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『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

2024年08月19日 16時00分更新

文● ミヤザキ/ASCII

「サイレントヒル」をイメージしたフードやドリンクも!
アフターパーティーも開催

 試遊会の後は、esports 銀座 studioの1階にある「CAFe&BAR STROPSe」にて、アフターパーティーが開催。こちらでは「サイレントヒル」をイメージしたフードやドリンクが提供された。

 また、会場であらためて岡本氏をはじめとした開発陣のお話を聞くことができたので、そちらも掲載しよう。

『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

会場にずらりと並んだ料理の数々。食べ応えのあるものから、軽くつまめるものまで、よりどりみどり

『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

本作をイメージしたスペシャルドリンク。ちょっと毒々しい色味をしているが、さわやかな飲み口で美味しかった

『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

キービジュアルやピラミッドヘッドなどがあしらわれたケーキも

『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

――今回ゲームは肩越し視点になり、それにともなってマップを追加しているようですが、マップを追加した理由と追加したマップのコンセプトを教えてください。

Maciej氏:まずは肩越し視点に変更するにあたって既存のマップを再構成する必要が出てきました。屋外のマップは細かい点で違いはありますが、概ね原作から変更されていません。ですが、屋内のマップについては、肩越し視点のカメラでプレイヤーが探索のしがいがあるように原作から一新しています。

 カメラ視点の変更にあたって、それを最大限に活用するためにマップをかなり作り直ししています。

――リメイク版は肩越しの視点になったことで、没入感が深まったように感じられました。その辺の見どころや、制作時に苦労した点など教えてください。

Mateusz氏:肩越し視点にしたことによって、よりパーソナルな、よりプレイヤーにとって身近な印象になるように変わっています。それによって、先ほども言ったように、マップの構築などを一から見直しています。オリジナル版のカメラ視点はほぼ固定されていたので、何が見えるか見えないかというのはゲーム側で決まっていたのですが、今回は自由にカメラ視点を変えられるようになっているんです。

 その代わり、原作でもプレイヤーが感じたような印象を目指すために、クリーチャーの挙動、たとえばマネキンは一度視界から離れると主人公から離れて隠れるような挙動を取るなど、似たような印象を抱けるように工夫しています。また、原作の場合は扉を開ける際に暗転してロードが挟まっていたと思うのですが、今作ではシームレスで移動できるようになっています。その違いを加味して、常に移動出来ることも恐怖の演出につなげられるように再構築しています。

『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

――今回初めて『SILENT HILL 2』に触れる人に対して気を遣われた点を教えてください。

岡本氏:オリジナル版にもあったのですが、今回も初心者の方が遊びやすいように難易度選択を入れております。コンバットの難易度選択もありますし、パズルの難易度選択もあります。また、日本版には日本語吹替えを入れることになりました。字幕のゲームに遊ぶことに慣れていない方でも、広く遊んでいただけると思います。

――パズルの難易度はどのように変わるのでしょうか?

Maciej氏:パズルの難易度については大きく2点ありまして、1点目は、探索中に見つかるメモに書かれている情報量が難易度によって変わってきます。そこから得られる情報の量や質が難易度によって変わる感じですね。

 もう1点は、探索している際に周囲の環境から得られるヒントが難易度によって変わります。探索全体の情報量そのものが難易度ごとに変わってきます。

岡本氏:パズルの難易度があるのが「サイレントヒル」シリーズの特徴になっているので、今回も頑張って導入してもらいました。

――パズルの解法などは変わらないのですか?

Maciej氏:メモやテキストから得られる情報量も変わってきますし、難易度によってパズルの答えも変わってきます。

岡本氏:マルチエンディングのゲームなので、周回プレイで難易度を変えてプレイして、違いを確認するのも面白いと思います。

――アクション部分における恐怖演出の狙いを教えてください。

Maciej氏:今回の肩越し視点にあわせて、クリーチャーの一部デザインや挙動を変更しています。原作は固定視点なので狙った恐怖演出ができたのですが、今回は三人称視点で、プレイヤーが主人公を操作する際の自由度が増しています。なので、クリーチャー側に複数の挙動や複数の恐怖演出になりうるような要素を盛り込むことで、原作に近い恐怖演出を味わえるようにしました。

 ライングフィギュアなら地上をはい回って動くこともあれば、立ち上がって飛び道具で攻撃してくることもありますし、マネキンなら、飛びかかる攻撃をしてくることもあれば、回避もするし、さらには途中で戦闘から離脱して隠れてしまうこともあります。このようにさまざまな挙動を盛り込むことによって、次にクリーチャーが何をしでかすかわからないという不安定さをプレイヤーが感じられるようにしています。

――PS2時代で『SILENT HILL 2』のグラフィックはかなり仕上がっていたと思うのですが、今回、進化させる点で気を遣った点を教えてください。

Mateusz氏:ビジュアルやグラフィックについては伊藤さんと検討を重ねて研究したうえでたどり着いたものではあるのですが、とにかく気を付けようと思っていたのが、霧の演出に力を入れることですね。また、グラフィックが向上したからといって血の表現やゴア表現といったものは原作の趣旨ではなかったので、その方針はとらないように徹底しました。なので、今作では霧をはじめとした雰囲気重視の演出になるように注意しながら開発しました。

伊藤氏:今回リメイクを作っていくにあたって、屋外の霧の演出について、口をすっぱくするくらい注文させていただきました。『SILENT HILL 2』の霧はただ漂っているだけでなく、主人公のジェイムスの心情を表現するものというのが1つのポイントでもあったので。そういう意味では、今回グラフィックとして一番成功した点は霧の表現でないかと僕は思っています。

――キャラクターの顔の表情の微細な動きなど非常によくできていて驚いたのですが、Bloober Teamはどちらかと言うと一人称視点のゲームの印象が強く、三人称視点でのノウハウなどそこまであるようには思えなかったのですが、あそこまでのクオリティに達成できたのはどういったところだと考えているのでしょうか? また、アンジェラをはじめ、キャラクターのデザインの変更の意図をお聞かせください。

岡本氏:Bloober Teamを選んだときに三人称視点のゲームが少ないとはわかっていたんですけど、非常に情熱が強いチームだったので、そのテクノロジーを、アウトソースも含めてパートナーと一緒にトライしてくれるのではないと信じ、今回お任せしました。

 あと、キャラクターのデザインについてですが、今回はキャラクターをリアルに表現するにあたって、人間の顔を一から作るのではなく、実際の俳優さんの顔をキャプチャーしてリアリティを出そうと思ったんですね。なので、キャラクターの造形は現実の俳優から選んだというのが実際のところです。

 配役は演技力も含めて選んだので、顔の造形が昔と違うかもしれませんが、演技とあわせれば各キャラクターの魅力を十分表現できていると考えています。

Maciej氏:本作をリメイクするにあたって、本作は物語重視であり、本作の感情的、そして情緒的な作品であることを踏まえると、特にカットシーンやキャラクターの表情は完璧以外は許されないぐらいの気持ちで制作しました。ですので、表情や口回りの動きはキャラクターの表現を最大限に伝えるうえで妥協できない部分だったので、その点は最初から注力しました。

 また、キャラクターについては、合致したビジュアル面のみならず、演技の面でもその人物に最適な方々を選出しています。演技のみならずグラフィックの3Dモデルなどにおいても、非常に優秀なパートナーの助力を得て、完璧なものになるように仕上げていますのでご注目ください。

『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

――さまざまなホラーゲームが発売されたなかでも『SILENT HILL 2』は伝説的なゲームの1つだと思うのですが、リメイクを作っている皆さんが考える本作の特別なところはどこですか?

Mateusz氏:Bloober Teamとして『SILENT HILL 2』が特別だと考えるところが、1つ目はやはりストーリーですね。本作のストーリーはプレイヤー自身に響く、プレイヤー自身にとって直接心に刻まれるような要素が非常に盛り込まれた作品であるので、ストーリーはまず外せないと考えています。

 2点目が作品全体の雰囲気です。さまざまな作品が当時出ていた中で、『SILENT HILL 2』の雰囲気はほかの作品では見られないものだったと思います。Bloober Teamにとっての『SILENT HILL 2』の根幹はストーリーと作品の雰囲気ではないかと思います。

Maciej氏:私はキャラクターではないかと考えています。ゲームのみならずさまざまな媒体でも、時間が経てば物語の大筋がどういったものか印象が薄れて忘れてしまうところがあると思うのですが、個々の登場人物の印象は濃ければ濃いほど心に刻まれて離れず、印象が強ければまるでそのキャラクターが実在していたかのように感じられるくらいに覚えていると思います。

 特に『SILENT HILL 2』のキャラクターは非常に設定が作り込まれていて、その作品の中できちっと存在意義を実感できるくらいのキャラクターになっていると考えています。

岡本氏:同じになってしまうんですけど、ストーリー、特にエンディングの苦さというか、けして安易なハッピーエンドにならないところが『SILENT HILL 2』を特別なところにしていると思います。

山岡氏:僕は「サイレントヒル」というシリーズも含めてですけど、特に『SILENT HILL 2』はそうですけど、1つの体験だと思っています。だからこそ、25年という長い年月でも愛される作品になったのかな、と。

 2001年にゲームをオリジナル版を開発していた当時は、そのときにいたメンバーがオリジナリティを持って、独特なものを作りたいといっていろいろな案を持ち寄りました。そこから掛け算とか割り算、足し算引き算して製品版の形となり、それを買って遊んだ人が、ストーリーなどに心を打たれて、プレイした時間を体験として記憶してくれたのではないかと思いました。

伊藤氏:当時、「サイレントヒル」チームにはデザイナーが僕を入れて数人しかいなかったんですね。その時点でどうやって戦ったらいいのかわからなくて。しかも開発期間も決まっている状況でした。そんな中だったので、まずディスカッションすることしかできなかったんです。そのときにストーリーというか、プレイヤーがプレイする道程というか道のりに特化したホラー、最終的にはホラーというには若干語弊がある感じの世界観になりましたけど、そういう方向で行こうと決めました。

 そのうえで他社と競争するにあたって本作の特徴というか、1つしかないものを決めようとなったときに、セリフじゃなくて、プレイヤーがプレイする道のりが、実は主人公が抱えた感情の反映であったり、最終的な答えだったりという、そこを一番のコアというか肝にして作っていこうとなりました。そのときは、まさか25年も愛される作品になるとは思っていなかったですね。

『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート
『SILENT HILL 2』リメイク版の魅力を先行体験!Tokyo Media Premiereをレポート

来場者には、ノベルティのプレゼントも。しかも、ゲーム中に登場するオールスターズピザのBOXに入っているという凝りよう。内容物は写真の通りだ

【ゲーム情報】

タイトル:SILENT HILL 2
ジャンル:サイコロジカルホラー
販売:KONAMI
開発:Bloober Team
プラットフォーム:PlayStation 5/PC(Steam)
※パッケージ版はPlayStation 5のみ。
発売日:2024年10月8日
価格:
 スタンダードエディション:8580円(パッケージ版/ダウンロード版)
 デラックスエディション:9790円(ダウンロード版)
CERO:C(15才以上対象)

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