ドイツの老舗スポーツカーメーカーのポルシェも、電動車のラインナップが増えています。EVの「タイカン」に続き、ポルシェの象徴である「911(TYPE 992.2)」もGTSグレードはハイブリッド(T-ハイブリッド)へと踏み出しました。さらに電動化の旗頭であるEVのタイカンもアップデート。人気SUVのマカンもEVになりましたし、今後はボクスターやケイマンといった2シーターモデルもEV化されます。
そんなポルシェの最新911とタイカンが、プレス向け広報車よりも先に千葉県木更津市のブランド体験施設「ポルシェエクスペリエンスセンター東京」で走れるとのお誘いを受けて、意気揚々と体感してきました。
出力が上がった911で急発進やドリフトを堪能
まずお断りしなければならないのは、今回試乗した911は「カレラ」と呼ぶベーシックグレードであること。つまり冒頭で紹介したハイブリッドモデルではなくガソリンエンジン車です。「なんだ話が違うじゃないか」と言いたい気持ちはわかりますが、逆に「最後のガソリンエンジン搭載911はコレになるのかも」と思うと、非常にレア感が増してきます。
そんな新型911のエンジンは、従来と同じ3Lの水平対向6気筒のツインターボ。ですが、上位グレードの「GTS」に採用されていたエンジンを乗せたことで、最高出力が385馬力から394馬力に高められているといいます。つまり、ちょっとお買い得になったということです。
911の最新モデル「TYPE 992.2」をパッと見たところ、ウィンカーがヘッドライトユニット内に内蔵され、エアインテークがリデザインされた程度。リアのテールランプとポルシェのロゴが一体化し、ディフューザーのデザインも変わった様子。ナンバープレートの位置も少し高くなりました。
インテリアではフルデジタルディスプレイが採用され、ドライバー正面には7つのメニューが選べる12.6インチのカーブドディスプレイ、ダッシュボード中央には10.9インチのセンターディスプレイがレイアウトされたのがポイント。そしてイグニッションがついに回転式スイッチ(キーをひねるようなスイッチ)からプッシュボタン式に変更されました。
またソフトウエアもアップデートされ、Siriボイスアシスタントなど、Appleエコシステムによるダイレクトな操作が可能になりました。
それでは試乗開始です。ポルシェエクスペリエンスセンター東京のハンドリングトラックは、その舗装がサーキットとは違って一般公道とほぼ同じ路面μで作られているので、現実的な環境でのダイナミックテストができます。
ウェット路面のドリフトサークルを走らせればESC(横滑り防止装置)の制御をOFFにして911の挙動を知ることができますし、場所をダイナミックエリアに移せば、ローンチコントロールを作動させる全開加速やフルブレーキング、さらに連続スラロームでハンドリングを安全に確認できます。
残念ながら前モデルとの比較は叶わなかったので、この911を乗った感想しかないのですが、一通りこの施設をドライブしたスピーディー末岡は降車後、興奮した面持ちで「911は難しいけれど最高」と、あまり参考にならないコメントしか出ず……。
ちなみに今回試乗したクルマは、後輪操舵などのオプションがないので素の状態に近く、それゆえ911らしい挙動が楽しめるといえそうです。速さを求めるなら四駆モデルになるでしょうけれど、後輪駆動(RR)こそ911であり、しかもガソリンエンジン搭載モデルは、あと数年で購入できなくなる可能性が高いとなると、素の911を選ぶのはアリな話だと思います。
空冷→水冷→電動化と、ポルシェは常に時代に合わせたクルマ作りをしていることがわかります。

この連載の記事
-
第506回
自動車
発表から2年半、クラウンの最終兵器「エステート」がついに発売! 実車をフォトレポ -
第505回
自動車
「GT-R」と「Z」、選ぶならどっち? 40周年のNISMOが手掛けるロードカーにあらた唯が触れる -
第503回
自動車
今スポーツセダンを求めるならアルファ・ロメオ「ジュリア・クアドリフォリオ」を強くオススメする理由 -
第502回
自動車
車購入初めての20代女性に「アルト ラパンLC」がピッタリな5つのポイントと2つの微妙 -
第501回
自動車
初めてのMTでも安心! 小さなぜいたく「N-ONE RS」のMT車をオススメする3つの理由 -
第500回
自動車
612馬力の超弩級SUV「Mercedes-AMG GLE63 S 4MATIC+」はクルマのジキルとハイドだ! -
第499回
自動車
BMWが誇る最上位SUV「XMレーベル」は手に余る性能のスーパーSUVだった -
第498回
自動車
ルノースポール最後の「メガーヌR.S.ウルティム」の魅力をシビック TYPE-Rと徹底比較 -
第497回
自動車
Hondaの「N-BOX JOY」はコダワリの詰まった内装と使い勝手が良くてドライブが楽しくなる -
第496回
自動車
Hondaの「N-BOX JOY」はアクティブにアウトドアを楽しむための人のための軽自動車 - この連載の一覧へ