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自律型AIエージェントを育てる「UiPath Agent Builder」などの新ツールをリリース

「請求書の不備を見つけ再送依頼」までAIが自動処理 UiPathは“エージェンティック”への進化目指す

2024年11月07日 12時55分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「“エージェンティックオートメーション”は、RPAの進化した形だと考えている。UiPathは、エージェンティックAIを活用したオートメーション(自動化)の未来を推進していく」

 RPA/業務自動化ソフトウェアベンダーとして知られるUiPathが、“エージェンティックオートメーション(Agentic Automation)”という新たな製品戦略を掲げ、自動化領域をさらに拡大して効率化を促進するプラットフォームの構築に乗り出している。

 2024年11月6日、UiPathが都内で開催した記者説明会では、この新たな製品戦略の概要を説明したうえで、プラットフォームを構成する新ツール「UiPath Agent Builder」や、チャット型の生成AIアシスタント「Autopilot for everyone」などを発表し、そのデモも披露した。

エージェンティックオートメーションの実現を通じて、従来のRPAではカバーできなかった業務まで自動化領域を拡大していく新たな戦略を説明した

UiPath日本法人 カントリーマネージャーの南哲夫氏、同社 プロダクトマーケティング部 部長の夏目健氏

自動化対象を拡大できる“エージェンティックオートメーション”とは何か

 エージェンティックオートメーションとは、自律的に意思決定とアクションを行う「エージェンティックAI(Agentic AI、自律型AIエージェント)」を組み込んだ自動化ワークフローのことだ。

 エージェンティックAIについては、10月に来日した同社CEOのダニエル・ディネス(Daniel Dines)氏が、従来のRPAが抱える課題を解消し、自動化の対象領域を拡大する次世代のAI技術として紹介していた(参考記事:「エージェンティックAI」とは? UiPath CEOが自動化とRPAの未来を語る)

 今回の記者説明会では、UiPath日本法人 プロダクトマーケティング部 部長の夏目健氏が、冒頭のコメントのとおり“エージェンティックオートメーションはRPAの進化形”であるという認識を示したうえで、具体的なワークフロー(請求書の処理プロセス)を例に挙げながら従来との違いを説明した。

 従来のRPAによる業務プロセス自動化(ロボティックワークフロー)では、「請求書と発注書の照合」「ERPへの記録」といった定型的な処理をロボットが担うことで、自動化と効率化を図っていた。ただし、請求書と発注書の内容に不一致がある場合など、イレギュラーが発生した場合には、人の手でそれを調査、判断し、解決する必要があった。

従来型(ロボット+人)のワークフロー。イレギュラーが発生した場合には人の作業が介在することになり、時間と手間がかかっていた

 このように、これまで人が担わなければならなかった(自動化の対象外だった)作業ステップをAIエージェント(エージェンティックAI)に代行させることで、自動化の範囲をさらに拡大するのがエージェンティックワークフローである。

 上述した請求書処理の例で言うと、エージェントは項目不一致の状態に対して、自社のポリシー文書を参照(RAG)してそれが許容されるかどうかを調査したり、請求元に内容修正を求めるメールを送信して解決を図ったりすることができる。

 「もちろん、これまでのAIと同じように“100%の結果”を求めるのは難しく、人のチェックはやはり出てくる(人によるレビューは必要になる)。それでも、細かな作業をエージェントに任せて人はチェックするだけでよくなるため、業務効率が高まる」(夏目氏)

エージェント(エージェンティックAI)が人の作業を代行し、人はその結果をレビューするだけになれば、自動化がさらに進む

 ただし夏目氏は、エージェンティックオートメーションの世界になっても、従来のロボットや人の役割がなくなるわけではない点に注意を促した。

 UiPathの考えるエージェンティックオートメーションは、ロボット、エージェント、人を“適材適所で”組み合わせることで、エンドトゥエンドの自動化を目指すものだ。そのため、これまでRPAプラットフォームを通じてロボットと人のオーケストレーション、外部の業務システムへのアクセス、信頼性とガバナンスの機能を提供してきたUiPathには“強み”があると強調する。

 夏目氏は、エージェンティックオートメーションにより自動化できる業務ユースケースは「どこにでもある」と語った。特に、人による判断が必要なためこれまでは自動化が進まなかった業務領域において、自動化が進むと考えているという。

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