Xeon 6にはFCLGA4710以外のパッケージもあるらしい
ここからはXeon 6の話だ。8月25日からHotChips 2024が開催された。インテルはここでLunar Lake、Gaudi 3、Xeon 6、それと4TbpsのOpticalベースのインターコネクトについて発表した。このうちLunar LakeとGaudi 3に関してはあまり新しい話は見当たらなかった。問題はXeon 6で、タイトルは"Building for the Edge: The Intel Xeon 6 SoC"である。
これは今だとXeon Dに相当する、通信機器など特定用途向けのXeonである。Sapphire Rapidsの世代では、連載702回で示した下の画像ようにコア数や動作周波数、利用できるアクセラレーターの数やTDPでラインナップを展開する形で、その意味ではXeon Dシリーズの直接的な後継製品は展開されなかった。
したがって、昨年リリースされたXeon D-2899NTはまだIce Lakeベースとなっているのだが、さすがにそろそろ更新の必要があると判断したのだろう。
そんなXeon 6 SoCは、引き続きコンピュートタイルとIOタイルから構成されるが、このIOタイルがIntel 4で製造され、いろいろアクセラレーターが入った話が講演では示されたのだが、そちらは本題ではない。問題はパッケージである。
チップレット構造を取った関係で、パッケージそのものは少し大きくなるようで、基本的には既存のXeon 6700と同じパッケージが踏襲される「らしい」のはまぁ仕方がない。あとラインナップに8chメモリー以外に4chメモリーの製品も用意されるのも、ラインナップ的に考えれば不思議ではない。
それはいいのだが、なんと4ch版と8ch版ではパッケージそのものが変わっていることが明らかにされた。4ch版の方はパッケージを6.5mm縮めるとともに、8 DIMMスロット構成とすることで幅を短くできる。一方8ch版の方は16 DIMMスロットになるので幅は広がることになる。
この4ch版と8ch版でパッケージの互換性があるというのは、8ch版の方で追加されている(というより削減されていない)片側4列づつの信号ピンは、追加の4chの信号線に割り当てられている。すなわち8chのデザインの方に4chのCPUを装着しても、ちゃんと動作するらしいのだが、「ここまで来てまだ新パッケージ作るのか?」とわりとインパクトがあった。
8chの方はすでに発表済のXeon 6と同じFCLGA4710と思われる。4chの方はランド数は正確には不明だが、おそらく4200~4300前後まで減るものと思われる。まさかこのランド数でBGAパッケージというわけにはいかないだろうから、当然ソケットを設けてそこに装着する形になると思われる。
DIMMスロットの本数の削減の方がはるかにサイズ削減には効果的なので、それに比べればパッケージによる面積削減の度合いは誤差の範囲だと思うのだが、それにもかかわらずここで幅50mmのパッケージを用意する理由が理解できない。既存の8chのパッケージを使いつつ4ch分は無効、ではいけなかった理由がわからないのが正直なところだ。むやみにラインアップを増やすのはいかがなものか。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ














