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いまPCが絶好調! AI PC新時代に各メーカーにインタビュー 第3回

日本エイサー編

「ググる(サーチ)」から「尋ねる(アスク)」へ、AIが変える検索の形

2024年08月21日 12時00分更新

文● 市川/ASCII 編集● ASCII

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いまは啓蒙中 ハードができあがった第1段階

ノートブックPC プロダクトマネージャー 武富 温氏

――AI PC(Copilot+ PC)についての考えを聞かせてください。

 いまはAIという言葉が独り歩きしている状態に感じられます。コクリエイターなど、PC内で完結できるアプリは登場していますが、多くのユーザーは「それを使ってなにができるの?」という段階で止まっているのが実情で、啓蒙が必要だと感じています。

 PC業界はハードができ、サービス・アプリが育ち、それを快適に使うために、さらにPCが進化するサイクルで回っています。今はハードができあがった第1段階で、ここからAIのサービス・アプリが出てくる第2段階が始まるのでしょう。

 とはいえ、ハードが売れないと、そもそもサービス・アプリも育ちません。弊社としては重要なカテゴリーとして、AI PCをアピールしていこうと思っています。

――そのサイクルには、どれくらい時間がかかりそうでしょうか?

 2~3年はかかるのではないでしょうか。購入しやすい価格になっているかどうかも重要だと思います。日本のコンシューマーPCの平均価格は13万円ほどですが、Copilot+ PCは20万円台半ばからとなり、かなり高価な部類に入ります。

 ただし、コンシューマーの買い替えサイクルは約8年と言われているので、AI PCを今のうちに買っておくべきというメッセージは出していきたいですね。

  IT大国のように思われがちな日本ですが、総務省の調査によると、生成AIをつかっている日本人は9.1%ほどで、中国は56%というデータもあります。

 日本では、PCでなにをするかと聞かれて、年賀状・メール・ウェブブラウズだけの時代が長く続いてきたので、AIを切り口にして、もっとPCには使い道があることをアピールしていきたいですね。

 マイクロソフトさんによるとPCを使うユーザーは1週間で平均5時間以上、何らかの探し物をしているそうです。まだ実装前ですがリコール機能(一定間隔に保存したスナップショットから過去の利用履歴を検索できる機能)をつかえば業務時間の削減もできるので、業務改善にも大きくつながっていくのではないかと。

“ググる”ではなく“アスク”する

――日本とグローバルで比較したときのAI PCの売れ行きはいかがでしょう?

 日本では非常に少なく、10%です。ただし、グローバルでいくとAI PCの出荷台数は40%を超えています。

 (ここまで差がつくのは)やはり日本人がAIを受け入れていないということでしょう。法人・個人問わず同じような状況ですので。

――グローバルですと、どんなふうに生成AIを使われているのでしょうか?

 文章のたたき台(提案・アイデア出し)をつくることでしょうか。時間短縮につながり、企業で使うのに非常に有益です。

 今後はウェブブラウザーでググる(サーチする)のではなく、CopilotやGeminiなどにアスクする(尋ねる)ことが普通になっていくでしょう。

 グローバルでは、検索結果を見て判断する方法からAIから回答をダイレクトに得る方法への移行が進んでいます。

 日本ではまだそれが遅れているというイメージですね。シンプルに知らないという人もいますし、現状のPCでなんとかなる状況がまだAI PCが浸透していない理由の1つではないかと。

――「AI PCでこんなことができるんだ」というユースケースを伝えることも重要そうですね。

 今年の1月に家電量販店で、画像・音楽生成AIの実演をしたのですが、生成AIにはじめて触れたお客様からはアンケートで「5万円高くても買う」という声もいただきました。まだ生成AI自体を知らないお客様もいるので、価値を認めてくれれば、購買につながっていくと思います。

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