連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第130回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 4月6日~4月12日
DX成功のために業務改革が欠かせない理由、Webサイトの表示が遅いのは何秒待てる? ほか
2024年04月15日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(4月6日~4月12日)は、就業管理(勤務時間の集計・分析機能、各種申請・承認機能、レポーティング機能などを提供する製品)市場、脆弱性対応の遅れと攻撃対象領域(アタックサーフェス)の拡大、Webサイト表示を「待てる」時間、DX成功のためのアドバイスといったデータを紹介します。
[働き方][SaaS]2022年度の就業管理市場は20%の伸び、法改正が追い風(4月9日、アイ・ティ・アール)
・就業管理市場の2022年度の売上金額は328億円、前年度比20.2%増
・SaaSは2025年度には市場の約8割を占める
・2022年~2027年のCAGRは14%
国内就業管理市場の提供形態別市場規模推移および予測。時間外労働の上限規則などの法改正を背景に、就業管理システムを一新する企業が増加していることなどが追い風になっており、2022年度の売上金額は328億円と、前年度から20.2%の増加だった。続く2023年度も15.1%増で、2022年~2027年のCAGRは14%と予測している。提供形態は、2022年度の対前年比成長率はSaaSが25.3%と大きく、2025年度にはSaaSが全体の8割を占めるようになると見ている。
[セキュリティ]国内企業でアタックサーフェスが拡大、「ファイル」の検出が増加(4月9日、トレンドマイクロ)
・脆弱性の修正パッチの適用状況は半数
・ランサムウェア攻撃の攻撃対象領域(アタックサーフェス)が拡大
・検出件数はファイル(FRS)が増加、メール(ERS)とWeb(WRS)は減少
日本国内と海外における最新脅威動向を分析した「2023年 年間サイバーセキュリティレポート」より。同社の脆弱性発見コミュニティZero Day Initiativeが2023年に公開した脆弱性アドバイザリは1913件と、過去最多を記録した。そのうち、影響を受ける企業数が多い上位3つの脆弱性について修正パッチの適用状況を調べたところ、いずれも「未対応」が約半数を占めた。また、国内の法人が発表したランサムウェア攻撃は過去5年で最大の70件。攻撃対象領域(アタックサーフェス)が拡大し、2023年はクラウド上のデータセンター内のシステム経由の侵入などが見られたという。
[消費者]Webサイトの表示時間、「5秒未満」でも約4割がストレスを感じる(4月9日、ビッグローブ)
・Webサイトの表示が遅くストレスを感じる時間は「5秒未満」が37%
・表示が遅くあきらめる(前のページに戻るなど)時間も「10秒未満」が37%
・30分以上の動画を見続けるかどうか、77%が「最初の1分以内」で判断
全国の20代から60代の男女1000人を対象とする「インターネット利用に関する意識調査」より。Webサイトが表示されるまでの時間とストレスの関係について、「5秒未満」でストレスを感じるとした人が37.4%を占めた。世代別では20代、30代が多い。表示が遅くても我慢する(表示を待つ)時間を調べたところ、37.1%は「10秒待てない」こともわかった。また、YouTubeで30分以上の動画を見る811人に、その動画を見続けるかどうかの判断をする時間を聞いたところ、77.5%は「開始後1分以内で決めている」と回答した。
[CX][DX]「DX成功には業務改革に着手することが重要」とガートナー(4月9日、ガートナージャパン)
・2027年にかけて、現行業務を再現するだけのIT投資の90%は変化に対応できない
・競争力のあるビジネス価値を生むトランスフォーメーションに成功すると考える企業の比率は低い
・原因は属人的業務の継続、縦割り型組織による連携不足
ガートナーによる見解。DXを目指す企業が増えているが、「現行業務をデジタルで再現するだけ」の取り組みに終始する企業が多く、競争力のあるビジネス価値を創出するための、抜本的なトランスフォーメーションに成功すると考える企業の比率は少ない。その結果、「現行業務を再現するだけのIT」への投資は、2027年にかけてその90%が「変化に対応できず、市場競争力を失う主因となる」と指摘する。競争力強化のポイントとして、業務間/システム間のインテグレーション、顧客応対チャネルの拡大、顧客情報の収集と活用、顧客へ価値を提供するに至るまでの時間短縮、『エクスペリエンス』『共感』『信頼』などの付加価値の可視化による意思決定支援などを挙げている。

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