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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第137回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 6月1日~6月7日

AI業務利用で広がる「BYOA」、5割超のCEOが「気候変動のビジネス影響」懸念、AIスマホの市場投入が本格化、ほか

2024年06月10日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2024年6月1日~6月7日)は、職場におけるAI利用の実態と課題、世界のCEOが考える環境のサステナビリティ(持続可能性)とビジネス、“AIスマホ”出荷が本格化し始めた2024年第1四半期の世界スマホ市場、クラウド利用時のセキュリティ実態、「リセールバリュー(所有品を売却する際の市場価値)」への消費者意識とリユース市場についてのデータを紹介します。

[AI]自分のAIを持ち込む“BYOA”はAI利用者の78%(マイクロソフト、6月6日)
・職場におけるAI利用、日本は32%、世界全体は75%
・日本では49%が「AI導入のビジョンと計画がない」
・職場でAIを利用する人のうち、自前AI持ち込み型“Bring Your Own AI”は78%

 職場におけるAI利用の実態を調査した「2024 Work Trend Index」レポートより。職場におけるAI利用率は、日本は32%で、世界平均の75%を大きく下回った。「競争力維持にAIは不可欠」と考えるビジネスリーダーが日本67%、世界79%に達する一方で、「AI導入を収益増につなげる計画やビジョンがない」という回答も日本49%、世界60%と多く、課題が浮き彫りに。また、職場に自前のAIを持ち込む“Bring Your Own AI”は日本78%で、中小企業層に限ると80%となった。AI業務利用のメリットとしては「時間節約」(90%)、「最も重要な仕事への集中」(85%)などが挙がった。

職場でのAI利用、日本(32%)は世界全体(75%)の半分以下となった(出典:マイクロソフト)

職場でのBYOA(Bring Your Own AI)は78%(出典:マイクロソフト)

「AI導入のビジョンや計画がない」組織は日本49%(出典:マイクロソフト)

[SDGs][持続性]79%のCEOが「サステナビリティは成長の機会」、5割強が気候変動のビジネス影響あり(ガートナージャパン、6月7日)
・気象パターンの変化で「ビジネスに影響を受けている」は54%に上る
・APACではCEOの79%(世界69%)が「サステナビリティは主要なビジネス成長機会」
・ビジネス成長に活用するサステナビリティ、上位は「持続可能なプロダクトとサービス」(33%)、「脱炭素」(18%)

 世界400人以上のCEO/上級経営陣を対象としたサーベイより。CEOの54%が気象パターンの変化による影響を受けていると回答した。CEOの54%が「気象パターンの変化による影響を受けている」と回答する中で、アジア太平洋地域(APAC)のCEOの79%(世界69%)が「サステナビリティは2024年の主要なビジネス成長機会」と回答。また、ビジネス成長促進のためにサステナビリティをどう活用するかについては、「持続可能なプロダクトとサービス」(33%)、「持続可能なビジネス・プラクティス」「脱炭素」(ともに18%)といった回答が多い。「リーダーや投資家は、環境への思慮に欠けた企業行動はビジネス成果に対する中長期的なリスクになることを把握している」と指摘する。

ビジネスの成長を促進するための環境のサステナビリティ(出典:ガートナージャパン)

[スマホ]2024年第1四半期の世界スマホ市場は前年同期比4%増、AIスマホは10機種以上が発売(GfK Japan、6月6日)
・スマホの世界販売台数、2024年第1四半期は前年同期比4%増
・AI機能を搭載した“AIスマホ”本格化、10機種以上が発売
・市場は低価格帯スマホ(250ドル以下)が牽引

 日本を含む世界約60カ国の小売店販売実績データなどから、世界のスマートフォン/AIスマートフォンの販売動向を調べた。2024年1~3月期の世界スマートフォン販売台数は前年同期比4%増となり、前年比減で推移した2023年から改善した。価格帯別では、低価格帯(250ドル以下)が好調で市場を牽引しており、物価高により中価格帯(250~500ドル)から需要がシフトしていることも指摘している。ただし高価格帯(500ドル以上)の販売台数も前年比から増加した。前四半期(2023年10~12月期)に登場した“AIスマホ”は、今四半期に10機種以上が登場するなど本格化したとしている。

世界スマートフォン販売台数、前年同期比の推移(出典:GfK Japan)

[セキュリティ]クラウド展開時のセキュリティ確保、AWS活用企業の38%が「手作業」で(Datadog Japan、6月4日)
・AWS利用企業の38%は、本番環境で機密性の高いアクションを手作業で完了
・Infrastructure as Codeの採用率は、AWSでは71%、Google Cloudは55%
・Javaサービスの90%が、外部ライブラリがもたらす1件以上の重大/深刻度の高い脆弱性の影響を受けている

 DevSecOpsの状況を調べた「State of DevSecOps 2024」レポートより。AWSを活用している企業の38%が、14日以内に本番環境でAWSコンソールを使って、ワークロードのデプロイや機密性の高いアクションを手作業で完了していた。Infrastructure as Code(IaC)の採用率は、AWSでは71%、Google Cloudは55%など、利用するクラウド環境によって大きく異なる。外部ライブラリがもたらす脆弱性の影響を受ける比率は、Javaアプリでは90%と高く、Java以外の言語における平均の47%を大きく上回った。

[生活]あとで売ることを意識した消費活動経験者は26%、リユース品購入経験者は58%(リセールバリュー総研)
・26%が「リセールバリューを意識して購入したことがある」
・「中古品の売却・購入に抵抗はない」は45%
・リユース品(中古品)購入経験者人は58%に

 リセールバリュー(所有品を売却する際の市場価値)に対する意識を、20代~60代の男女483人に聞いた。「リセールバリューという言葉を知らない」回答者が69%を占めるものの、実際には26%が「リセールバリューを意識して購入した経験がある」という。リセールバリューを意識して購入したカテゴリのトップは「自動車」(28%)。リユース品(中古品)の売却/購入については、「抵抗感はない」が45%で「ある」(28.3%)を上回る。抵抗感がない(なくなった)理由は「欲しいものが安く手に入るから」が最多だった。

リセールバリューを意識して購入を検討したことがある商品としては「自動車」「パソコン」「スマホ」がトップ3(出典:リセールバリュー総研)

リユース品の売却・購入に抵抗が「ある」(21.3%)、「ない」45%)(出典:リセールバリュー総研)

今後もリユース品を「購入したい」は46%で、「そう思わない」(26%)を上回った(出典:リセールバリュー総研)

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