クルマの電動化が進む昨今。モーターを搭載しない「純ガソリンエンジン」車の数は、年々少なくなっています。あわせてマニュアル・トランスミッションを搭載したクルマも減りつつあります。今回は“筆者が過去にご紹介した”クルマの中から、夜な夜なソロバンを弾いた珠玉のガソリンエンジン搭載車をオススメしたいと思います。
走る楽しさとオープンの爽快感
マツダ「ロードスター」
まずは300万円台から、マツダのロードスターをご紹介。1.5Lの直4自然吸気エンジンを縦に搭載した愛すべきFRオープンスポーツは、現行の4代目が登場して9年近い時が経ち、幾度となく商品改良を重ねるとともに、2023年10月にマイナーチェンジを実施して完熟の領域に達しました。
ハンドルを握れば、誰もが「クルマってこんなに楽しいのか」とフレンドリーな魅力に気づくこと間違いナシ。軽自動車やコンパクトカーと比べたら、確かに実用性の面で不安を覚えるかもしれませんが、普段乗りで困ることは少ないかも。大人数で移動する必要があったら、カーシェアなどを利用すればいいのです。今後、2L 直4バージョンも登場する予定とのこと。ガンガン回せる1.5Lか、トルクフルな2Lか……。実にぜいたくな悩みになりそうです。
名エンジンを堪能できる
Honda「シビック TYPE R」
続いて500万円代から、Hondaの「シビックTYPE R」。FK2型から搭載するK20C エンジンは、熟成を重ねてFL5型では「TYPE R史上最強」といえる最高出力330馬力を達成。6MTでしか、この最強ユニットが味わえないのも魅力です。ガツンとパンチのある加速と、高回転時の「ンバアアアアアアアア!」という感覚は「この瞬間がHondaだよね!」と思うこと間違いナシ。
「坂道発進が苦手なんだよね」という方でも、オートブレーキホールド機能によってラクラク。ベテランはもちろん、初めてのMTでも楽しめる懐の深さも魅力です。シビックですから、実用面で不満を覚えることが少ないのも魅力のひとつです。
伝統の直6エンジンを搭載する
BMW「M2」
1000万円に近くなると、3台の名エンジン車で悩むことになるでしょう。まずはBMW M2。最高出力460馬力を発する直列6気筒 M ツインパワー・ターボ・ガソリン・エンジンは滑らかの一言! 「シルキーシックスとはこのことを言うのか!」と、全身が歓びに震えることでしょう。
エンジンも素晴らしければ、シャシーサイズも日本にピッタリ。峠でも楽しめるサイズに収められているのも魅力的。しかもMT設定が用意されているのもうれしい限りです。
世界で唯一のエンジンを楽しむなら
アウディ「RS3セダン」
続いてアウディ「RS3セダン」。世界で唯一の2.5L 直列5気筒ターボエンジンを心臓部に抱く1台です。最高出力は400馬力で、7速DCTとクアトロシステム(アウディ独自の四駆システム)によって、0-100km/hは4.3秒という俊足ぶり。その加速は「はじけ飛ぶ弾丸」という言葉がピッタリで、5気筒という独特のエキゾースト音とパンチャーフィールに頬が緩みっぱなし。
扱いやすさ、実用性の高さも魅力の1台で、往年のクルマファンなら、その昔WRCを制したクアトロに思いをはせること間違いありません。
イタリアの官能的なV型エンジン
アルファロメオ「ジュリア・クアドロフォリオ」
直6、直5ときたら、忘れてはいけないのがV6です。数多くあるV6エンジンの中で、感動のデキなのがアルファロメオ・ジュリア・クアドロフォリオでしょう。最高出力510馬力を発生する2.9L V6ツインターボは、真綿で首をくすぐられた時の「ゾクッ」とする極上フィール。「こんなに滑らかに回るのか!?」「トルキーなのに吹けるって、どういうエンジンなんだ?」と驚くこと間違いナシ。
さらに驚きは0-100km/h加速は、BMWやアウディよりも俊足の3.9秒! ドロドロっとしたエキゾーストはイマドキのフェラーリを思い出すような官能さ。インフォテインメントのデキ栄えや、室内のしつらえに文句がないわけではないけれど、走りだしたらそんな事はどうでもよくなります。
熟成された至福の水平対向6気筒エンジン
ポルシェ「911」
1000万円で「高嶺の花」なのに、世の中にはさらに上があり。そこは桃源郷ともいえる世界です。まずはポルシェ「911」のフラット6(水平対向6気筒エンジン)。エンジンが良いのか、シャシーが良いのか、両方がいいのでしょうけれど、文句の1つも具の根も出ない世界。鋭さの中に甘さを覚えるエンジンフィール。背中から伝わる素晴らしいエキゾーストと振動。一度心をつかまれたら、たしかに逃れられない魅力があります。
モデルによってはMT設定を用意するのもポルシェの魅力。「今の水冷ユニットはポルシェじゃない」という前に、今のポルシェに触れてみてください。最新のポルシェが最良のポルシェであることがわかるでしょう。4WDやターボモデルもイイですが、ベーシックなカレラが最もポルシェ濃度が高くてオススメです。
世界に誇る日本の至宝
日産「GT-R NISMO」
最後は「NISSAN GT-R NISMO」。NISSAN GT-Rがデビューしたのは2007年以来、匠の手によって作り続けられているVR38DETTは日本の誇りであり、伝統工芸であり、文化財に指定するべき至高のエンジンといえます。最高出力600馬力、最大トルク66.5kgf・mというパワーは、今もなお感動の極み。
さらにGT3レース車両と同じターボチャージャーを使っているという話など、様々な部分でレースのテクノロジーが詰め込まれているにも関わらず、実に扱いやすいクルマに仕上げられているところに、日産のすごさを感じずにはいられません。
その圧倒的パフォーマンスと音は、たとえ街乗りでも「スゴいクルマを運転している」と思わせるもの。2500万円近い価格であるにもかかわらず、出るたびに即完売というのもうなづけます。
以上がオススメのエンジン車6選ですが、いかがだったでしょうか? これらのモデルはすぐになくなるとは思いませんが、一方で現在のモデルで終売を迎えてもおかしくないのが実情。ガソリンを燃やしてパワーと音という官能を得る内燃機関の終焉。今こそ手に入れるラストチャンスかもしれません。嗚呼、欲しい……。
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