前へ 1 2 次へ

ASRock初の電源ユニットから感じるただならぬ気配! マザーで培った技術と高耐久部品をふんだんに取り入れた逸品だった

文●宮崎真一 編集●北村/ASCII

提供: ASRock

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

高い変換効率と静音性を実現
安定した電力供給が可能な製品

 それでは、SL-1000GWの電気的仕様について見て行こう。それぞれの電源ラインの出力電流を見てみると、+3.3Vが20A、+5Vが20A、+12Vが83.4A、-12Vが0.3A、+5Vsbが3Aとなっている。そのため、最大出力は+3.3Vと+5Vで120W、+12Vが1000W、-12Vが3.6W、+5Vsbが15Wとなり、これらすべてで合計1000Wの定格出力を備えている。

 CPUやPCIe補助電源コネクターは1レーン構成のようで、83.4Aが確保されているため、ASRockによると短時間であれば定格出力の3倍までのGPUの持続電力を処理できるという。また、システム全体の総消費電力は、最大200%まで対応するとのこと。もちろん、持続して使用できるというわけではないものの、それだけ余裕を持った製品というわけだ。

SL-1000GWの各電圧に対する出力表。+12Vは83.4A確保されている

 さらに、SL-1000GWでは+5Vブーストという機能が内蔵されている。これは、+5Vを+5.15Vに昇圧し、安定した電力供給を実現するというもの。これにより、たとえばUSBに多くのデバイスを接続した状況では、+5Vが減圧してしまうことがあるのだが、それを防ぐことが可能になるというわけだ。

+5Vブーストモードを内蔵。安定した電力供給を実現する

 「80PLUS Gold」認証を取得しており、ASRockによるとSL-1000GWの最高効率は、負荷50%あたりで93%弱を誇り、負荷20%でも92%以上、負荷100%でも90%弱の高い効率を実現している。これは一般的な80 PLUS Gold認証に比べて変換効率が2%ほど高く、それだけ電圧変換にともなう損失が少ないため、発熱もかなり抑えられているわけだ。

SL-1000GWの効率グラフ。入力が115Vの場合は若干低下するものの、それでも80PLUS Goldの基準を2%程度上回っている

 さらに、変換効率だけでなくノイズレベルも評価に加味されるCybeneticsのETA認証では「PLATINUM」を取得。変換効率の高さだけでなく、静音性の高さも折り紙つきだ。静音性に関しては、同じCybeneticsの静音性を試験するLAMBDAにおいて、SL-1000GWは上から三番目となる「A」の評価を得ている。この評価は、20dB(A)~25dB(A)程度の動作音を意味しており、これは無音とはいかないまでもほとんど音が聞こえない程度の静音性を意味している。

80PLUS Goldのほか、CybeneticsのETA認証ではPLATINUM、LAMBDAではAの評価を取得

 回路のコンデンサーは、日本ケミコン、ルビコン、ニチコンと、すべて日本製で耐熱温度が105度コンデンサーで統一。コンデンサーは温度により寿命が変わり、高温になると短くなってしまう。そこで、耐熱温度が高いものを採用することで長寿命化を図っている。

すべて耐熱温度が105度の日本製コンデンサーを採用している

 ちなみに、SL-1000GWのMTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)は10万時間を実現し、高い信頼性を誇っている。なお、SL-1000GWについてASRockは10年保証を謳っているので、安心して購入できるのではないだろうか。さらに、ASRockの説明では、このSL-1000GWの開発にあたって、リップル電圧と電圧に乗るノイズを抑えることに注力しており、業界最高水準を誇るとのこと。

 そのほか、保護回路としては、出力電流が想定以上に高くなってしまった場合に出力を停止する過電流保護(OCP)、電気的短絡いわゆるショートした場合に動作を停止する短絡保護(SCP)、雷サージや静電気などで入力電圧に異常あった場合に出力を停止する過電圧保護(OVP)、逆に入力電圧が低すぎる場合に停止する低電圧保護(UVP)、ファンが故障するなどして温度が想定以上に上がってしまった場合に停止する過温度保護(OTP)、ピーク電流が定格を大きく超えて流れた場合に停止する過負荷保護(OPP)と一通り揃っている。

検査キットも付属。これはATX 20+4ピンのメインケーブルの20ピンに接続し、SL-1000GW単体で通電させるもの。動作がおかしい際に試す場合に使いたい

 Ryzen 5 9600XのTDPは65W、RX 7900 XTXの標準電力は355W、これらを合算するのは少々乱暴な計算だが、ちょうど420Wとなる。TDPと消費電力は異なるものであることを承知で話を進めると、ほかにマザーボードやSSDなどの消費電力を加味すると、トータルで500W弱となり、これはSL-1000GWが最も高い効率を発揮できるレンジとなる。

 今後、NVIDIAもAMDも次世代のGPUが登場することは間違いなく、これだけ余裕の電源容量を備えているのであれば、今購入しても十分対応できるだろう。

価格は実売で3万1000円~3万5000円程度
オススメしたい高品質な電源ユニット

 以上のように、ASRockがその出来に自信を見せるだけあって、このSL-1000GWの仕様はかなり光るものがある。このSL-1000GWは、ASRockの話では、他社ブランドの製品のラベルを張り替えたようなOEMやODMではなく、ASRockが開発の段階から要望を出して、電源メーカーが製造している製品とのこと。つまり、ASRockのこだわりが隅々まで詰まった電源ユニットと言っていい。

 SL-1000GWの価格は実売で3万1000円~3万5000円程度。他社製品の80PLUS GoldかつCybeneticsのETAでPLATINUMを取得した定格出力1000Wの電源ユニットは、2万7000円前後で販売されているものが多く若干高め。ただ、数千円足して品質の高いものが選べるのであれば、このSL-1000GWのお買い得感はかなり高めだ。

ケーブルを含めすべて白で統一されたSL-1000GWは、お買い得感がかなり高め

 これは筆者も含めた一部の自作ユーザーの持論ではあるのだが、PCを自作するのであれば電源ユニットは安価なものより、高品質なものを選びたい。

 電源ユニットはすべてのパーツを支える屋台骨でもあるので、それがしっかりしないと動作が不安定になってしまうという考えだ。そういった観点でも、このSL-1000GWは十分選択に値する電源ユニットであり、静音性の高さも相まって、人気を集めるのではないだろうか。

 白色というデザイン性のよさに惹かれる人もいることだろう。電源メーカーとしては老舗ではないASRockから、これだけの品質と仕様を備えた製品が登場したことは素直に評価すべきだろう。なお、SL-1000GWの使用感は後日追ってレポートする予定だ。

【関連サイト】

■Amazon.co.jpで購入
前へ 1 2 次へ

過去記事アーカイブ

2024年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2020年
01月
02月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2019年
01月
02月
04月
05月
07月
08月
09月
10月
11月
2018年
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
10月
11月
12月
2017年
01月
02月
03月
04月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2016年
01月
02月
04月
05月
06月
07月
08月
11月
12月
2015年
02月
04月
06月
07月
08月
09月
11月
12月
2014年
02月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2013年
01月
05月
06月
07月
10月
11月
12月
2012年
01月
03月
04月
05月
06月
08月
09月
10月
11月
2011年
01月
02月
03月
05月
06月
07月
08月
09月
11月
12月
2010年
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
2009年
04月
08月
10月
2008年
01月
02月
2007年
02月
03月
06月
07月
08月
11月
2006年
02月
03月
05月
06月
07月
08月
09月
2005年
07月
10月
2004年
08月
09月