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Black Opsシリーズすべてに携わったMatt Scronce氏にインタビュー

『CoD:BO6』開発者インタビュー、「ダッシュが前のみ」への疑問でオムニムーブメントが生まれた

2024年10月23日 18時00分更新

文● 八尋 編集●ASCII

『Call of Duty: Black Ops 6』

 Activision Blizzardが手がける『Call of Duty: Black Ops 6』が、10月25日にローンチとなる。対応プラットフォームはPlayStation 5、PlayStation 4、Xbox One、Xbox Series X|S、PC、開発はTreyarch/Raven Software。

 4年振りとなるBlack Ops 6シリーズの最新作で、「オムニムーブメント」や「コンバット・スペシャリティ」といった新たなシステムも導入される。

 発売直前に迫った今回、Treyarch/Raven Softwareで、本作のグローバルプレイのメカニクスとマルチプレイヤーのデザインを統括しているMatt Scronce氏にインタビューを実施した。Matt氏は、2010年のオリジナル作品以来すべての「Black Ops」シリーズの開発をサポートしており、最近では「Call of Duty: Black Ops Cold War」のリード・ゲームデザイナーを務めた人物だ。

オムニムーブメントに注目してほしい
長い時間をかけて“Black Ops 6”とは何かを考えて開発した

──発売が間近に迫っているということで今の心境をお聞かせください。

Matt Scronce氏(以下、Matt氏)楽しみでもありますし、緊張感もあります。私は14年目ですべてのBlack Opsのローンチに携わってきて、1つ1つ違う体験でしたし、挑戦でした。社員になる前は、コミュニティーの一部としてCoDの掲示板のモデレーターなどもやっていたので、プレイヤーからの意見や想い、フィードバックはとても大切にしています。いつもローンチ時には緊張しますが、本作が今までのBlack Opsの中で一番素晴らしいゲームだということに自信を持っていますし、プレイヤーが遊んでくれることをすごく楽しみにしています。スタジオの中では初めての担当ゲームという後輩もいて、プレイヤーの皆さんと一緒に遊ぶことをワクワクしながら待っている人も多いです。

──「Call of Duty: Black Ops 6」は、従来のシリーズと比べたときに、どういった違いに注目してほしいですか?

Matt氏::やはり最初に(違いとして)思いつくのは、「オムニムーブメント」です。Black Ops 6の根本といえる動きのシステムとなっています。初めてCoDシリーズを遊ぶ人にとっても面白いシステムになっていると思いますし、どの従来シリーズをプレイした人でも、最初にプレイしたときにその違いはわかってもらえるはずです。ただ、戦闘中にオムニムーブメントを使わなくてはいけないと自分に課すようなシステムではないので、最初のうちは少しずつプレイしてって、自分にあったリズムを見つけて使っていくといいと思います。戦闘のニュアンスも細かくなっているので、色々考えさせられる戦闘も増えると思います。全体的な目的としては、プレイヤーの体験をよりスムーズに、臨場感のあるものにしたいと思って搭載したシステムになります。

オムニムーブメントが生まれた理由は「前にしかダッシュできないのはおかしい」から

──オムニムーブメントですが、マルチプレイだったり、先述にどういった影響を与えますか?

Matt氏:その質問の答えはプレイヤー自身に委ねたいです。基本的なアイディアとしては、「どの方向にもダッシュできなければならない」というのがありました。開発の段階で「向き」についてチームの中で「なんで前にしかダッシュできないんだろう」という議題が上がりました。私としても、現実世界ではどの方向にでも素早く走りだせるということを考えると、本作に登場するプロフェッショナルな人たちの運動能力を考えると、前しかダッシュできないというのはおかしいということで、つくったシステムがオムニムーブメントです。これがマルチプレイヤーになるとどうなるかというと、今までは逃げるときはダッシュするか、方向転換してダッシュするかという方法しかなかったのですが、オムニムーブメントでは前を向いたまま後ろにダッシュするという選択肢ができました。プレイヤーの皆さんもスタイリッシュな、今まで見たことのなかったような動きができると思います。オムニムーブメントが作ってくれる選択肢は多いと思いますが、プレイヤー各自に動きを委ねたいので、ムーブはプレイヤーごとに生まれると思います。

──Black Opsシリーズでいうと、「Call of Duty: Black Ops Cold War」以来の最新作だと思いますが、今回シリーズ間が4年ほど空いたのには理由がありますか?

Matt氏:Black Opsの前回からの時間がいつもより長めだったので、新たなBlack Opsシリーズを提供するということでワクワクしています。今回は、使用するゲームエンジンが統一されたので、Black Opsであるということがどういうことかというのを再設定するいい機会になりました。私たちチーム一同こんなチャンスがあるんだということで、ゲームを一から作り直しました。そのときに、自分たちに問いかけたのは“Black Ops”とは何かです。それは動きの滑らかさとリアリティーの追求だと思いましたので、それが今回のオムニムーブメントに繋がっています。武器についても、長年ファンがお気に入りとして使っていただいた武器から、Black Opsである以上、プロトタイプの新しい武器にもアクセスできます。過去に質問を問いかけた時間がなかったときもあったので、今回長めの時間が空いたことによってその質問に対峙してきました。長年Black Opsシリーズを楽しんでくれた方や、ベータをプレイして気になってくれた方まで全員が楽しめるような素晴らしいゲームを作る機会ができたと思います。

──ベータテストのフィードバックの中で印象に残った、ポジティブに受け取った、参考にした意見があれば教えて下さい。

Matt氏:驚いたことはないのですが、いただいた意見を反映しています。例えばマップの場合は色々と意見をいただいたときに、かなり表立ってはいってはいませんが、スカイラインのマップのときは、ジャグジーのあたりが少し隠れる場所が少ないという意見をいただいたので、少しだけ変更を入れました。そちらのスクリーンショットはすでに公開しています。武器のフィードバックも1週間目と2週間目でバランス変更をしていて、現状は満足のいく変更になったと思っています。最終的にバランス変更によってプレイヤーと開発陣が見たかったもの両方を果たせたと思います。あとは、ヘッドショットの数値変動を調整したり、より流動的に洗礼された動きをできるようにどんどん改良したりしていきました。開発陣としてはしっかりとプレイして意見交換をしていましたし、マップ、武器、動きといったことをチームとして理解していたため、驚きの意見というのはあまりありませんでした。ただ、隠れる場所や武器など、自分たちが考えていたこととちょっと違ったなという部分は、フィードバックで修正できてよかったです。

少しずつレベルアップしてお気に入りの武器を見つけてほしい
とはいえベータと比べるとレベルが上がる速度は上昇

──武器レベルを上げるのが過去作に比べて大変だったという印象でしたが、調整はありますか?

Matt氏:やはり、ベータ1週間目ではちょっと遅いかなと思ったので、2週目には変更を加えました。ベータを見て各プレイヤーが武器レベルを上げるのにだいたいどれくらいの時間を必要としたのかのデータを取って、開発陣が思っていたターゲットの所要時間と照らし合わせています。チーム内のターゲットとしてはベータより製品版のほうがレベル上げしやすくなっています。とはいえ、プレイヤーがちゃんとしたペースで育っていくというのは大事だと思っています。いきなり色々なものが解放されてプレイヤーが戸惑ってしまうということは避けたいので、ちょっとずつ経験してレベルを上げていくということも大切にしています。その中で、マップごとの強い武器や、お気に入りの武器などを見つけていってほしいです。

──今作で登場する武器はどのように決められていますでしょうか? 主に時代背景に沿った武器になるんでしょうか?

Matt氏:我々の武器チームは素晴らしいチームで、すごくよく資料をあさります。歴史的に正しい武器を出すというのは大事だと思っていますので、時代設定をベースに武器を選択したいのですが、Black Opsということで、今まで見たことのないような武器を提供するというのも、Black Opsらしさなので、そのバランスが結構難しかったです。今まで登場しなかった武器が12個登場します。見たことがある武器もあれば、そうでない武器もあります。

──マップサイズについて、従来よりちょっと小さい印象を受けたのですが、いかがでしょうか。

Matt氏:ベータではすべての情報を公開しているわけではありません。全マップだともう少し中くらいのマップが多いと思います。開発初日から何がBlack Opsを素晴らしくするかとを考えていると、プレイヤーにとっても開発にとっても歴代シリーズで人気の高いマップは、大きなマップじゃないんです。そのため、マップサイズは意図的に調整していますが、ベータではなく発売後に遊べるマップでは、プレイヤーの皆さんも満足していただけると思います。

悩み抜いて自分だけの「コンバット・スペシャリティ」を構築してほしい

──今作の「コンバット・スペシャリティ」は、パークの幅を広げる一方、特定のパークが強すぎた場合、構築の幅が狭まる可能性もあると思います。こちらのバランスについて意識していることはありますか?

Matt氏:私は「ディアブロ」が好きです。防具が落ちたときに何個か装着するとセットボーナスを得られますよね。このセットボーナスをどうやったらパークとして付けられるかというのを考えました。開発当初からとっつきやすいけど幅があるコンテンツということでコンバット・スペシャリティを導入しました。我々が注意しなくてはいけないのは、皆が同じテンプレを使わなきゃいけないと思うことです。色々なスペシャリティやパークを入れ替えて遊べるようなバランスにしたいと思っています。パークの強さを考えるのは、チームの中でもとてもデリケートな内容でした。プレイヤーには悩み抜いてプレイスタイルにあった構成を作ってほしいです。

──発売後のスケジュールやアップデートはどのような予定がありますか?

Matt氏:今週はローンチに力を入れていますが、開発チームはすでに新しいコンテンツを色々考えていて皆ワクワクしています。10月29日には「Infected(インフェクテッド)」モードが追加されることはアナウンスしています。これは、ゾンビチームと共同で作業し、ゾンビっぽい雰囲気を取り入れたモードになると思います。今後も新しいコンテンツを入れていくことで新鮮なゲームであり続けることを目標にしています。

──最後にファンへのメッセージをお願いします。

Matt氏:スタジオ一同を代表して、Black Ops6のマルチプレイヤーを皆さんが遊んでくれるということを本当にワクワクしています。ぜひ楽しんでください。

──ありがとうございました。

【ゲーム情報】

タイトル:『Call of Duty: Black Ops 6』
ジャンル:ファーストパーソン・シューティング
販売:Activision
開発:Treyarch/Raven Software
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Game Pass/PC(BATTLE.NET/Windows/Steam)
発売日:2024年10月25日
価格:
 スタンダード/クロスジェンバンドル:9800円(パッケージ/ダウンロード)
 秘蔵版:1万3400円(ダウンロード)
 秘蔵版アップグレード:3600円(ダウンロード)

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