ペダルがオルガン式じゃないのが不満
それ以外の車内装備は文句ナシ
天井は黒のベロア調で、光の乱反射を抑制するなどスポーツカーの雰囲気たっぷり。ダッシュボードの中央に時計を配置するのも高級車ではよく見かける仕様です。
ポルシェらしくないのはペダルがオルガン式ではないところ。SUVとはいえ、スポーツモデルはオルガン式が良かったですね。
また、オプションでお好みの1台を作るれますので、試乗車の室内はあくまでひとつの例。それでも「やっぱり上質感がすごい」と言葉を失うゆみちぃ部長。一方でレザーシート至上主義者の彼女にファブリックシートは合わないようで、そこが引っかかった様子。
後席はさすがの広さ。エアコンは左右独立、シートヒーター、ベンチレーションもオプションで用意されています。USB Type-Cの充電ポートもありますので、長時間のドライブも安心です。センタートンネルはかなり幅が広く、シートの中央部が小物入れになっているので4名乗車のようです。
アームレストにドリンクホルダーがついているので、ドリンクを置くとひじ掛けが使いづらかったり……。
ボディーが大きくて有り余るパワーがあるけど
スムースに運転できるのはポルシェマジックか
それでは、ゆみちぃ部長による試乗の時間です。大きな車両ゆえ、慣れるまではドキドキされた様子。ですが、しばらくすれば滑らかな走りと高い安定感に、ゆみちぃ部長の頬が緩みます。端的に言えば、乗り心地がよくて、スムースで、それでいてパワフル。文句のひとつもありません。
「とにかく守られている感じがします」とゆみちぃ部長。「ドアを閉めた時の質感、密閉感がいいですね」と、ほかでは味わえないポルシェのフィールを感じられていました。
一方で「Aピラーが太くて右左折時が見づらい」という話も。2トンを超えるクルマがひっくり返った時の事を考えたら、これくらいの太さは必要なのでしょう。
全体的に軽やかなフィールゆえ「これが2トンもあるクルマなのか?」と疑うほど間違いなし。使い勝手の点ではライバルのSUVに劣る部分はあっても、ドライブフィールでは上回ること間違いなし。いつまでも運転していたい、と思わせるクルマってそう多くはないのですが、カイエンは間違いなくそんな1台と言えそうです。
カイエンに大満足されたゆみちぃ部長。「やっぱりいいなぁ」と、一層恋心を高められた様子。しかし、EV大好き部長としては「エンジンの音が気になる」と、4L V8 ツインターボが気に入らないご様子。というわけで「次はハイブリッドのカイエンが本命ですね」と、早くも目を輝かせていました。
マカンとカイエンの違いは、大きさよりも「ポルシェらしさ」ではないかと感じた部員K。カイエンの方が手応えがあり、ドライバーに対する要求レベルが高いように思いました。
この次に手強いのがタイカン/パナメーラといったスポーティーセダンで、718、911になるとドライバーを突き放す傾向があります。この手強さこそがポルシェであり、それゆえ「ポルシェ使い」という言葉が誕生するわけです。
カイエンを買われる方は、駐車場に1台分のしかスペースしかない中で「ファミリーカーとしての役割をこなしつつ、ポルシェという名門ブランドのクルマを所有したい」というポルシェブランドに憧れを抱かれている方か、「すでに911を所有している富裕層」ではないでしょうか。
カイエンは「憧れている人」と「すでに持っている人」の両者を満足させなければならないのです。手強いクルマだったら、ブランド名で憧れを抱いていた人の心は離れてしまう。かといってヌルいクルマだったら、ポルシェ使いからソッポを向かれる。
つまりポルシェらしさをどこまで残すかが重要で、カイエンはこの塩梅が実に見事。なるほどマカンよりも高額であるにも関わらず、8万7553台も生産される人気車種とは、こういうことなのか。
ポルシェのおそろしさに触れた気がしました。
この連載の記事
-
第495回
自動車
芸能人御用達のゲレンデがEVに! メルセデス「Gクラス」の実力をオフロードで検証! -
第493回
自動車
アウトドアテイストのスズキ「スペーシアギア」は、ジムニー顔で車内の開放感がキモチイイ! -
第492回
自動車
食わず嫌いは良くない! シボレー「カマロ」は左ハンドルで古さを感じるも良質なFRクーペだった -
第491回
自動車
ボルボの電動SUV「EX30」は価格と性能のバランス良し! 乗って実感したオススメポイント5つ -
第489回
自動車
サーキット向けのアルピーヌ「A110S」はフランスらしいデザインと上質さで街乗りも楽しい -
第489回
自動車
アストンマーティン「DB12」はラグジュアリーと最高性能を両立させて究めた1台 -
第487回
自動車
Hondaのセダン「アコード」はすべてが適度でちょうどいい! 5つの魅力を紐解く -
第486回
自動車
これぞ王道! これぞ本流! BMWの魅力を凝縮したSUV「X5」は最高の1台と断言する -
第485回
自動車
1000万円対決! ポルシェ「マカンT」とアウディ「SQ5」似て非なる2台をあらた唯と徹底比較 -
第484回
自動車
日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞のHonda「FREED」の魅力と買いのグレードはコレだ! -
第483回
自動車
【ミニバン売れ筋対決】ホンダ「フリード」とトヨタ「シエンタ」の良いところと微妙なところ - この連載の一覧へ