連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第152回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 9月21日~9月27日
求人で需要が高いのはデジタルスキルより「人材スキル」、医療業界がランサム攻撃で狙われる理由、ほか
2024年09月30日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(9月21日~9月27日)は、世界の求人/スキル需要の動向、医療業界を狙うサイバー攻撃の最新動向、米国のオンライン年末商戦予測、日本企業におけるソフトウェアサプライチェーンのセキュリティと攻撃の動向についてのデータを紹介します。
[人材][スキル]デジタルスキルよりも必要とされるのは“人材スキル”(9月25日、コーナーストーン オンデマンド)
・2019年以降、生成AI関連の求人は411%増
・拡張現実(AR)/仮想現実(VR)関連の求人は過去5年間で154%増
・日本の求人は生成AIが全体の11%、データアナリティクスが6%を占める
150以上の国・地域を対象にスキル需要や今後の予測をまとめた「スキル エコノミーのグローバルレポート」より。2019年以降は「AI/機械学習/生成AI」関連の求人が増加しており、AIと機械学習関連は65%増加、生成AI関連は411%増加した。それでも全地域において、コミュニケーション、リーダーシップ、対人協調性といったソフトスキル(人材スキル)の需要がデジタルスキルを上回った。日本の求人情報では、生成AIが11%、データアナリティクスが6%、AI/機械学習が2%を占めている。
[セキュリティ]狙われる医療機関、サイバー攻撃数は前年から54%増加(9月27日、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)
・2024年1月~9月、1組織あたりの平均サイバー攻撃件数は2018件/週
・APACでは前年比54%増の4556件/週、トップの地域に
・最大の脅威は患者データを人質にとる「ランサムウェア」
医療業界に対する2024年1月~9月のサイバー攻撃動向を調べた。同期間、1組織あたりの週平均サイバー攻撃数は2018件で、前年同期比32%の増加。APACは攻撃総数でトップとなる平均4556件/週で、前年比54%の増加。医療業界でもデジタル化が進んでいるが、セキュリティ基盤が強固ではなくシステムの脆弱性が増大しているため、と分析している。また、機密性の高い患者データは価値が高く、恐喝材料としても利用できることから、最大の脅威は「ランサムウェア」としている。
ランサムウェアグループが過去12カ月間に恐喝した被害者のうち、医療関連の組織が占める割合。15%を超えるALPHV(BlackCat)は、とくに医療機関を狙うことを“推奨”しているという(出典:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)
[消費者][EC]米国の2024年末商戦、トレンドはモバイル、インフルエンサー、生成AI(9月26日、アドビ)
・モバイルECが過去最高の1281億ドル、比率は53%でデスクトップ上回る
・インフルエンサー経由のトラフィック流入効果はSNSの10倍
・生成AIからのトラフィック流入は100%増加
米国の2024年ホリデーシーズン(2024年11月1日~12月31日)のオンラインショッピング動向を予測したデータ。オンラインのEC売上高は2408億ドル(前年比8.4%増)と予測。ショッピング行動のモバイル化が進み、売上高の半分以上(53.2%)を占めるようになる。そのほか、インフルエンサー経由や生成AIチャットボット経由でのECサイト流入というトレンドも予想している。
[セキュリティ]日本企業の74%が過去1年間にソフトウェアサプライチェーン攻撃を受ける(9月25日、BlackBerry Japan)
・74%が過去12カ月間で「ソフトウェアサプライチェーン攻撃や脆弱性の通知を受けた」
・日本企業の23%がIoTデバイスなどの脆弱性で最大の影響
・セキュリティ対策は「データ暗号化」(58%)、「トレーニング」(50%)など
日本企業のソフトウェアサプライチェーンにおけるサイバーセキュリティ、脆弱性を調査。回答者であるITリーダーの74%が「脆弱性や攻撃の通知を受けた」と回答。影響の大きかった脆弱性は「Webブラウザの脆弱性」(24%)、「IoT/接続コンポーネント」(23%)、「OS」(20%)など。95%の回答者がサプライヤーの脆弱性対策能力を高く評価しているが、現実にはサプライヤーからの警告通知や脆弱性の回復は期待よりも大幅に時間がかかっており、「サプライヤーのセキュリティに対する過信」だと指摘されている。

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