このページの本文へ

顧客企業のESG経営、カーボンニュートラルの取り組みを支援

NTT Com、データセンターで幅広いグリーン電力を選択可能に

2022年03月29日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と、NTTグループの小売電気事業者であるNTTアノードエナジー(NTT AE)は2022年3月28日、NTT Comデータセンターを利用する顧客企業への新サービスとして、幅広い再生可能エネルギー(再エネ)の利用を選択できる電力メニューを発表した。選択した再エネで地球温暖化の原因となるCO2の排出がないことを示す環境価値情報を提供し、企業のESG経営に貢献する狙い。2022年4月1日から提供を開始する。

 発電所の場所や電源種別が示される「トラッキング付き非化石証書」情報をセットにした再エネ(実質再エネを含む)メニューのほか、利用者が太陽光や地熱、バイオマスといった電源種別を指定できるメニュー、利用者による非FIT指定が可能なメニューもラインアップする。

提供するグリーン電力メニューのラインアップ

NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長の菅原英宗氏、同社 プラットフォームサービス部 データプラットフォームサービス部GTM部門 担当部長の松林修氏

「Green of ICT」に自ら取り組み、「Green by ICT」の価値を提供する

 NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長の菅原英宗氏は、「環境への関心が高まるいまを新たな成長の機会と捉えなおし、温暖化への対応を経済成長の制約やコストとする時代から脱却して、構造転換と大胆な投資によるイノベーションの創出につなげていく必要がある。そのためにも、自らがグリーン化に取り組まなくてはならない。そのなかでNTT Comは、自らのグリーン化を目指す『Green of ICT』、社会やお客様のグリーン化を目指す『Green by ICT』に取り組んでいる」と説明する。

 NTTグループでは、日本全体で発電される電力の1%相当を消費する企業の社会的責任として、2040年度までのカーボンニュートラル実現を目指す「NTT Green Innovation toward 2040」を2021年9月に策定した。その中間目標として、2030年度までにNTTグループの温室効果ガス排出量の80%削減(2018年度比)、ネットワークやデータセンターにおけるカーボンニュートラル達成を掲げている。

 こうした自らの「Green of ICT」の取り組みでは、通信ビル設備やデータセンターへの省電力設備導入や大手町プレイスの電力ゼロエミッション化などにより、約60%の省エネ化を実現するほか、NTT AEからの再エネ調達などにより、2016年度比で約3倍のグリーン調達化を達成。加えて、約8割の達成率となっているリモートワーク主体の業務運営により1日あたり約7.6トンのCO2削減、IOWN構想に基づく光電融合技術などの新技術開発での電力消費削減といった取り組みも進んでいるという。

 一方で、社会や顧客企業のグリーン化を目指す「Green by ICT」では、CO2排出量の可視化や再エネを活用したエネルギー最適化、さらにはCO2を意識した消費者の行動変容促進、再生資源の循環を促すサーキュラーエコノミーの促進に取り組んでいるという。

NTTグループ自らの取り組みである「Green of ICT」と、社会や顧客企業の取り組みを支援する「Green by ICT」

グリーン電力に対する多様な顧客ニーズに合わせてメニューを用意

 今回の新サービスは、上述した「Green by ICT」の取り組みにあたるものだ。NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス部 データプラットフォームサービス部GTM部門 担当部長の松林修氏は「データセンターで使用している電力が事業全体の95%を占める、という企業もある。データセンターのグリーン化が、企業全体のグリーン化や脱炭素社会の実現に直接貢献できる」と述べる。

 提供する再エネメニューは「コストを抑えながら再エネ導入を始めたい」「電源種別を指定した非化石証書による環境価値報告書がほしい」「非FIT由来の再エネにこだらりたい」など、顧客企業の要望に合わせて選択できるようになっている。これについては「プレマーケティングを行い、RE100やESG経営を行う企業のこだわりを聞き、用意したもの」(松林氏)だという。

 非化石証書は経済産業省が発行し、非化石価値取引市場で電気事業者により取引されるもので、石油や石炭などによらない非化石燃料で発電した電気であることを証明し、CO2を排出しないという環境価値を可視化。実質再エネの利用により環境対策に貢献でき、RE100をはじめとした国際的な環境イニシアティブへの報告にも活用できるため、企業イメージの向上につながるなどのメリットがある。

NTT ComとNTT AEは顧客に「環境価値情報」を提供する

 さらに最上位メニューとして、新規発電所からの再エネ提供による「オフサイトPPA(Power Purchase Agreement=電力購入契約)」も提供する。顧客からの個別の要望に応じて、追加性がある専用発電所をNTT AEが提供するメニューも用意する。「最上位メニューは、自社専用の追加性があるグリーン電力を使いたいといった企業が対象になる」(松林氏)としており、具体的には大手外資系クラウドプロバイダーなどが対象になるという。

 新サービスは、まずは東京第5/東京第8/東京第11/横浜第1/埼玉第1の各データセンターで、ケージまたはルーム単位での利用者を対象に提供を開始する。サービス対象は順次拡大していく方針。

NTT Comのデータセンターにおける省エネルギー化施策

 なおNTT Comのデータセンターでは、使用電力量を省エネルギー化で最適化することと、使用電力全体の再エネ化を進めることの両輪でグリーン化を推進している。「データセンターで使われる電力の約60%がサーバールームで使われているが、冷房設備などの電力が30%強、直流から交流への変換ロスで数%が使われている。これらの電力を小さくすること、増やさないことに加えて、使用している電力についても再エネによるグリーン調達の課題に取り組んでいる」(松林氏)。

 具体的には、最新の間接蒸発式空調設備の導入や壁面吹き出し空調方式の採用、Smart DASHによるラック取り付けセンサーからの情報をAIが分析し、電力の無駄を最小化できる仕組みなどを通じて空調効率を向上し、省電力化を進めている。一方で、NTT Comが持つ通信ビルやデータセンター、クラウドにおける実質再エネの活用を推進しており、今回の新サービスのように利用者のカーボンニュートラルに貢献する取り組みも加速していく考えを示した。

 「自社に設置しているサーバーなどを、NTT Comのデータセンターに置き換えるだけでも、省エネが推進され、脱炭素化にも貢献できる」(松林氏)

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    訓練だとわかっていても「緊張で脇汗をかいた」 LINEヤフー、初のランサムウェア訓練からの学び

  2. 2位

    ITトピック

    若手が言わない“本音の退職理由”上位は/「データ停止は景気後退よりも企業の脅威」6割/クライアントに告げずAI活用するフリーランス、ほか

  3. 3位

    ビジネス・開発

    最悪のシナリオは「フィジカルAI」による基幹産業の衰退 日本の勝ち筋は、“同期技術”と“ドメイン知識”

  4. 4位

    Team Leaders

    ファイル名が命名規則に合っているかの自動チェック、Power Automateのフローで実現しよう

  5. 5位

    TECH

    “GPUなし”ノートPCで動くLLMで、ローカルAIエージェントを自作する

  6. 6位

    TECH

    糖尿病超早期を採血なしで検出、予防へ! 代謝や臓器のつながりに着目した予防法開発

  7. 7位

    ビジネス

    廃校がAIの心臓部に!? 地方の遊休施設を「AIデータセンター」に生まれ変わらせるハイレゾの挑戦がアツいぞ

  8. 8位

    データセンター

    液冷技術の最先端が集うイノベーションラボ「DRIL」、印西のデータセンターに現わる

  9. 9位

    TECH

    業界横断で“サイバー攻撃から供給網を死守” NTT・アサヒ・トライアルらが「流通ISAC」始動

  10. 10位

    Team Leaders

    バックオフィス業務もAIに“丸投げ” マネーフォワードが「Cowork」機能を2026年7月に投入へ

集計期間:
2026年04月08日~2026年04月14日
  • 角川アスキー総合研究所