重要なのはAIが「工程」を理解すること
イリヤさんがこの技術で狙っているのは、「人間の絵を描く動作」のモデル化です。
この研究の副題は「デジタル絵画における描画動作の基本モデル」で、「Paints-Undoをベースモデルとして人間の行動を分析」することが目的に掲げられています。
AIというのは基本的に「人間の行動をいかにモデル化して、コンピューターで再現可能にするか」ということを大きな目標として持っています。今の画像生成AIの限界は、最終的な完成画像をいきなり出すところにありますが、絵として考えた場合に、人間は絵を完成させるまでに、下描きをしたり、着彩をしたりと、中間段階のことをやっていますよね。その作業そのものをAIでモデル化できないかということを目指しているわけです。
そしてイリヤさんは、さらに大胆な目標も掲げられています。
「Paints-Undoをスケッチガイド付き画像ジェネレーターと組み合わせて『Paints-Redo』を実現し、完成/未完成の作品を任意に前進/後退させ、人間の創造力を高めます」(イリヤさん)
Paints-Undoが「過去」の過程に戻すことができるのならば、それらを発展させ、絵を描いている最中に、「次に何をすればいいのか」ということをAIが補助して提案してくれるようになるということです。ある線を描いたときに、「次の線はここです」とガイドする。将棋で言えば「次の手はここです」ということをAIにサジェストさせるようなことをクリエイティブ向けにやりたいと言っているわけです。
イリヤさんが実際にPaints-Redoを作り上げるまでやるのかはわかりませんが、そういう事ができる可能性があることを具体的に示したということは、ブレイクスルーと言ってもいいでしょう。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第153回
AI
ChatGPTの画像生成AIが「Nano Banana」超え? 漫画や動画風カットが実用レベルに -
第152回
AI
Seedance 2.0×AIエージェントでAI動画が激変 “AI脚本家”や“AI絵コンテ作家”との共同作業で、アニメ制作が身近に -
第151回
AI
画像・動画生成AIの常識が変わる、Claude Codeに全部やらせる方法論 -
第150回
AI
無料でここまで? 動画生成AI「LTX-2.3」はWan2.2の牙城を崩すか -
第149回
AI
AIと8回話しただけで“性格が変わる” 研究が警告する「おべっかAI」の影響 -
第148回
AI
AIが15万字の小説を1週間で執筆──「Claude Opus 4.6」が示した創作の未来 -
第147回
AI
ゲーム開発開始から3年、AIは“必須”になった──Steam新作「Exelio」の舞台裏 -
第146回
AI
ローカル音楽生成AIの新定番? ACE-Step 1.5はSuno連携で化ける -
第145回
AI
ComfyUI、画像生成AI「Anima」共同開発 アニメ系モデルで“SDXL超え”狙う -
第144回
AI
わずか4秒の音声からクローン完成 音声生成AIの実力が想像以上だった -
第143回
AI
AIエージェントが書いた“異世界転生”、人間が書いた小説と見分けるのが難しいレベルに - この連載の一覧へ





