり、紛失したりするケースが発生した。その場合、結局は職員室の先生が対応する必要がある。さらに、預かり保育部屋のモニターでの通知も、やはり確認する余裕がなかった。

 これに対し、谷井先生は、大阪産業大学の先生・生徒たちと多いに悩む。そんな中、アイデアが降ってきたのが、子どもたちとブロック遊びをしていたときだった。

「子どもたちはブロックで、最初から何かを完成させるわけではなく、今あるものを試して、足して、変えていくという遊び方をします。業務アプリも同様で、既存システムに現場を合わせるのではなく、現場に合わせて色々な仕組みをブロックのように足していけば良いのではと気づきました」(谷井先生)

 そして、これを実現するには、どんな仕組みも連結できるブロックが必要になるが、kintoneがその役割を果たしてくれた。

kintoneを中核に現場に合ったブロックを組み合わせる

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