昨年春から続くNTTドコモのネットワーク品質問題。当初、昨年夏頃には解消すると言われていたが、結局、先送りになった。2023年12月末までに対象とする2000カ所のうち、90%以上の場所で対策が実施されたというが、いまだにNTTドコモのネットワーク品質を悲観する声が後を絶たない。
NTTドコモやNTTの幹部は「コロナ禍が落ち着き、トラフィックが増えたのが原因」としているが、コロナ禍が落ち着いたのはKDDIやソフトバンクも同じであり、NTTドコモだけがコロナ禍が明けたことで、トラフィックが増えて、ネットワーク品質が落ちたという理由にはならない。
昨年以降、様々な関係者に「逆になぜ、ソフトバンクやKDDIのネットワークは強いのか」という質問をしまくっているなかで「2.5GHz帯のTD-LTEが最強なのではないか」と指摘する人が複数、いた。
KDDIとソフトバンクが提供している周波数帯
2.5GHzのTD-LTEとは、KDDIのなかではUQコミュニケーションズ、ソフトバンクではワイヤレスシティプランニングという会社が提供している周波数帯だ。
UQコミュニケーションズではWiMAXを提供。ワイヤレスプランニングでは、もともとウィルコムで次世代PHSを提供しようとしていた。それぞれ独自の規格であったが、世界的な潮流に合わせようとTD-LTEというデータ通信に特化した規格に準拠した技術に切り替えていた。TD-LTEは中国を中心に世界的に導入が進み、iPhoneも対応したことで、一気にメジャー化した感がある。
この2.5GHz帯という周波数帯でデータ通信に特化した規格を持っているからこそ、ソフトバンクとKDDIはネットワーク品質が維持できているのではないかという見立てだ。
実際、アメリカのキャリアを見ても、Verizon、AT&T、T-Mobileという3社があるなか、調査会社「Opensignal」のデータを見るとT-Mobileの評価が圧倒的に高いのだ。
T-Mobileは2.5GHz帯でTD-LTEの周波数帯を持っていたスプリントを吸収したという経緯がある。2.5GHz帯でTD-LTEに大きな帯域を持っていたことで、データがサクサク流れ、「快適」という評価を得ているのだ。
日本のソフトバンクとKDDI、T-Mobileの共通点は、この「TD-LTE」なのだ。

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