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女性医師による治療は女性患者に有益、大規模医療データから判明

2024年04月24日 06時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の共同研究チームは、米国の高齢者77万人以上の入院データの分析した結果、女性医師に治療された患者の方が、男性医師に治療された患者よりも死亡率や再入院率が低い傾向にあることを明らかにした。ただし、女性医師の治療によるメリットは、女性患者の方が男性患者よりも大きかった。

東京大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の共同研究チームは、米国の高齢者77万人以上の入院データの分析した結果、女性医師に治療された患者の方が、男性医師に治療された患者よりも死亡率や再入院率が低い傾向にあることを明らかにした。ただし、女性医師の治療によるメリットは、女性患者の方が男性患者よりも大きかった。 研究チームは今回、65歳以上の高齢者のほぼすべてが加入する医療保険であるメディケア診療報酬データに対し、バイアスを省いた因果関係の分析を可能とする「自然実験」の手法を適用。2016年から2019年の間に4万2114人の医師が治療した77万6927人の患者について、女性医師と男性医師が治療した緊急入院患者のアウトカム(30日患者死亡率、30日再入院率)を比較した。 その結果、入院後30日以内の統計的補正後の死亡率は、女性患者では、女性医師に治療された場合8.15%、男性医師に治療された場合8.38%と、女性医師のほうが0.24ポイント統計学的に有意に低いことがわかった。一方、男性患者では、女性医師に治療された場合は10.23%、男性医師に治療された場合は10.15%と、女性医師の方が死亡率が低い傾向はあるものの、統計学的に有意な差はなかった。また、再入院率についても同様の傾向が認められた。 研究チームによると、米国でも日本と同様に、女性医師はいまだ少数派で、女性患者が女性医師に診てもらう機会は不足しており、今回の結果は、医療現場の女性医師の割合を増やすことで患者の予後が改善する可能性を示しているという。研究論文は米国内科学会のアナルズ・オブ・インターナル・メディシン (Annals of Internal Medicine)のオンライン版に2024年4月23日付けで掲載された

(中條)

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