高い冷却効率と低遅延なIOWN APN ハイパースケーラーから熱視線
NTT Comが稼働中の液冷サーバー初公開 高発熱なGPUサーバーのコロケーションも可能に
2024年05月28日 10時00分更新
IOWN APNを活用し、VRで遠隔オペレーション
また、IOWN APNを活用した遠隔オペレーションのデモストレーションも行なった。
データセンターの運営においては、ケーブルタグの読み取り作業が頻繁に発生するが、それを遠隔地から確認する作業にVRゴーグルを活用するというものだ。
操作者が装着したVRゴーグルは、頭の動きなどに反応。データセンター内のロボットがそれに同調し、ロボットに搭載しているカメラで目標物を捉えることができる。APNでは画像圧縮を行なわずに伝送するため、インターネットによる通信と比べて、VRゴーグルに表示される画像品質に大きな差があるほか、リアルタイム性でも差がある。
生成AIの利用増加により、20年でトラフィックは348倍に
また、IOWN APNを活用したデータセンターサービスについても説明された。NTT Comでは、今後のデータセンターの方向性として、「IOWN APN×Green Nexcenter」が重要な役割を果たすことを強調する。
NTT Comの松林氏は、「近年は、国内トラフィックが急増しており、データセンター間の通信も拡大している。2040年には、2020年比で348倍のトラフィックが想定され、その要因は生成AIの利用の急激な増加にある。これに耐えうる通信や処理を行なうことができる基盤の整備が必要である」とする。
また、データセンターが抱える課題として、トラフィックの増加とともに注目されているのが、電力への対応だ。松林氏は、「一時はデータセンターの消費電力は減ると見られていたが、生成AIの突然の登場によって、その予測は一気に覆された。生成AIや業務用AI利用の増加により、今後も、CPUやGPUを稼働させるための電力使用量が急速に拡大することになるだろう。企業にとっては、CO2排出量の削減という課題とも向き合う必要があるほか、データセンター内の冷却や電源システムの消費電力を改善しなくてはならない。生成AIの学習に使用されるCPUやGPUでは、TDP(熱設計電力)が、既存の空調冷却の限界とされる300Wを超過することになると予測されている。高発熱サーバーの冷却はこれからの大きな課題になるだろう」と指摘する。
NTT Comのデータセンターでは、こうした課題への対応に加えて、IOWN APNとの連携によって、地方のデータセンターとの接続を推進。地方ならではの土地の確保しやすさや再生可能エネルギーの利用しやすさを生かし、GPUサーバーの地方分散を実現。地方のデータセンター同士を連携させたインフラづくりにも貢献できることを示した。
松林氏は、「IOWNは、強靭で活力がある社会を支える基盤になると位置づけており、2030年以降のインフラのベースになる。IOWNとGreen Nexcenterを掛けあわせることで、より強固な基盤を作り、未来の実現に貢献できる」と述べた。