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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第72回

人が絵を描く“工程”をAIで再現 タイムラプス風動画が炎上した「Paints-Undo」

2024年07月22日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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Paints-Undoは新たな方法の始まりにすぎない

 Paints-Undoの公開されたソースコードを使って、可能性を広げる試みも始まっています。琥珀青葉さんはステップ2で生成した画像を組み合わせることで、線画を生み出すスケッチジェネレーターを作成しました。

 toyxyzさんは、ステップ2で生成する画像をすべて自分で指定することができるように改造して、ステップ3の動画を自分でコントロールすることができる仕組みを公開しました。マルチフレームモデルが、ToonCrafterの進化版としても、優れているという評価もあり、実際にそれを実践してみたもので、動画では次々に服がアニメーションをして切り替わっているように見えます。

 今後、Paints-Undoの「工程を生成する」という考え方は、様々なところに波及すると思います。Paint-Undoの生み出す動画の品質は、あくまでタイムラプス風でしかなく、まだまだ大したものではないとも言えます。ただ、一度方法が確立されると、品質は上昇していくのは、技術分野での常であります。そのため、時間が経つほど、人間の実際の描画の再現を生成AIが実現するようになる可能性は十分にあります。それが、人間の創造性の補助としてどのように機能していくのかは、時代が進んでみないと、わからないことではありますが。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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