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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第917回

ニコン「Z5II」は性能もお値段もちょうどいい、駐車場猫を撮るのに最適なカメラだった

2025年04月24日 13時00分更新

文● 荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

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ニコン

駐車場にいた3匹の猫。そっとカメラを撮りだしたら興味を持ってこっちへ歩き出した。2025年4月 ニコン Z5II

 街猫に出会いやすい場所といえば、神社仏閣、そして駐車場。どこもちゃんと地域猫として世話をしてくれる人々がいるのが大前提なのだけど、今回はたまたま駐車場で猫と遊んだので駐車場猫の話。

 カメラは今春の新製品で猫を撮るぞシリーズ。これ、大本命かもしれないというニコンの「Z5II」。

 お値段がそこそこで重さもそこそこで、猫瞳AFもちゃんと仕事をしてくれて連写もできて、ひとつひとつが最高性能じゃなくてもいいから、特化した何かがなくてもいいから、すべてにおいて標準以上の性能を発揮してくれる「ちょうどよい」カメラはないものかという人にオススメなのだ。

ニコン

うちの黒猫ミルとニコン Z5II。フルサイズセンサー搭載のミラーレス一眼のスタンダードモデルだ。レンズは24-120mm F4を装着

 そしてこれを手にぶらぶらと季節の作例(つつじとか)を撮りに自転車で出動した際、この近くに猫がいつもいる駐車場があったなと思いだして足を向けてみると……、1匹もいない。

 うむ。まあ猫はいつもそこにいるわけじゃないし、今日は空振りかも、と思っていると、隣接するアパートの空き室となっている1F角部屋に付属する、小さな猫の額以下の庭に猫を発見。

ニコン

上手に隠れてた猫。手前に枯れ草がかぶってるけど、猫瞳AFがちゃんと働けばそっちにフォーカスが引っ張られないのだ。2025年4月 ニコン Z5II

 ほかの猫は見当たらないし、ここにきたのは久しぶりなので、減っちゃたのかなと残念に思っていると、駐車場に隣接する別のアパートから(このあたり、駐車場も含めオーナーが同じ)、猫を世話している真っ赤な服を着たおばさまが現れた。猫好きっぽい人が遊びにくると登場するのだ。

 「久しぶりに来たのだけど、猫、減っちゃいました?」と尋ねると、「そんなことないわよ、みんないるわよ」という。面白いもので、彼女が出てきたらわらわらといろんなところから猫が顔を出すのだ。

ニコン

駐車場らしく車の下から現れたキジトラ。真正面からのキリッとしたカットを選んでみた。2025年4月 ニコン Z5II

 そして、この駐車場には1匹だけ人なつこい名物猫がいる。あの人なつこい猫は?(名前を聞いたのだけど忘れてしまった)と尋ねてみると、「あっちにいるわよ」と言うやいなや、とことこと現れたのだ。ゲンキンなものである。

ニコン

優しげな顔をしたキジトラ。こっちへ一直線に向かってきた。手前にある影はわたしの頭の影です。2025年4月 ニコン Z5II

 このキジトラがユニークなのは人の靴で爪を研ぐクセがあること。わたしも何度かやられたのだが、自分がやられてるときは写真を撮るのが難しい。でもこの日はおばさまのところへ爪を研ぎにいってくれた。こんな感じである。もちろん撮らせて貰う。彼女のスリッパは両方とも猫の爪痕だらけなのだ。

ニコン

誰彼構わず足元によってきては靴で爪を研ぐのがウリ。だからファンが多いのだ。夏はサンダルで来たりしないように。2025年4月 ニコン Z5II

 互いに慣れたものである。よしよし、また今度なってことでアゴをなでてあげた。

ニコン

こうして気持ちよくなでさせてくれるのだから、人気が出るわけである。2025年4月 ニコン Z5II

 もうひとつ、このあたりに猫のいる駐車場がある。袋小路のような場所にあるのだけど、以前、地図を見てて不自然な道があったので、なんだろうと足を踏み入れてみたら……突き当たりの駐車場に猫がいたのである。お互いびっくりですわ。

 この日は3匹がくつろいでいて、わたしがカメラを構えると1匹がとことこと歩いてきてくれた。

 Z5IIで猫を撮るときのコツはセッティング。被写体検出を猫にし、AFをAF-Cの3Dトラッキングにする。すると捕まえた猫の瞳を追い続けてくれるのだ。シャッタースピード優先で1/500~1/1000秒くらいにしておくといい。高速で駆けてくるとちょっと追いつかないが、歩いてくるくらいならいい感じで捉えてくれるから、動く猫にも強いのだ。

 それで撮ったのが冒頭写真。全部で3匹いて、チャトラのハチワレがむくっと起き上がってこっちへ歩いてくるのがわかる。お、もしやなでさせてくれるかと思いきや、2mくらいまでしか近寄ってくれないのだった。

 続いてキジトラ。

ニコン

つかず離れずでこちらへ歩いてくる姿を連写したら、舌でペロリする瞬間が撮れていたのでそれを。2025年4月 ニコン Z5II

 3匹目は一見普通のキジトラなのだけど、正面から撮ると……アゴヒゲがめちゃ立派。猫にアゴヒゲっていうのかどうかは知らないけど、アゴの下に立派な白い長い毛があるのだ。長毛種の血がまじってて、それがアゴに出ちゃったのだろうか。

 これはなかなかカッコよくありません? というわけで、どうぞ。

ニコン

アゴヒゲ(?)がカッコいいキジトラ。顔もきりっとしてて美形である。2025年4月 ニコン Z5II

 あ、カメラの話をあまりしてなかった……。このZ5IIは猫瞳検出も持ってるしAFも軽快だし連写もできるしファインダーも見やすいしで、得手不得手があまりない役に立つカメラなのだ。

 猫って被写体としての難易度が高い……何しろ、寝たり起きたり止まったり、走ったり飛んだり高いとこのぼったり、低いとこに隠れたり転がったりあくびしたり、舌を出したりねじれたりまるまったり、伸びたり縮んだり、鳴いたり笑ったり怒ったりと、あらゆる動きや表情を見せてくれるので、カメラにも総合力が要求されるわけで、その点、Z5IIは汎用性が高いのではじめてのデジタル一眼としてオススメだ。

 街猫を気軽に撮るなら広角から望遠までまかなってくれる24-200mmの高倍率ズームレンズキットがオススメ(今回はそのレンズを使った)。クオリティー重視なら、ワンランク上の24-120mm F4のSレンズがいいのである。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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