連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第164回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する《2025年 新春スペシャル》
2025年のテック業界はどうなる? 調査会社やITベンダーの「今年の動向予測」まとめ
2025年01月06日 15時00分更新
ITインフラ:AI活用のための新しいインフラ、仮想化の見直しと“脱仮想化”……
過去10年以上にわたって「パブリッククラウド活用」や「ハイブリッドクラウド構築」が大きなトレンドだったITインフラ領域ですが、AI利用ニーズの増加とともにまた新たなトレンドが生まれており、2025年はその動きが本格化しそうです。Gartnerでは、インフラに特化したトレンド予測を発表しています。
・再仮想化/脱仮想化:VMware by Broadcomによるライセンス変更などを背景として「仮想化」の再検討が行われる。他社ハイパーバイザへの移行だけでなく、HCI、分散クラウド、コンテナ化、プライベートクラウド、脱仮想化など、幅広い代替手段の選択肢がある
・液体冷却インフラ:液体冷却は、データセンター全体の設備として設置されるものだけでなく、インフラに近い場所への設置、さらにインフラ内の設置へと進化していく。次世代GPU/CPUの消費電力と発熱量の増加に伴って、これまでのニッチな存在から一般的なものへと変わる
■Gartner、日本企業が2025年に向けて押さえておくべきインフラストラクチャとオペレーションのトップ・トレンドを発表(Gartner)
NVIDIAでも、AI時代のITインフラに関する予測を行っています。Gartnerと同様に液冷データセンターをトレンドに挙げているほか、AIインフラのネットワークについて重要な指摘を行っています。
・「ネットワーキング」は時代遅れ、統合コンピュートファブリックへ:数千ものAIアクセラレーターがスケールアップ/スケールアウト通信を介して効率的に相互通信できるように、データセンターのネットワークアーキテクチャは統合コンピュートファブリックへと進化していく。AIエージェントが増え、相互接続されたAIモデル間の通信が必要になるにつれて、こうしたファブリックが不可欠になる。
■2025年の予測:生成AIがキャズムを乗り越えるにつれ、企業、研究者、スタートアップはヒューマノイド、AIエージェントに注目(NVIDIA)
AI活用が急速に進む一方で、その環境負荷はなるべく低く抑えなければなりません。IDCでは次のように予測しています。
・持続可能なAIフレームワーク:AIインフラ投資の増加に伴って、電子廃棄物が増加することが予想される。組織はエネルギー効率、資源の最適化、電子廃棄物の削減などに取り組み、AIが環境に与える影響を最小限に抑えることに焦点を当てた持続可能なAIフレームワークへの注目が高まる。
■IDC: Artificial Intelligence Will Contribute $19.9 Trillion to the Global Economy through 2030 and Drive 3.5% of Global GDP in 2030(IDC)
* * *
今回の記事ではIT業界をめぐる2025年のトレンド予測をざっくりとまとめました。ただし、こうしたトレンドは予測不可能な外的な要因、たとえば世界経済の変化、地政学的な変化、自然災害の発生などにも影響を受け、変化します。“不確実性の時代”が続いている点に注意しながら、引き続きトレンドを捉えていく視点が大切です。
最後に、Gartnerが発表した「2025年に向けて獲得すべきマインドセット」から、興味深いアドバイスを抜粋します。見出しの言葉だけでは分かりにくいと思いますので、どうぞリンク先も参照してみてください。
・産業革命:「うちは大丈夫」から「真剣勝負」へ
・「人間だけ」から「AIとの共生」へ
・完璧から継続的改善へ
・妄想からリアリティへ
・「自社、業務中心」から「顧客と従業員中心」へ (People-Centric)
■Gartner、2025年に向けて獲得すべきマインドセットを発表(Gartner)

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